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EP1-9 桐島家の人達


今日は日曜日。

本来ならば田中は今日、休む日のはずだった。

桐島 美鈴の提案によりこれから桐島家で1日地獄の特訓。



マリアに救われた後、田中は桐島家に預けられていた時期がある。なんでも、桐島家は昔から代々物凄く強い有名な一族らしく。

田中は中学生時代をこのような家で過ごしてきた。

それは、それは激しい修行の毎日。

肉は切れ、骨は折るの毎日を過ごす。

その家での田中の師の名前は桐島 隆辰。今年で64歳になる老人にして、美鈴のお祖父さん。

美鈴は田中にとって姉弟子のような存在になる。


中学を卒業すると同時にマリアが現れ、田中を住吉荘に強引に連れていき、そして、今の阿部や和気、香と出会い、処理屋を始めることになる。

そんな田中を心配したのか、ちょくちょく住吉荘に美鈴が来るようになり、他のメンバーと知り合う。

美鈴はいろいろと納得できなかったのか、他の三人を桐島家に招待。

美鈴はそこで三人と腕試しという名のデスマッチ。


美鈴はそれから度々来ては皆を強制的に桐島家に招待しては、修行という名のデスマッチ。


そんなこんなで先程のメンバーに香を混ぜた六人の内美鈴以外の全ての者の足どりは重い。

先程、部屋に突然美鈴が現れ、強制的に家に招待された香の目は半泣きだったのを田中は思い出す。

その香は美鈴に半ば引きずられながら歩いている。

その美鈴の顔は笑顔。

悪い人じゃないんだけどな…

田中はそんな光景を見て、苦笑しながらそんなことを思う。

美鈴に悪気はないし、実際美鈴は優しく、いつも皆のことを一番に考えてくれる。

皆もそれを知っているから、美鈴のことをなんだかんだ言って好いている。

美鈴はただ嬉しいのだと思う。

美鈴はその美貌と優しさと頭の良さに学校では皆に一目おかれている存在。

ゆえに美鈴は孤独を感じていた。

皆美鈴のことを一歩下がって見ているのである。

そんな中でできた遠慮の要らない存在が嬉しくて嬉しくてしょうがないのだ。

だから美鈴はこの四人からのけ者にされることを何よりも嫌う。

別々に暮らしていることも納得できないようで、この一年間散々四人に桐島家で暮らさないかと聞いてくる。


しかし、住吉荘に住むことはマリアの決定でどうすることも四人にはできないし、四人も住吉荘を出る気がない。

それを感じた美鈴は更に住吉荘に来るようになった。




そんなことを思い出していた田中は隣の朱奈の顔がいつもより暗いことに気づく。

「大丈夫か?朱奈」

「うむ…少し緊張している。」

「緊張する必要なんかねぇよ。皆基本いい人だし。」

それでも朱奈の顔は優れない。

「お前だけでも帰るか?」

「む!大丈夫だ!私は大丈夫。」

「てゆうか、何でそこまで桐島家のこと怖れてるわけ?」

「いや…兄上から桐島家の者達は危険だから関わるなと…」

「危険ねぇ…」

確かに美鈴は強い。

あの阿部でさえ、美鈴と互角なのだ。

さらに、超能力で肉体強化した田中でさえも凌駕する。

しかし、基本良い人なので危険と言われてもいまいち田中にはピンと来ない。

「ま、お前が何かされたその時は俺が守ってやるよ」

「本当か!?」

途端に朱奈の顔が明るくなる。

「ああ…そんときゃ、俺の名前を呼びな。それがヤクザだろうが、桐島家だろうが、何だろうがお前を守ってやるよ。」

朱奈を安心させるため少し演技染みながら語る田中。正直、桐島の人達と闘うのだけは嫌だが。

「………」

朱奈は黙っている。

「オイ!せっかく俺がカッコツケてるのに、黙るって何?俺ただ痛いヤツみたいじゃん」

と言って朱奈の方を見る。

朱奈は田中の顔を見ている。

こんなことが前に有ったな〜

と思っていると、朱奈の瞳が心無しか涙で濡れている気がする。

「ちょっ!どうした朱奈ぁ。泣くほどつまんなかったのか?俺ショック!」

「……誓うか…」

「へっ?」

「その言葉、私に誓うか?」

今度は朱奈は俯いてしまう。

「あ、ああ…そんなんでよけりぁ…幾らでも誓うぜ」

「そうか…なら安心だ…」

田中から俯いた朱奈の顔を良く見ることはできないが、笑っているように感じた。





桐島家は広く、和風で、まるで昔の貴族の家のようなイメージがある。

いつ来ても、その家の雰囲気には息を呑むばかりである。

美鈴が玄関を開け、只今と言うと、奥から一人の女性が出てきた。

「相変わらず、お美しいですね…真美さん。」

その女性が姿を現すやいなや和気は軽やかな笑顔を見せながら、その女性に近づく。

「あらあら。誉めても何もでないわよ。」

そんな和気の振る舞いにもニコニコしながら対応する女性は桐島 真美。

美鈴の母親である。

「てゆうか、お前大概の女性に言ってないか?」

阿部が静かにツッコむ。

「あら…私そんな事言われた覚えが有りませんが…」

和気の後ろで母親譲りの笑顔で美鈴は和気に話しかける。

「む!私もだ」

田中の隣の朱奈も反応。

「悪いな、俺はガキには興味ないんだ…べぼらっ!」

当然の如く二人に殴り飛ばされる和気。

「ご無沙汰してます。真美さん」

「あら、田中君たら。敬語は止めてよね。私達は家族みたいなもんでしょ」

「はは…。ありがとうごさいます。」

何てやり取りをしていると奥からもう一人駆けてくる。

それは田中の足に抱きつくと、田中を見上げる。

「お帰り、たーにぃ。」

「うん。ただいま、裕美子ちゃん」

田中の腰位までしかないその女の子は桐島 裕美子。

美鈴の妹。

「こらこら裕美子、それじゃ田中君が歩けないじゃない。 迷惑かけちゃだめでしょ。」

真美が言うと、少し膨れて裕美子は手を離し、手を振りながら奥へと姿を消す。

「ゆっくりしていってね」

と言いながら、奥へと案内する。


居間に行くと、厳格そうな老人が一人座りながら新聞を読んでいた。その隣には裕美子が居る。

老人の名前は隆辰。

田中の師である。

「ご無沙汰してます。」

田中が挨拶すると視線を此方にチラリと向けて、それから朱奈をじっと見つめる。

朱奈は思わず田中の裏に隠れる。

「おじいちゃん。こちらは…」

美鈴の言葉は隆辰によって制される。

隆辰は新聞を置いて、立ち上がり朱奈にゆっくりと向かって来る。その顔は笑顔。

「そちらのお嬢ちゃんは一色家の子かい?」

隆辰は朱奈の視線までしゃがみ込んで優しく話す。

「そうだ。日本名は一色 朱奈と言う。」

「ようこそ。良く来たね。特に何もないがゆっくりしてくと良い…」

その優しい声に少し安心したのか朱奈は頷く。

「お前達もよく来たな。ゆっくりしてくと良い。それとも久しぶりに儂と組むか?」

「いや…それは…」

「それはいいですね。私だけでは阿部さんと香さんだけで手一杯ですから、田中さんと和気くんはおじいちゃんと組んでやりますか」

美鈴は嬉しそうに言う。

「じゃ、道場に行くか?悪いがお嬢ちゃんはこっちに残って裕美子の面倒見てやってくれないかい?」

朱奈は少し田中の方を見ると、力強く頷く。

それを見て、隆辰は思わず田中の頭をくしゃくしゃと激しく撫でる。

「一体いつの間にあんな良い娘惚れさせたんだ?オイ?」

「は?」

田中には隆辰の言ってる意味が解らなかった。



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