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#5 君と式変形

昼休みの教室。

陸はいつものように、駿と理央のふたりと一緒に

机を並べて弁当を広げていた。


「なあ、理央、これちょっと見てくんね?数学の

問題、意味わかんねぇんだよな」

駿がプリントを理央の前に出す。

「ん、どれどれ...あー、これは式の立て方が違う」

理央はさらっと説明しながら、

駿のノートに数字を書き込む。

「...マジか。てか、理央ちゃんって塾の先生みたいだよな」

「そんなに褒めても、何も出ないよ」

駿が笑い、理央はちょっと照れたように

肩をすくめる。そのやり取りを見ながら、

陸はなぜか少しそわそわしていた。


(...なんだろう、この感じ)

駿と理央って、もしかしていい感じなのかも...

そんな思いがふと頭をよぎる。

「ん?どうした、陸。肉団子こぼれそうだけど」

駿が笑って指差す。

陸は、あわてて弁当箱を持ち直した。

「...いや、なんでもない」

なんでもない、はずだった。けれど。

さくらの笑った顔、昨日の「頼りにしてるね」って

言葉。それが、どうしてか何度も頭をよぎっていた。


放課後、陸は校門の前でさくらを見つけた。

「今日、部活?」

「ううん。今日はなし。ちょっと本屋さんよって

帰ろっかなって」

「そっか...」

言いかけて、陸は言葉を飲み込んだ。

一緒に行こう、って言えなかった自分が、

少し情けない。


「じゃあまた明日ね」

さくらは手を振って、歩き出す。

その後ろ姿を見つめながら、陸は思った。

(なんか、最近、気になるんだよな。さくらのこと。)

ほんの少しだけ風が吹いて、制服の袖が

ふわっと揺れた。


(#6に続く)

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