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その部屋に棲舞うモノ  作者: 稲葉 鈴
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる

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1.キジトラ猫のソラ

お久しぶりです。

再開になります。


猫のお話ですよ。

 そらと一緒に暮らしてるにんげんは、よく寝る。そらほどじゃないけど、よく寝る。朝が弱い、って奴だ。

 朝、お腹が空いたから声をかけるけれど、大体「あと五分~」とか言って、ご飯をくれない。仕方がないからそらは一緒に寝ることにしている。あと五分、で、起きたことなんかない癖に。

 それからいつもいつも大慌てで「遅刻するー!」ってなって、出かけていく。いってらっしゃい。

 まあそれでもそらの朝ご飯と昼ご飯は用意してくれるから、許すことにしている。そら、優しい猫だから。

 「お金がない!」もよく言ってる。じゃああの、ぺっとかめら、というやつ買わなければよかったんじゃないか。絶対、あれが、余計な出費だと思う。

 まあでもそらは優しい猫なので、このぺっとかめら、というのから見えるところでお昼寝してあげるしおもちゃで遊んであげるし、毛づくろいもしてあげる。そのために買ったの、知ってるから。


 その日の朝も、同じようだった。

 前日の夜遅く、いつもと同じように財前は帰宅した。食事は帰宅途中に牛丼屋ですました。カウンター席で食事中には、ペットカメラに接続してリアルタイムで遊ぶソラを見たり、過去のデータの可愛いソラを見たりした。帰宅したらソラと遊びながら風呂に入ったりして、就寝。翌朝またソラといちゃちやしながら起きて、無理やりにでもパンを焼いて詰め込んで、出勤する。

 会社の産業医から、そう言われたのだ。無理にでも、何か胃に入れてから出勤した方がいい、と。会社の女性陣からは白湯をすすめられた。マグカップに水を入れて電子レンジで温めるだけのお手軽なものだ。胃を温めるのが、先じゃないかと、そういうことだった。

 別に、胃が悪い訳ではないのだけれど。

 ソラに朝ご飯を出して、それから昼ご飯と夜ご飯の分を給餌器にセットする。便利なものが出来たな、と思う。これがあれば、一人暮らしでも猫が飼えるのだから。


「じゃあ行ってくるね」

「にゃ」


 ドアのカギを二か所開けて、振り返ってソラに挨拶をする。ソラは律義に毎朝玄関まで見送ってくれる。

 そうして、ドア、を、開け、て。


 ずるり、と、財前はその場に転がり落ちた。

 びっくりした。ソラはとてもびっくりした。

 こんなことはこれまでなかったからだ。

 どうしよう。

 どうしたらいいだろう。

 にんげんは動かない。今までこんなことはなかった。


 そうだ。

 フローラのお姉さんに聞こう。あのひとは優しくてなんでも知っているから、きっと、そらとにんげんを助けてくれるはずだ。


 だからソラは、ちょっとだけ開いていた玄関扉から、外に出た。

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