表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

11.風呂場にいる薄桃色の靄

 誰かが買ってきたいなり寿司を少し遅めの昼めし代わりに皆でつついて、お呼ばれの理由をみんなで聞く。約一名黒猫の草太に買ってきた食事とおやつを献上するのに忙しい奴がいるが、まあ話は聞いているだろうと放っておいてある。いつもの事なので。

 曰く、風呂場にいる薄桃色の靄は男が嫌いで、そのためわざわざ遠回しに手を回してこの部屋に男が住まないようにしている。


「そういうことって出来るもんなんですね」

「妹の和椛(ほのか)いるだろう。あいつも似たような事をやってるんだよ」

「あー……なんでしたっけ。旦那に金運授けるってそういう」

「そうそう。だから大別すると、うちの風呂場にいる奴は縁切り系になるんじゃないかな?」


 そんなところに呼ばれたのか、と、彼らは顔を見合わせる。


「いや、お前たちはここに住んでるわけじゃなし、特に何も起きないだろう。起きるとすれば俺が相手だ。俺をこの家から引っぺがせばいい」

「確かにそうですね」

「出来ないんだけどな」


 あの薄桃色の靄は、紺に勝てない。草太にも勝てない。である以上、彼等にもなにがしかの危険は多分ない。


「毎日お前らを呼ぶ、とかしない限りそっちに迷惑は掛からないと思うよ」


 桃色の靄から見て、不特定多数の男を呼べるのは、紺の強みと言っていいだろう。


「というわけでお前ら、帰る前に一人一回風呂に入ってってくれ」

「はーい」

「草太くん洗っていいですか!」

「いやじゃ」

「駄目かー」


 代わる代わる、風呂に入る前に風呂場を見に行った。浴槽の上にいるらしい、いや浴槽の中では、などとみんな首をひねるが、一般人である彼等には何も見えない。

 ただまあ彼らは全員、なにがしかの妖怪からのあれそれこれを紺に解決してもらったことがあったため、こういうことがある、ということに耐性がある。紺さんがあるっていうなら、あるんだろうな、と思っているだけでもあるが。

 とはいえ全員自宅でシャワーを浴びてきている。意味もなく風呂に入るのもねえ、と顔を見合わせるが、どうしようもない。出勤前に身だしなみを整えるために交代で入るかと、話をまとめた。

自分が男嫌いな桃色の靄さんだとするととてもかわいそう。

でもあいつら追い出せない悔しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ