ホントの飼い主はどっちだ!?
僕…牧田 恵 猫…リリー
※猫は人間に変身出来ます
こんなことになるなら、嫌いでいてくれれば良かったのにと責任を被せることで、落ち着きを取り戻す。
最初は私からだった。
初対面だからこそ、親切に接することを心がけた。
できる限り、相手の要望には応えるのが普通になっていた。
だからなのか分からないが、だんだんと相手の私への態度が変わってきたのだ。
それは相手が私のことを恋愛対象として見ているのが分かった。私は、それに気づかないふりをしていた。
ある日、相手に告白された。
すごく嬉しかった。こんなに私を好いてくれる人はこの人しかしないのかもしれない、そんなことまでも思った。
でも、嫌な予感がする。これ以上関係を深めるのは危険だと信号が出る。その時の私は止まれなかった。
相手の好意に浮かれてた。
ここでもう分かる、私はクズ。
付き合った後を考えず、成り行きで上手くいくと思っていた。
デートも、夜も過ごし、毎日連絡もした。
その度に相手の愛を重く感じるようになっていった。
相手の愛に応えられていないのが辛い、苦しかった。
ある時、陰で相手が私について言っているのを聞いた。
私が自惚れてたのに気づいた。
ハハッ、笑いが込み上げてきた。やっぱり「ずぅーっと好きでいてくれる」なんてない。そりゃ相手も私と愛し合えると思っていたのだろう。
自分勝手な考えに嫌気がさす。努力もせずに愛し合うことなんて出来ないんだ。
終わりにしよう。全部。
別れを切り出す。相手の顔が一気に変わった。
冷め切った目で見られているのがとても居心地悪かった。
相手からの言葉は棘によって作られた傷に塩を擦り込むようだった。それぐらいされてもいいくらい、私は悪いことをした。
自分なんかが人を愛せる人間だと思っていた。
そのくらい自分に自信があったんだろうなと思った。
気持ちが悪い。
これで嫌いになれたかな。