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球児転生~剣と魔法の世界を戦い抜きます~  作者: 白熊公爵
第一章 転生、そして初心冒険者
19/22

1-15.フォカロル

久々投稿……

本職忙しい……

コンコンとドアをノックし、スタマーレが入ってくる。


「父上、お呼びでしょうか?」

父であるショッコ・パテーティコ公爵に呼び出された息子、スタマーレが公爵の私室に入ってきた。


「これを。」

そういうと、<悪魔(ホルンズ)の角笛(ディアボロス)>を差し出した。


「これはなんでしょうか?」

角笛をみて、スタマーレが冷や汗をかく。


「案ずるな。これは悪魔の角笛と呼ばれるアイテムだ。これを吹くと、自身から半径30メートル以内にいる魔物を狂暴化させて意のままに操るという魔のアイテムなのだ。」

公爵が角笛の説明をする。


「これを用いれば、あの王女のお気に入り(キャッスルフォルト)を打ち倒すことも可能だろう。」

続けて、アーマルドのことを娼嫉しているスタマーレにそのこのことを伝える。


すると。

「そうなのですか!?そんな貴重なものを私が頂いてもよろしいのでしょうか?父上のお役に立つようにお使いいただいた方が……」と目を輝かせつつも、父のために、と断りを入れる。


「良い。これを私に差し出した者と改めて交渉すれば良いのだ、気にする必要はない。」

公爵は窓の外を見ながら言った。


「しかし使いどころが難しいですね……奴が依頼を受けている時ではないと……」

奴は最近依頼を受けていないというしな、とボソッとつぶやくと、


「実はパテーティコ公爵家には<幻想の鈴生り(イッルジオネコォポ)>という組織があってな、そいつらに命じて監視させていたところ、初心者ダンジョンへ行くとの情報を得たようだ。やつも気付いてはいないようで無警戒だったらしい。」

そう思っているのは公爵だけなのだが。


「なるほど、では隠れて一緒にダンジョンに入れれば、チャンスがあるというわけですね?」

と、納得した。


「確かにそうなのだが、隠れてはよくない。タイミングを変えて正規の手順でダンジョンへ行きなさい。公爵家兵団の一部を引き連れ、修練のためと言えば苦も無く入れることだろう。そしてそのアイテムを使う。狂暴化した魔物が奴らの集団を襲う。キャッスルフォルトが力尽きたところにタイミングよく遭遇し、兵団とともに王女を助ける。さすれば奴は排除でき、王家からの感謝も公爵家へと送られ、お前は王女との仲を王家公認で得られる。」

と、考えを述べた。


「さすが父上。感服いたしました。」

と、スタマーレも感心している。


「奴が計画したのは週末のようだ。兵は私が選抜しておくので、お前は念のためダンジョンへ行くにふさわしい準備をしておくのだ」

「フフフ……」

「わーはっはっは」」

2人は笑いあい週末を待つのであった。




*   *   *


「ダンジョンは薄暗くなっておりますので、注意をお願いいたします。緊急なトラブルがあればお知らせをください。」

入り口の兵隊さんが丁寧に教えてくれた。


「じゃぁ、行こうか!」

合図をする。


「皆さん、ユリアナさんに言われた通り注意していきましょう!」

とマリアが付け加えた。


みんなも気合が入っている。

返事も前を向きながらの頷きのみだった。




ダンジョンは全部で10階層。

各階層出現する魔物は同じで、小鬼(ゴブリン)豚頭人(オーク)蜥蜴人(リザードマン)

階層ボスで1~5階層は鬼族(オーガ)

6階層で先の魔物に加えて不死族(アンデッド)

7~8階層で骸骨(スケルトン)

9~10階層で吸血鬼(ヴァンパイア)が出ると言われている。

それなのに初心者ダンジョンと言われているのは、5階層まで初心者に丁度良いとされ、階層深く立ち入らないからである。

ちなみに、地図は10階層までしっかり記載してある。

この地図を作成に貢献したのがゴリさんらしい。

意外とすごいゴリさん。



「とりあえず目指すは5階層。そこまで行って階層ボスに挑戦して終わりにしよう。」

と計画を先に伝えた。


正直6階層以降も進んでみたいとは思うが、実力が見合わないで進むと痛い目を見ると思うので、みんなも5回で終わることは賛成だった。


「よっしゃー火球(ファイアボール)!」

熱水弾(ボイルバレット)!おりゃぁ!」

身体強化(ストレングス)剛腕豪打(ヘビースマッシャー)!である!」

風刃(ウインドブレード)風刃(ウインドブレード)!」


みんな魔力制御の練習をしっかりしていたようで、魔法攻撃力が上がっていた。

まだ完全無詠唱まではいかないが、イメージした技を唱えるだけで攻撃できるようにはなっていた。


「みんな急激に成長したね!」

「今まで完全詠唱してたのバカバカしく感じちゃうわぁ!」

「これはもっと魔力制御の練習して、無詠唱で魔法を撃てるようにならないと!」

「いやぁ、眼福だねぇ」

神託<魔法使い>組のリーン・ベル・ロキは練習の成果に感動している。

ルイスがベルの喜んで寄せ上げられた巨乳を見て感動している。


ルイス……気持ちはすっごいわかる。

あれは眼福だよ?

でも、口には出さないでおいてよ……

ほら、ヨーデルが気になってこっち向いた。

にやにやしながら、ルイスと一緒にヨーデルとベルを交互に見ていると、

「ちっがうよ!そうじゃない!」と一生懸命否定してた。

男なんだ、あんな揺れる胸(巨乳)あったら見るのは仕方ないって。

マリアがこっち見てる気がする。

き……気にしない……




みんなが魔法の威力に感動しながら、5階層のボスも難なく倒した。



「どうしよう。思ったよりみんな楽々だったな……6階層以降も注意しながら進んでいこうか?」

と提案してみる。


「「「いゃっほぅい!」」」

ヨーデル・クリス・ユージンの<剣得意>組が喜んだ。

そりゃ今まで魔法は苦手意識あったんだから、あれだけ魔法を使えるようになったらそりゃ嬉しいだろう。


「ここからは不死族が出ますから、魔法得意組は率先して討伐してくださいね!」

マリアも気合入っている。

どうしたもんか……


「アードは何か不安なのかい?」

ルイスが察したように聞いてきた。


「いや、なんか順調に進んでるからこの先躓いたらみんな対処できるかなってさ」

微妙に不安があることだけ伝える。


「確かに順調ではありますよね、でもそこまで考えてはなかったですが」

ロイドも思ってはいたが、不安ではなかったようだ。

まぁでもみんなの実力も上がっていることは間違いないから、8階層くらいまでなら問題ないかもしれないけど9階層からの吸血鬼はマズい。

流石に俺が参戦しないと厳しい戦いになる。

別に自信があるわけじゃないけどさ。


「お゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

不死族の群れが劈く唸り声で迫ってくる。


「「うっぎゃぁぁあぁぁ!気持ち悪いぃぃぃぃぃ!」」

リーンとシェリーが叫ぶ。


死者浄化の光(ターンアンデッド)

ヨーデルが光魔法を唱える。

へぇ、さすが聖騎士。

神聖なる属性とも言える光魔法を使えるなんて、さすがだな。


「ヨーデルいるからこの階層もラクショー!」

リーンがさっきまで叫んでいたくせに、ヨーデルの魔法を見たら急に強気になった。


「……でもね」

ヨーデルが後ろを指差し、続ける。

「全然威力ないんだよね」

そういうと、アード助けてっと言いながら笑っている。

……あぁ、ほぼ消滅させられないのね……


「たしかに、不死族には光魔法は有効だけど、火魔法も有効だよ」

そうヨーデルに教えてから、通路に群がる不死族の群れたちを蒼炎を放射し焼却処理していく。

そしてどんどん進んでいく。


「へぇ、火も有効なんですね」

マリアが後ろから覗いてきた。


「でもね、火を使うとさ、匂いがさ……」

焼いてるから匂うのよ……

まぁまぁ臭いの。

みんな、使うときは注意してね、こんな換気されないとことか特に。


「さぁ、どんどん行きましょう」

マリアがみんなに声かけた。




そして、8階層の階層ボスに挑戦し終わり、帰るところで謎の音が聞こえてくるのだった。



*   *   *


「坊っちゃん、あんまり進みすぎると危ないでっせ?」

スタマーレの付き添いを支持され一緒にダンジョンにきている公爵家私兵団の1人が、声をかける。


「何をいうか。早く先に進んでおかねば、奴らがきてしまうではないか。」

スタマーレは、父から貰い受けた角笛を試すために、いい場所がないか探しながらぐいぐい進んでいく。


「そうかもしれませんけどねぇ、我々でも9・10階層は簡単には進めませんよ?」

私兵団でも10階層ボスは厳しい、というらしい。


「構わぬ。階層ボスは全て避ける。戦闘も最小限。奴らに気取られないように注意して先回りをする。そして、戦い終わり疲れた復路でこのアイテムで魔物を凶暴化させるのだ」

自分たち、ではなく自分はアイテムにより凶暴化した魔物は襲われないため、下層の強力な魔物も怖くないのだ。

奴らはこのダンジョンはどこまで攻略するかわからないが、先回りしておくことに越したことは無い。

キャッスルフォルトの実力はかなりのもので冒険者の間では話題になっているらしい。

本当かどうかは知らないが、登録時の試験であの元Aランク冒険者ゴリウスに勝ったとか。

もし本当なら、単独で8階層まで来れるはずである。

今回やつはクラスの次子(じし)どもときているらしいから、無理をしない可能性がある。

まずは6階層で待機しよう。

そして、潜伏し斥候にどうなっているのかを確認させて置けば良い。

まずは帰るタイミングまで待つまでだ。



「スタマーレ様、対象が5階層に入ったようです。どうやらこのまま下層を目指すようです。いかがいたしましょうか」

潜伏している私兵から連絡を受けた上官が、スタマーレに報告をする。


「ほ…ほぅ。奴の指示なのか?それに5階層を踏破するのがずいぶん早くないか?」

5階層で帰るものだと思っていたスタマーレは驚いた。


「どうやら、メンバーにどうするか確認した上で、下層に降ることを決めたようです。」

キャッスルフォルトの独断ではないですよ、と私兵がつけ加える。


「どこまで行こうとしているのか確認したか?」

待機場所を変えねばならない。

もし最下層まで行くとなると、同じフロアでの鉢合わせだけは避けなければならない。


「8階層を目安というしているようです。我らは9階層で待機するくらいなら問題ない戦力かと思いますので、先に9階層まで降りましょうか?」

私兵の指揮官がスタマーレに提案をする。


「そうだな。先回りをして奴らの動きを注視しておくのだ。」

「はっ!」

私兵指揮官は敬礼をし、部下に指示を出してく。



奴ら、順調に進んでいるようだ。

6階層からは不死族も出現し、初心者冒険者には厳しいダンジョンではある。

倒せないということはないが、準備をしてなければやられてしまう可能性もある魔物である。

報告では、悲鳴をあげてはいるものの、誰も重度の負傷をする事もなく進んでいるようだ。

意外と実力があるらしい。

私兵も、中等学院に通う生徒の強さではないと思っている。

この笛でどこまで魔物を強化させられるのか。

聞けば、ほぼ苦なく魔物を討伐しているらしい。

この笛が、どこまでの効力を発揮するのか。

どのくらい強化させられるのか不安だが、下層の魔物は強力ゆえに強化も大きくされることだろう。

魔物は知性がないので、操ってアイツらの動揺を誘い、数の暴力。

どんなに力が強くても数に圧殺されればどうしようもないはずだ。


いろいろなことを考えているうちに不安が募る。

そんな時に、

「スタマーレ様、奴らは8階層までの攻略を完了し、ダンジョンを出るようです。準備いたしますか?」

私兵が声をかけてきた。

準備をすることなどないだろうと思いつつも、

「これより、この〈悪魔の角笛〉を吹く!」


スタマーレは角笛を吹いた。


そして、スタマーレ一行は全滅した。


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