1-13.初依頼の報告会
凄い久しぶりです。
「みんな!おっはよー!」
リーンが元気よく教室に入ってくる。
だが、返事をするものはいなかった。
「……あり?どしたの?みんな?」
リーンが不思議そうな顔をした。
「おはよぅ~」
たまたますぐベルもすぐ教室に入ってきた。
「あらぁ?」
ベルもすぐ異変に気付いた。
「あぁ、おはよー」
ユージンが気の抜けた返事をした。
「ユージンもそうなんだけどさぁ、なんかみんなも元気ないよね?」
リーンはルイスに聞いた。
「なんかねぇ、みんな散々だったみたいだよ?」
ルイスは引き攣った笑いをした。
「え?失敗したの?」
リーンはえぇぇ!?と驚いた。
「いや、成功したよ」
俺がそう答えると、
「じゃぁなんでみんな暗いのさ!」
ヨーデルがちょうど登校してきて、話に入ってきた。
「実は……」
マリアが四御の明星の昨日の依頼内容を話した。
「「「「はぁ!?」」」」
声が揃った。
「こっちはですね……」
ロイドも紅蓮の閃光の依頼内容を話した。
「「「「えぇぇぇ」」」」
またもや揃った。
* * *
「ロイドたちの依頼内容は……まぁ、素早い兎だからまぁそんなもんって気はするけど」
ヨーデルは最後襲われたことには触れなかった。
「でもさ……」
リーンが俺とマリア、ユージンとシェリーをそれぞれ見て、
「「「「ないわぁー」」」」
ルイス、ヨーデル、リーン、ベルは感情が冷えた声を揃って出した。
「それで、みんなの依頼の結果を聞いてから冒険者活動するか、部活動の時間を活用して勉強とか訓練をするか考えようかと思ってさ」
俺が、なんかクラスで立ち上げた部活の部長的立ち位置にいるからさ、と付け加えて説明した。
「アード君はみんなみたいに暗くないんだね?」
リーンがメンタル強いね、とニヤニヤしてきた。
なんだよ、なにも感じないおバカみたいな扱いはやめろ!
「俺はそんなミスらしいミスはしてないからな。」
ドヤァ!と言ってやった。
リーンは苦笑いしてた。
「まぁ、うっかり森の一部を吹き飛ばしそうになったくらいだよな?」
とユージンが茶々入れてきた。
「それはそれで反省しなよ……」
ルイスが苦笑いしてた。
やりたくてあんな爆発させたわけじゃないからな?
人を爆発魔みたいに言わないでくれよ?
「リーンさんたちはどうだったのですか?」
マリアが無冠の四頭の4人に依頼の結果を聞いた。
「私たちはシーリングに行ったんだけどね、それはもう大成功!」
リーンは自信満々に答えた。
「……リーンは畑で火魔法を放とうとしてたよね?」
ヨーデルがリーンのことをジト目で見た…
「あはは……でもでも!失敗はしてないじゃんさ!」
ごまかし笑いをしつつ、成功したよね?と確認していた。
「みんな、依頼は達成はしてるよ?でもそれ以外で課題点があったから落ち込んでるんでしょ……」
ルイスはまったく……とあきれていた…
「リーンとベルは剣術とか体術が残念だったよね」
ヨーデルはしばらく魔法を使えず不満を漏らしていたことを、暴露した。
「だってぇ、苦手なんだもぉん」
ベルは別に剣や肉体ではなく、魔法や魔法をサポートする魔法具で今後戦闘技術を高めたいと考えていることを教えてくれた。
まぁ、確かに剣や体術が不向きな体をしているから仕方のないことか?
「ルイスとヨーデルは?」
一応みんなどうだったか聞きたい。
「僕たちも巨腹鼠に少し手間取ったよ」
巨腹鼠か。
確かに初心者冒険者でもあまり手こずらない、低レベルの動物じゃなかったか?
もちろんそう考えているのはアードだけで、実際に初心者冒険者レベルの人間が相対すると火力が足りずに手間取るケースは多いのだ。
「そしたら、全体的に攻撃力への不安があるような感じだね。そしたら、今後の活動は魔法・剣術・体術を鍛えていく方針でいいかな?」
みんなに確認すると、
「「「「「「「「「「「賛成!」」」」」」」」」」」
と返事が返ってきた。
奴隷組も参加したいとのことなので、先生から許可をもらえたら一緒に訓練していくつもりである。
ちなみに魔法についてだけど……
「みんな魔法を放つ時に詠唱してるでしょ?なんのために詠唱してるか、意味がわかってて詠唱しているか答えられる人いる?」
気になっていたことを確認してみた。
「そういえば、実力測定の時に詠唱しているのを見て驚いてましたね?」
マリアが思い出したように返事をする。
「そもそも、魔法って詠唱をしないと発動しないんじゃないの?」
ロキが不思議そうに聞いてきた。
「うん、イメージで何をどう発動させたいかを具体的に明示することで、発動させられると聞いています。」
ロイドがそう言うと、みんな頷いている。
そうか、そう位う認識だったのか
「実は最近、魔法って詠唱をそんなに工夫しなくても発動できるんだよ」
詠唱なんてしなくても、魔法はできるよと付け加える。
「そりゃぁアードが無詠唱で魔法を使ってるからそれはそうなんだろうけど……」
ルイスは呆れ気味に答えた。
「そうよねぇ、でもどうやってそんなことどうやってぇ……」
ベルも詠唱しないで魔法を発動させるなんて、イメージができないようだ。
うーん…
うーーん……
うーーーん………
みんな頭を悩ませてるなぁ。
「まぁ、まずは魔法を発動するのに、コレまでの概念を捨てないとね」
長い訓練になりそうだ。
「おはよう、席につけー!」
先生が来たので、この続きは放課後にしよう。
* * *
授業も終わり、放課後にみんなで集まる。
俺は黒板の前にたち、黒板を使いながら、説明をしていく。
「まずは、無詠唱で魔法を発動する前に、魔法を発動するために必要な魔力の制御をできるようにならないとね。」
強力な魔法を発動するには制御できる魔力の量が多くないと、そもそも発動できない。
膨大な魔力を制御できなければ、強力な魔法を使うことはできないのだ。
制御できる魔力量、即ち自分の魔力量と同義なのである。
まぁ、まったく一緒というわけではないのだが。
「魔力の制御?ですか?なんでそれが大事なの?」
神託が魔法使いのリーン・ベル・ロキは気になるようだ。
首をコクコク振っている。
「例えば、火球を使いたいとするよね。自分が使える魔力が少ないと……この大きさしかできないよね?」
わざと小さい火球を作り出し、見てわかりやすいように説明をする。
「でも、使える魔力が大きいと……こんな感じでただの火球でも、ほら大きくなる。」
さっきの火球に魔力を注ぎ、大きい火球を作り出していく。
「ちなみに、無詠唱で魔法を使う場合はなんで火が燃えるのかとか、なんで風が吹くのかとか色々考える必要があるんだけど、それは一回置いといて……魔力制御がしっかりできるようになると、こんな風に……」
火球をなくし、手のひらに魔力だけを集めていく。
「……確かに、膨大な魔力が手のひらに集中してますね…」
マリアが手のひらを見つめながら、見様見真似で魔力を集めている。
「あとは、集めた魔力に火のイメージを乗せると……ほら、こんな感じで魔力のこもったただの火球の完成」
改めて火球を作り出す。
「なるほどねぇ、ただの下位魔法でも魔力の制御ができるとぉ、中位魔法や上位魔法並みの火力が出る……って言うわけねぇ」
ベルが机から身を乗り出し、感心している。
相変わらず、無意識に腕で胸を寄せ上げるんだよなぁ……
天然なのか、小悪魔なのか……
ドキッとする俺もこの世界に生まれた年相応になったのかなぁ……
「まぁね。扱える魔力が少ない人の中位魔法より、扱える魔力の多い人の下位魔法の威力の方が強くはなるかな」
まぁ、実際攻撃魔法に上位も下位もあんま関係ないんだけどね。
回復魔法も魔力量が大きくなれば、その分回復速度も一度に回復できる人数も増えるってだけだし。
この世界の魔法を使う人間は、魔法にランク付けして詠唱呪文書に頼り過ぎなんだよなぁ。
国家間戦争で詠唱なんかしてたら、どんな魔法を使うかバレバレだし対策されちゃうのにな。
「そしたら今日は魔力制御の訓練するの?」
ユージンが今日の訓練を気にする。
「うん。っていうより、しばらく魔力制御の訓練にするよ。剣術や体術と違って実践あるのみってわけじゃないし、すっごい地味な訓練になるから忍耐力もつけられるよ。」
「「「地道な魔力制御の訓練かぁぁぁ」」」
ユージン、クリス、ルイス、の3人は、どちらかと言えば肉体はなので、剣術や体術が良かったとばかりの大きなため息をついた。
……魔力制御で魔力量が多くなれば、肉体強化ももっと強固になるんだ!
そう思って頑張ってほしい!
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