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球児転生~剣と魔法の世界を戦い抜きます~  作者: 白熊公爵
第一章 転生、そして初心冒険者
16/22

1-12.それぞれの初依頼”無冠の四頭”


〈無冠の四頭〉の4人は冒険者ギルドにある机を囲って座っていた。


「ねぇ~、依頼、どうしよっかぁ」

リーンは足をプラプラさせながら3人に聞いた。


「初依頼ですから、無理しない程度ならいいかなぁ」

ベルも、クラスに馴染んだおかげで、普通に話すようになってきた。

机に肘をつき頬杖をついているので、胸が机に乗っかっている。

自己紹介の時にはおどおどしてる印象が強く、皆気付いてなかったのだが、実はクラスで一番発育した体の持ち主なのだ。

服が大きくはだけてかなりの主張をしている。


「「・・・」」

ヨーデル・ルイスの男二人はちょっとモジモジしている。

(わざと・・・?いや、天然か?)

(さすがにクラスの女の子では恥ずかしいよねぇ)


「・・・」

リーンは羨ましそうにベルの胸(巨乳)を凝視していた。。


「い、依頼はさ、討伐・採取ってのがFランクで主要(メイン)になるけど、みんなは何が良いの?」

とヨーデルがどうするか確認する。


「戦闘以外がいいかなぁ」

ベルは初依頼だし、と再度付け加えた。


「チームでやるからこそ戦闘経験を積みたいかなぁ」

ルイスはチームだからこその連携を確認したいらしい。


「じゃぁさ、魔物は初依頼だし避けることにして、なんか駆除するみたいなやつは?」

リーンが危険が少なく、連携もある程度確認できる動物駆除を提案。


「ちょっと掲示板見てくる」

ヨーデルが席を立つ。


しばらくすると、

「こんなのはどうかな?」

と依頼書を見せてきた。


[畑を荒らす巨腹鼠(チャビーラット)


「これって安全?」

ベルが不安そうに聞く。


「ちょっと待ってね」

ヨーデルが受付嬢・・・ユリアナが不在なので別の人のところへ行き、本を持ってきた。


「あの受付嬢・・・アリシアさんって名前なんだけど、めっちゃ優しかった」

受付嬢の対応の感想を言いながら、ヨーデルは借りてきた本を開いた。


「ナニコレ?」

ルイスが本を除きこむ。


「魔物や動物の情報が載ってる図鑑だってさ。巨腹鼠(チャビーラット)の情報が載ってるかもって借りてきた。」

意外と慎重派ヨーデル。

父が騎士爵になったことで、事前準備をしっかりすることを学んだらしい。


「「貸して」」

リーンとベルが図鑑を奪い取る。


「「・・・」」

ヨーデルとルイスはとられて目が点になった。


「えぇっと?ナニナニ?巨腹鼠(チャビーラット)は、畑のある草むらに生息して?毛並みが粗くて?足の指先に水掻きがあると・・・」

リーンが声に出して読み上げる。


「それからぁ、硬い前歯でなんでもかじるってぇ。巨腹鼠(チャビーラット)が近くに生息している畑の作物は、味が良くてぇ、絶品なんだってぇ!」

立って机に手をついているベルだが、胸を挟んだ状態になっているので、ギュッと寄せられた状態になっている。

特に意識してないので、溢れそうになったいる胸に気付いていない。

・・・のはベルだけだが。


「ちなみに依頼の場所は?」

ルイスが確認する。


「北にある、シーリングって港町だね。・・・港町に畑?」


「あぁ、その港町なら知ってるよぉ。うちのホテルの料理で使う食材を仕入れてるの。確か農業組合があって、近くで管理してるらしいよぉ」

とベルの情報。


「・・・馬車で2時間かかるって書いてあるよ?」

ルイスは遠くていやだ、と言わんばかりに時間のアピールをした。


「??今が13時で、往復4時間で17時、依頼を1・2時間で済ませられれば18・19時には帰って来れるよ?」

と、リーンが何かいけないことあったっけ?というように返事した。


(遊ぶ時間ないじゃないか・・・)とルイスが思っていることは誰も知らなかった。




馬車で向かうこと2時間、シーリングに到着した。


「う~ん!海に入りたい!」

リーンが潮風も気持ちい!と言いながら海を見ていた。


「門から海まで一直線で見えるのか。これは良い景観だな。」


「港町だからねぇ。そんなとこで海水浴はできないわよぉ・・・」

ヨーデルは町の感想、ベルはリーンに対し静かに突っ込みを入れた。


「まず組合に行ってどこの畑か確認してからネズミ駆除といこうよ」

ルイスが気合を入れている。


「?そうだね??」

リーンは気合の入っているルイスを不思議そうな顔で見ていた。


(早く帰って遊びたい!)

これがルイスの原動力とは誰も知らず・・・



組合員に案内されて被害のある畑に到着する。


「これはひどいねぇ」

思わずルイスが口に出す。


「そうなんだよ。最近この時間くらいになると毎日のように食い漁ってくんだよ」

組合員のギーグさんが答える。


「では、待っていればそろそろ来る・・・と?」

ヨーデルが確認すると、


「あぁ。大体10匹くらいで来るから、駆除頼むよ。」

ギーグさんが頭を下げる。


「まっかせて!」

リーンがない胸を張る。


「では周囲の見回りでもしよぉよ」

ベルが歩き出しながら、あたりを見回した。



畑には柵がしっかりとしてある。

しかし、柵の一部がなくなっている。

巨腹鼠に食いちぎられた痕だろうか。

目測15m四方を柵で囲われた畑数カ所点在している中で、どこも少しずつ荒らされているのだ。


「なぜ少しずつ畑が荒らされているのでしょうか?」

ヨーデルがギーグさんに尋ねる。


「畑はそれぞれ違う種類の作物を育てているんだが、多分同じ種類の作物を一度に荒らすのではなく、色々な作物を少しずつ荒らしているのだろう」

ギーグさんも悔しそうに答えた。


「意外と頭いいんですねぇ」

頬に手を当てながらベルが驚いた。


ガサガサガサっ


茂みが揺れた。

そして巨腹鼠(チャビーラット)3匹が姿を現した。


「意外と大きいですね・・・」

ヨーデルが身震いした。


「前歯も大きね!」

リーンはあんな種類の動物がいるんだ!と感動している。


「ほんとに美味しい作物なのねぇ、まるまる太ってるわぁ」

ベルは作物がどれだけあるか美味しいのかが気になっている。


「いやいや、そうじゃなくて・・・数が聞いてたより少なくない?」

ルイスが3匹しかいないことを確認した。


「確かに少ないなぁ、近くに潜んでいるかもしれないから、警戒はしてくれるか?」

ギーグさんもいつもより少ないことに疑問を持つが、いつもが10匹くらいいるので警戒して欲しいと願い出た。


「もちろんです。」

ヨーデルが返答し、


「じゃぁ、僕とリーン、ベルであの3匹を当たろう。ヨーデルは他のところに出てこないか警戒しといて。」


「オッケー!」「りょーかぁい」

ルイスの指揮に女子2人が返事をする。


ヨーデルも、

「任せて、もしすぐ倒したら僕のカバーもしてくれよ?」

と、周囲の警戒に回った。



ルイス、リーン、ベルが巨腹鼠(チャビーラット)と向かい合う。

巨腹鼠(チャビーラット)は単純な性格をしているので、向かい合ってきた3人をじっと見る。

攻撃を仕掛けようとしおてくる相手には、自分も攻撃をしようとする。

ただ、餌を狙うときには、すべてを襲って作物を貪るのではなく、いろんなものを少しずつ貪っていく。

食に対しては頭が良く、徐々に食らっていく。

つまり、一点においては頭が良く、それ以外には誘引される単純な動物なのである。


「火よ・・・」

リーンが魔法を魔法と唱えようとすると、


「ちょっとちょっとぉ、畑を焼き払う気ぃ?」

ベルがリーンに魔法をやめるように促す。


「じゃあ、風とか水の魔法・・・」

リーンが別の魔法なら、と確認するも、


「魔法使ったら、畑を荒らしてるのが巨腹鼠(チャビーラット)から僕らになるからね?」

とルイスも魔法を使わないようにできないかと、聞いた。


「えぇぇ!?剣って苦手なんだよぉぉ!?」

リーンも反論してみる。

しかし・・・


「「何か問題でも?」」

と2人に詰め寄られ、


「なっ、なんでもないです」

と答えるしかなかった。


「まずは、畑から巨腹鼠(ネズミたち)を追い払ってから、倒さないと。」


「畑で戦闘すると、剣でも荒らしちゃうかもしれないしねぇ。」

ルイスとベルが巨腹鼠(チャビーラット)に相対しながら、移動を開始した。


一方、ヨーデルは


「う~ん、どこかに巣でもありそうだけどなぁ」

畑に襲来した3匹以外の巨腹鼠(チャビーラット)を探している。


巨腹鼠(チャビーラット)の生息地は、畑の近くに分布することしかわかってない。

では畑の近くのどこなのか、ということになる。


「あっちの方から来ていたよなぁ・・・」

巨腹鼠(チャビーラット)が出てきた茂みに近づく。


「・・・?」


茂みを少し入ったところにある木の根元に小動物なら入れそうな穴が開いている。

覗いてみると、下に穴が伸びているようだった。

あたりを見回すと、この木1本のみではなく、複数の木の根元に穴があるようだった。


「これ、巨腹鼠(ネズミたち)の巣穴かな?」

そう呟くと近くの穴の中で砂の崩れる音がする。


不思議そうに見ていると1匹の巨腹鼠(チャビーラット)が顔を出した。


「うわっ!」

と後ろに飛びのく。


そして、色んな巣穴から多数の巨腹鼠(チャビーラット)が出てきた。


「1、2、3、12!?すでに出てきているのを含めて15匹。予定より多いけど、[10匹程度]と聞いていたからこの程度なら誤差か」

そう呟き、


「急いで向こうと合流して、こいつらを排除しないと」

剣を構える。

巨腹鼠(チャビーラット)の群れはヨーデルに向かい合う。


ヨーデルは少しずつ後退しつつ、目を離さないように注意した。

巨腹鼠(チャビーラット)たちも少しずつヨーデルに近寄っていく。


(この作戦で、無効と合流しよう)

ヨーデルも合流作戦を開始した。



「リーン、ベル!そっちはどうだい?」

ルイスは一足先に1匹仕留め、進捗を確認する。


「えい!たぁ!やぁぁぁ!」


「えぇぇい!」


「・・・まだなんだね」

ルイスは、あはは、と苦笑いしながら反応を見ていた。


そこに

「ルイス!こっちを一緒に行ける!?」

ヨーデルが巨腹鼠(チャビーラット)を引き連れて戻ってきた。


「うわぁ、たくさん巨腹鼠(お友達)いるねぇ。」


「そういうのいいから!」

ルイスに突っ込みを入れた。


「まぁ僕は終わってるからどんどん行こうか」

ルイスは剣を肩でポンポンさせながらヨーデルの方に歩いて行った。


「よっしゃーー倒したーー!」

「私もぉ」


リーンとベルもひとまず終えたようだ。


「うへぇ、あんなにいるのかぁ」

リーンは舌を出しながら、

「意外と大変ねぇ」

ベルは口に指をあて、2人でトボトボしていた。


「でも畑の中じゃないし、気を付けながらなら魔法使っても大丈夫かな?」

ルイスがそういうと、


「畑と反対方向への魔法なら、大丈夫かもね!」

と、ヨーデルも魔法に賛成した。


リーンは目を輝かせている。


「……畑には「やらないよ!」」

ヨーデルの忠告にリーンは被せるように、突っ込んだ。


「いっくよーー!火魔法!火球(ファイアボール)!連続だぁ!」

リーンは詠唱をして、火球を連続で放った。


「……あーぁ」

ヨーデルは焼かれていく巨腹鼠(チャビーラット)を見ながら、ため息をついた。


「どうしたのぉ?」

ベルはため息をつくヨーデルに、近づく。


巨腹鼠(チャビーラット)は味の良い作物を食べてるっていうから、なんか素材になるかなって……」

ヨーデルが残念そうに答えた。


「う~ん、巨腹鼠(チャビーラット)を素材にしたものなんてあるのかしらぁ」

ベルは聞いたことはなさそうだ。


「そんなことより、リーンの撃ち漏らしを狩ろうよ」

ルイスは素材のことは諦めな、と言いながら、5匹残った巨腹鼠(チャビーラット)に向かっていった。


「あ、ちょっとぉ、待ってよぉ!」

ベルも後に続く。


「はぁ……」

ヨーデルは再度残念そうにため息をつき、巨腹鼠(チャビーラット)に向かっていくのであった。



*   *   *



「ギーグさん、討伐完了したよ!」

リーンが元気そうに報告した。


「お嬢ちゃん、魔法が得意なのかい?」

討伐されたことより、魔法を使っていたことが驚きのようだ。

リーンは傍から見るとまだ初等院に通ってそうな見た目をしているので、そういった意味での驚きなのだろう。


「まだまだ、得意って言えないかなぁ。クラスにもっとすごい魔法使う人(規格外の人外)もいるし」

謙遜して修行中をアピールした。


「……アード君は別格でしょうね」

ベルも今はまだまだ、といった感じである。


「そ、そうなのかい……でも、助かったよ、ありがとう!あち、これを。」

ギーグさんはお礼を言い、帰りの馬車の中で食べれるおかしをルイスに手渡した。


「シーリングでとれた野菜を使ったクッキーだよ。」

ちゃっかり、特産品アピールをしてきた。


「わぁぁ!ありがとうございますぅ!」

ベルが飛び跳ねた。

胸も揺れた。


ギーグさんはモジモジするのであった。

12歳に対してモジモジするって……とリーンは思ったが口に出さなかった。



馬車に乗り、

「いやぁ、楽勝だったねぇ!」


「お土産も貰えたしねぇ」

リーンとルイスは上機嫌だった。


「素材がなぁ……」

ヨーデルはまだ残念がっている。


「引きずり過ぎよぉ」

とベルは呆れていた。


「この後はどーする?」

とリーンが確認した。


「冒険者ギルドに報告したら今日は帰ろうよ」

ヨーデルがそういうと、ルイスは目をキラキラさせ、「さすがヨーデル!」と喜んだ。


「そうねぇ、戦闘しないつもりだったのに思ってた以上に戦った感覚あるものねぇ」

とベルも解散の方向で賛成した。


「じゃぁ、報告終わったら解散ということで!」

ヨーデルの締めの言葉。


帰りの馬車の中でみんな寝てしまい、王都に着いたころに御者さんに起こされるのであった。

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