対決前のアミナ。
おまけ、のようなお話。
応援していただくと、以下同文。
――御前試合、当日の朝。
アミナは自室で深呼吸を繰り返していた。
今日の戦いは、自身の成長を見せる以上に特別な意味を持つ。
「あの人を倒して、それで――」
自分は、マルスに気持ちを伝える。
その算段を考えると、胸がキュッとした。
アミナはまさに一人の恋する乙女、少女らしい少女だった。
「アミナ? ずいぶんと、気合が入っているのね」
「お姉様。ノックをしてから入ってくださいまし」
「あぁ、申し訳ありません。しかし、何度も声をかけましたよ?」
「そ、そうなのですか? それは、すみません」
「ふふふ。どうやら、緊張しているようですね?」
そこへ、一人の美しい女性がやってくる。
彼女の名前はミレイラ。ガリア王国の第一王女であり、アミナの姉だった。
妹と同じく桃色の髪をしており、それを腰ほどまで伸ばしている。青の瞳は同じ輝きを放っているが、どこか優しい海を思わせるものだった。
すらりとした身体つきをした彼女は、そっとアミナの肩に手を置く。
「マルスくん、観にきてますよ?」
「ひんっ!」
そして、少し意地悪な声をかけた。
公爵家の嫡男のことは、当然ミレイラも知っている。
さらには妹が彼にぞっこんである、ということも筒抜けだ。
「もう、お姉様!」
「ふふふ! 可愛いわね、本当に」
「意地悪……」
姉にからかわれ、頬を膨らすアミナ。
そんな反応もまた嬉しいのか、ミレイラはくすくすと笑った。
「大丈夫ですよ。貴女は、とても強いのだから」
「…………はい」
だがすぐに、そう言って妹を優しく抱きしめる。
アミナはそれによって多少、緊張が解けたようでもあった。
「そういえば、今日の対戦相手は商家の御子息、でしたよね?」
「え、えぇ。そうです」
「私も少しだけ、興味がありますね。あとで紹介していただけますか?」
「え、えぇーっ!?」
すると、すかさず妹を困らせる姉。
本気なのかそうでないのか、それは分からないが、とにかく困るアミナ。
ニコニコとするミレイラに少女は、一つため息。そして――。
「わかりましたわ。あとで、紹介いたします」
「ふふっ、ありがとう!」
渋々ながら了承した。
ミレイラはそれに感謝を述べて、部屋を出る。
残されたアミナは、窓の外を見て呟いた。
「頑張りますわ……!」
そして、小さく拳を握りしめるのだった。
昼の12~13時に次回更新予定。
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