4.まさかの宣戦布告。
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そんなわけで、翌日。
ボクのクラスには一人の編入生がやってきた。
ガリア王国の第二王女ことアミナは、恭しく礼をして挨拶する。
「わたくしは皆様より年下ではございますが、精一杯勉学に励もうと思います。ですので、なにとぞよろしくお願いいたしますわ!」
クラス内からは拍手喝采で迎えられる。
話を聞くに、彼女は早熟の中でもさらに凄い【超早熟】という才の持ち主。それを考えれば、このように飛び級で魔法学園に入学するのも不思議な話ではなかった。
休み時間になると、当然のようにアミナには囲いができる。
みなが口々に質問を投げかける中、ボクはそれを少し離れた位置から見ていた。
「マルスは行かなくて良いの?」
その傍らにはマルスがいる。
少年は購買で買ってきた飲み物をボクに渡してきた。そして、
「僕は昔から、ずっと一緒に遊んでいましたから。今さら訊くようなことはないですし、それに――」
「それに……?」
「そ、それに! 師匠と一緒にいられる方が嬉しいです!」
そんなことを言う。
ボクは、それを聞いて苦笑い。
頬を真っ赤に染める美少年、というのは需要があるだろう。しかし、残念なことにボクにその気はまったくをもってない。
なので、適当に聞き流すことにした。
という、その時である。
「もし、リンクさん。少しよろしいですか?」
「え、アミナ姫。どうしたんですか」
「お話があります」
アミナ姫が、クラスメイトを無視してボクのもとにやってきたのは。
そして問答無用でボクの手を引いて、教室の外へ。
首を傾げながら、ひとまずそれに従った。
「このあたりで、よろしいですわね」
「あのー……?」
そして、人気のない階段付近までやってきて。
アミナは咳払い一つ。ボクの顔を指さして、こういうのだった。
「リンクさん。貴方に、マルスを賭けて決闘を申し込みますわ!」――と。
…………はい?
「え、それってどういうこと?」
困惑してボクが訊ねると、少女は昨日は見せなかった厳しい表情を浮かべた。
その上で、腕を組みこう続ける。
「決まっているでしょう? わたくしこそが、マルスの所有者に相応しいからです。彼を自由にしていいのは、わたくし以外にいませんから」――と。
…………はい?
「ステイステイ。ちょっと待ってね、アミナ姫? それってつまり――」
ボクは、王女様にこう訊ねた。
「アミナ姫は、マルスのことが……好き、ってこと?」
「ほみゅっ!!」
すると彼女は顔を真っ赤にして、頭から煙を上げた。
それを見て確信する。これは図星だ、と。
「そ、っそそそそそそそ、そんなことありませんわ!」
必死に否定するが、態度はあからさま。
ボクは苦笑いしつつ頷いた。
「だったら、仕方ないか。分かったよ」
「え……?」
ボクは彼女からの挑戦を受けることにした。
するとアミナは意外そうに、首を傾げて訊いてくる。
「よろしいのですか? 負ければ、弟子を取られるのですよ?」
「うーん。まぁ、その時はその時、ってことで」
正直、それでも構わない。
その言葉をぐっと呑み込んで、ボクは適当にあしらった。
「むむむ。手を抜いたら、容赦しませんからね?」
「ははは、分かったよ」
頬を膨らせるアミナ。
ボクはそれを見て、小さく笑うのだった。
決して喧嘩をしよう、というわけではない。
だったら、この勝負を通して三人で仲良くできればいいと、そう思った。
「……では。明後日の休日、昼にお待ちしています」
「うん、分かったよ」
「それでは」
そう言って、アミナは去っていく。
ボクは気軽くそれを見送ったのだが、思いもしなかった。
まさか、この決闘を行うのが『あんな場所』だったなんて……。
次は20~21時かな?




