3.公爵家にて、乱入してきた少女は……。
予定より早いですが、投稿しちゃいます!
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あとがきに、更新目安()がありますので参考に!!!!
「は、はははは、初めまして! この度は、ご機嫌麗しく……」
「あっはっは! そんなに緊張しないでくれ。息子から話は聞いている」
公爵家へ足を運ぶと、なにやら豪華な客間へと通された。
中流家庭の子供であるボクとしては、この状況だけで緊張物だというのに。そこに加えて公爵家の現当主とお近づきになるなんて、考えただけで吐きそうだった。
というか、公爵様――にこやかに笑ってくださってる。
大人な男性だ……。
「あ、あの……」
「マルスが友達を連れてくるなんて、初めてのことだからな。それに、あの子が師匠と呼ぶ少年がどのような子なのか、私も興味があった」
「そ、そうなんですか?」
「そうだとも。マルスは、少し引っ込み思案なところがあるからね」
「引っ込み、思案……?」
あれの、どこが……?
そう思ったけど、どうにかその言葉を呑み込んだ。
そして思い返してみる。言われてみれば、マルスが他の生徒と会話しているのを見たことがなかった。知らないだけかもしれないが、基本的には一人で行動しているのだ。
「そんな我が子が、心を開いたというのだからな。感謝しているよ」
「こ、こちらこそです」
公爵様はボクに頭を下げる。
驚きながら、こちらも合わせて頭を垂れた。
するとなにやら、客間のドアをノックする音がする。
「お父様、えっと――」
「あぁ、もう彼女がくる時間だったか」
使用人が扉を開けると、そこにいたのはマルス。
彼は少しだけ怯えた表情を浮かべて、公爵様を見つめていた。
それを認めて、公爵様は何かを思い出したらしい。彼はボクにこう言った。
「今日はもう一人、客人がくる予定でね。それが――」
「わたくし、ですわ!!」
「うわぁ!?」
瞬間だった。
マルスを押しのけて、一人の少女が部屋に飛び込んできたのは。
桃色の髪に、勝気な印象を受ける緑の瞳。綺麗なワンピースドレスを身にまとっており、それだけで高貴な身分であることが分かった。
背丈はなかなかに小さく、年齢もマルスのいくつか下だと思われる。
「公爵様、ご機嫌麗しゅう」
そんな少女は、ちっとも物怖じせずに公爵様に挨拶した。
それを見て相手もニッコリ笑って、こう言うのだ。
「やあ、よく来たね。アミナ姫」――と。
ボクは、それを聞いて硬直した。
「ア、アミナ姫、って……」
――それって、第二王女様じゃないですか!?
ボクはあまりの出来事に困惑した。
だって、今ココにはこの国を動かす重要人物がそろい踏みしている。もちろん、しがない商家の出身であるボクを除いて!!
「あら、こちらの方は?」
「え、あの――」
「その人は僕の師匠だよ、気安く話しかけないで!!」
言葉に迷っていると、マルスがそう声を上げた。
そして、ボクとアミナ姫の間に割って入る。
「あら、マルスのお師匠様?」
しかし王女様はマルスのことなど、微塵も気にしていない様子で。
ずいっと身を寄せてこう自己紹介するのだった。
「初めまして。わたくし、アミナ・ガリア・オルテンルシアですわ。お気軽にアミナ、とお呼び下さいまし?」
「よ、よろしくお願いします。ボクはリンク、です」
何とか答えると、彼女はニッコリ笑いかけてくる。
それに狼狽えていると、今度は公爵様がこう言った。
「明日からアミナ姫も、特別編入で学園に通うことになるからね。よろしく頼むよ、リンクくん」――と。
ボクはそれに硬直する。
それって、つまるところボクたち同じ学年になるってこと?
「ど、どうなるんだ。ボクは……」
嵐のような出来事の連続に、ボクのキャパシティは限界寸前だった。
とりあえず、明日からまた頑張ろう。
そう思うのだった。
次の更新は18~19時かな。