数百年前の出会い。
幕間というか、本編。
次回更新は20日です。_(:3 」∠)_
これは、今から数百年前の出来事。
「何か面白いことは、ないかなぁ」
その日もアンディーンは、なにをするでもなく湖に揺蕩っていた。
四大精霊である水の精霊として敬われるようになって、かれこれ百年程度が経過。先代の『アンディーン』がこの世から消え去って、自分が担当となって百年だ。
まだまだ未熟な彼女は、ボンヤリと空を見上げること以外に仕事はない。
しいて言えばこの湖、そして神殿を守護することくらいか。
「もぅ、ホントにひまー!」
ぱちゃぱちゃ。
水面をその弱い力でぺちぺちと叩き、駄々をこねてみた。
それでも、なにかが変わるわけではない。遠くで鳥が鳴く声が聞こえて、よりしっかりと静寂を認識できるようになった。それだけだ。
「ぶくぶくぶく……」
顔の半分まで水に沈み込み、アンディーンは周囲を見回す。
こうなったら、なにか面白いことが転がってくるのを待っている場合ではない。自分から探しに出向かなければ、心というものが死んでしまう。
そう考えた彼女は、静かに、慎重に水辺へと移動した。
すると――。
「ん、あれって……?」
数人の人間が、水浴びをして遊んでいた。
どれも年端も行かない子供ばかり。保護者のような人物はいなかった。
どれどれ、どうなるのだろうか。何の気なしに、アンディーンはその子供たちを観察し始めた。
「なぁ、誰が一番遠くまで泳げるか勝負しないか?」
すると、唐突に。
一人の子供が全員にそう提案した。
賛成の声が上がり、みんなが一斉に水の中に飛び込んだ。
「あ、みんな! 待ってよ!!」
しかし、一人だけ勇気が出せないのか取り残された少年がいる。
アンディーンは彼を見て「鈍くさい子だな」くらいにしか思わなかったが、その直後に事件は起きるのだった。
「うぅ……! えいっ!」
その少年もまた、他の仲間を追いかけて水に飛び込んで泳ぎ始める。
しかし、他よりも身体能力で劣るのか、彼は一向に追いつけないでいた。そんな様子を見守っていると、不意に彼の動きに異変が。
それを見たアンディーンは、すぐに何が起きたのか理解した。
「大丈夫!?」
「けほ、けほっ!?」
「落ち着いて、大丈夫だからね!」
少年は誰もいない位置で、足を攣ったのだ。
おそらくアンディーンが助けに行かなければ、溺れ死んでいただろう。彼女は少年を水辺まで運び、足の様子を見た。
幸いなことに、水も呑み込んではいないらしい。
「良かった。気を付けないと駄目だよ?」
「は、はい……あの……?」
「ん、どしたの?」
一通りを確認したアンディーンは、水の中に戻ろうとする。
だが、少年は彼女を呼び止めてこう訊ねた。
「あの、名前を教えてください」――と。
アンディーンは、首を傾げる。
でも、これが彼女にとって大切な出会いになること。
「わたしの、名前……?」
本人はまだ、知る由もなかった。
近いうち、書きたい欲求を満たすために現実恋愛に挑戦するかもです。
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