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2.ミレイラの苦手なこと。

ほのぼの、だと……!?

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「いやー、気持ちいいね! お兄ちゃん!」

「せっかく水着持ってきたんだから、早く遊ぼうよー!」

「二人とも、ちゃんと準備運動しないと危ないよ?」




 ミィとリィに手を引かれながら。

 ひとまず、水着に着替えたボクは湖のほとりへとやってきていた。

 妹たちはこのように、テンションが上がりきっており騒がしい。他の三人の優しい視線が、妙に背中に突き刺さってくる。



「元気ですね、ミィさんにリィさん」

「呼び捨てで良いよ! ミレイラお姉ちゃん!」

「まさかお姫様たちとお友達になれるなんて、思わなかったよね!」

「二人とも、頼むから大人しく……!」



 困り顔のこちらに話しかけてきたミレイラに、二人が無邪気にそう答えた。

 ミレイラは笑顔だったけれど、どう感じているのだろうか。ボクはとにかく無礼がないようにと祈りながら、こう訊ねた。



「そういえば、三人も水着なんだね」

「えぇ、せっかくですし新調しました。いかがですか?」

「あ、そうなんだ。よく似合ってると思うよ」



 ミレイラが身に着けているのは、黒を基調とした上下が分かれているもの。腰には半透明の布を巻いており、大胆な印象が和らいでいた。

 どこか気品があるようにも見えて、なんとも彼女らしい。

 ただ、こういう時に目のやり場に困ってしまうのは正直なところだった。



「それで、マルスとアミナはお揃いの柄なんだね」

「はい。先日一緒に買いに行ったんですけど、これが良いってアミナが――」

「そ、その話は内緒にするって約束でしょう!?」

「あぁ、また甘酸っぱい一ページを」



 マルスとアミナは、黄色の花が刺繍されている水着だ。

 少年のそれはもちろんパンツタイプである。対してアミナは、フリルのついた可愛らしいものを選んでいた。うちの二人みたいな子供っぽいそれとは、また違う。

 何はともあれ、みんな思い思いのものを着ているようだった。


 ボクは自然と笑みをこぼして、



「それじゃ、少し遊ぼうか!」





 宣言すると、みんなが元気よく返事をする。

 そして、それぞれに分かれて行動を開始するのであった。









「ミレイラは泳がないの?」

「え、えぇ。私は基本的に……」



 少しだけ妹たちの相手をして、ふと気になって水辺のミレイラに声をかけた。

 すると彼女は明らかに動揺した様子で、そう答える。


 どうしたのだろうか……?



「それにしても、リンクは泳げるのですね。意外と」

「あぁ、いや。この間までは泳げなかったんだけど……」



 今になって泳いでみたら泳げるようになっていた、というか。

 おそらく【超速成長】の影響で、身体が勝手に泳ぎを習得してくれたらしい。とはいっても、このことはみんなに内緒だ。

 改めて確認するのだが、ボクは変に目立ちたいわけではない。

 ミレイラへの協力は別として。



「……しいです」

「え、なにか言った?」

「な、ななななな!? なんでもないです!!」

「どうしたの、そんなに挙動不審になって……」



 その時、不意に彼女が何かを言った気がした。

 聞き返すと、珍しく素っ頓狂な声を上げるミレイラ。

 首を傾げていると、モジモジとしながら――。



「その。もし、ですけど――」



 彼女は、こう訊いてきた。



「私がもし、カナヅチだったらおかしいでしょうか……?」――と。



 それを聞いて、ボクは察した。



「あ、カナヅチなんだ」

「い、いえ!? そんなことは!! たとえ話です!!」

「そんなに怯えなくてもいいのに」

「うぅ……!」



 しかし、特別おかしくも思えなかったのでストレートにそう言う。

 するとミレイラは、顔を手で覆ってしまった。

 耳まで真っ赤だ。




「うーん、それなら……」




 これは、意外な一面を見た気がする。

 ボクはそう思いながら、こう提案するのだった。



「ボクと一緒に、練習する?」

「リンクと、ですか……?」

「うん」



 恥ずかしげに。上目遣いでこちらを見たミレイラ。

 そんな彼女に笑顔で答えると、しばしの沈黙ののちに……。



「お願い、します……!」



 そんな返事があった。

 ただし、こんな注文付きで。




「でも、みんなの目につかないところで……!」――と。




 ボクは思わず吹き出しながら、それに了承した。



 


今日はもう一話!!!!!



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