5.夏休暇目前。
やりたいイベントは、早めに。
そんなわけで、次々回からまさかの夏イベント発生。
「そういえば、そろそろ夏休暇ですね!」
「あー、もうそんな時期か。二人はどうするの?」
昼休みになって、そんな話題が出た。
ボクはマルスが振ってくれたそれを広げるため、そう訊ねる。するとアミナたちは少し考えてから、このように答えた。
「そうですわね。例年でしたら、公務の合間に避暑地へ出かけたり、でしょうか」
「ボクの家もそんな感じですかね?」
「おぉ、さすが貴族と王族」
避暑地に出かける。
その発想だけで、間違いなく上流階級だった。
何故ならボクのような庶民たちは、まず決まって家の手伝いだ。特にボクなんかは商家の息子なので、ほぼ間違いなく駆り出される。
そんなわけで、少しばかり憂鬱な気持ちだったのだけど……。
「せっかくですし、リンクさんも一緒に行きませんか?」
「え、いいの?」
まさかのまさか、アミナからそのような提案があった。
「もちろん、その……マルスも」
「アミナ……」
「お、そこが本命だな?」
ボクは少女の心を読み取って、思わずニヤニヤしてしまう。
しかしながら、家族からの許可が出るだろうか。
「うーん、嬉しいけど。親の返事次第かな」
「なるほど」
なので、そう答えを濁した。
するとアミナは――。
「それでは、お願いしに行きましょう。お姉様も連れて」
「はい……?」
なにやら、不穏なことを口にした。
ちょっと待て。いまの流れだと、王女二人がうちにくるの?
「そうと決まれば、まずは行動ですわね」
「あの、ちょっと待っ――」
「放課後、さっそくお伺いしますわ」
話聞かないんですけど!
この第二王女、まったく言うことを聞かない!!
「ま、まぁ……」
嫌というわけではない。
ただ、心配なのは両親の反応であって……。
「どうにか、なるかな……?」
ボクは苦笑いしつつ、そう思うことにした。
夏休暇間近。
ほんの少しだけ、波乱の予感が漂っていた。
今日はあと1話更新します。
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