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4.残された謎。

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「師匠にアミナ、昨日は二人とも休んでましたよね。どうされたんです?」

「あぁ、いや。こっちはちょっと体調崩してね」

「わたくしは、少し用事が……」

「へぇ……」



 翌日、普通に登校して。

 ボクとアミナは、マルスにそう嘘をついた。王城での出来事は秘匿されることになり、エビルは行方不明として扱われることになったのである。


 ひとまず少年が納得したところで、ボクは昨日のことを思い出した。







「優しいのですね、リンクは」

「………………」



 王城の一角に、小さな墓を作って祈りを捧げる。

 そんなボクにミレイラが声をかけてきた。なにも、返事はできない。

 いや、するべきではないと思った。エビルがこうなった理由は分からないけれど、優しさを肯定することは、彼への侮辱であるようにも思えたから。


 エビルが最期に残した言葉が、耳に張り付いて離れなかった。

 彼はもしかしたら、ただ彼女が好きだっただけなのかもしれない。



「しかし、目的は何だったのでしょう。それにいったい――」



 ミレイラは考え込んでいる。

 ボクは彼女に、エビルの言葉を伝えてはいなかった。

 彼のやったことは許されるべきではない。それに、もしかしたらあの言葉は、ミレイラにとって大きな負担になるかもしれない、そう思ったから。


 だからボクは、エビルの遺言を墓場まで持っていくことにした。



「ところで、なにか分かった?」



 そこまで考えてから、気持ちを切り替える。

 残されたボクたちにできるのは、この事件の原因究明だ。

 これはあくまで予想の範疇を超えないのだけれど、エビルの裏には何者かがいるような気がした。だって、そうでなければあのような終わりはあり得ないだろう。



「朽ち果てたあの少年の肉体――そこから採取した魔力の痕跡を、いま分析しているところです。ただ、どうにも構造が滅茶苦茶で……」

「結局、何も分からず、か」

「しかし、絶対に謎を突き止めます」

「そうだね」



 祈りを捧げ終えて、ボクは立ち上がった。

 真剣な表情のミレイラに笑いかけて、こう伝える。



「でも、まずはキミが無事でよかった」



 すると彼女もまた、小さく微笑むのだった。



「えぇ、貴方こそ。無事でよかった」




 そう言って、踵を返す。

 後を追うようにボクも歩き出して、しかし一度だけエビルの墓を振り返った。




「………………」




 言葉はない。

 ただ、静かに拳を握りしめてからボクはその場を後にした。






本日、あと二回更新。



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