1.問答無用の一撃。
エビルくんェ……。
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――そして、日が沈み始めた。
警備はいっそうに、ネズミ一匹通さないほどに厳しくなる。
ボクとミレイラ、そしてアミナの三人は客間へ。ミレイラの部屋にはダミーの人形が置いてある。子供だまし程度だけど、少しは時間稼ぎになるだろうと思った。
「ミレイラ、大丈夫?」
夕焼け空を見ながら黙ったままのミレイラに、ボクは声をかけた。
すると彼女は落ち着いた様子で振り返り、いつものように微笑んでみせる。
「えぇ、大丈夫です。私には頼れる方がいますから」
「それって、誰のこと?」
「………………」
「え、なんで膨れっ面になるの?」
ボクは意味が分からず、首を傾げてしまった。
その時、やり取りを見ていたアミナがため息交じりに口を挟む。
「リンクさん、信じられませんわ」
「え、なんで……?」
妹さん、ジト目でこちらを睨むようにしていた。
ますます意味が分からなくなり、ボクは頭の上に疑問符を浮かべてしまう。そうしていると、どこか清々しく呆れたように、ミレイラがこう言った。
「とりあえず、心配はいりません。警備もあの時のような、手薄なものではありませんから。賊はすぐに捕まるはず――」
その時だ。
「ミレイラ様、お逃げください!」
一人の兵士が、客間に飛び込んできたのは。
何事かとボクたちは立ち上がる。すると彼はこう言った。
「賊は正面から警備を突破! 物凄い勢いで、間もなく城の中へ――」
刹那。
「が、は……!?」
何かが、その兵士の身体を貫いた。
そして血の塊を吐き出した彼は、絶命する。
ボクたちは驚きに、言葉を失った。そこへやってきたのは――。
「ここにいたのかァ、リンクぅ……!!」
「エビル……!?」
明らかに様子のおかしい、エビルだった。
顔に手を当てて、肩で呼吸している彼はボクを睨む。そして、
「お前を殺して、オレ様がミレイラ様を守る……!」
「エビル、なにを言って――」
訳の分からないことを口走った。
その直後だ。
「うるせぇ!! お前さえ、お前さえいなければなァァァァ!!」
「リンク、危ない!!」
「リンクさん!!」
数メイルは離れていた彼の姿が、ボクの目の前に現れたのは。
二人の悲鳴が聞こえ、しかしボクは何もできず――。
「がぁ!?」
「リンク!」
エビルの拳を顔面に受け、後方へと吹き飛ぶ。
その先にあった窓をぶち破って、三階以上の高さがある場所から落下した。とっさに防御魔法を使って衝撃に備える。
だが、そこへ――。
「まだまだ、これからだァァァ!!」
明らかに狂った様子のエビルが襲い掛かかった。
そして、またも拳を繰り出す。
「く、何度も同じ手は喰わない……!」
ボクは空中でさらに魔法を詠唱。
エビルに放つのではなく、大地に目がけてそれを撃った。すると轟音と共に土煙が巻き上がり、エビルの視界を奪う。
その隙に受け身を取り、彼から距離を取った。
理解はまだ追いつかない。
それでもたしかなのは、今回の一件にエビルが絡んでいること。
そして、彼は間違いなく殺意を持ってボクに襲い掛かってきたことだった。
「リンクぅ、絶対に殺してやるぜぇ……!」
「………………!」
土煙が晴れると、そこには腕をだらりと垂らしたエビルの姿。
狂気に満ちたその瞳に寒気を感じながら、剣を構える。
すると相手は、突然に――。
「あっは、ははははは、あはははははははははははははは!!」
笑った。
完全に意思の疎通ができない。
もはや怪物と化した存在に、ボクは――。
「キミは、いったい……」
短い、そんな疑問しか浮かんでこなかった。
次の更新は16時くらいを目指します。
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