表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/56

4.我慢してきた。

うおお、もうちょい加筆したい!w

いつか書き足すかもしれないので、その時は報告します(`・ω・´)ゞ


応援いただけますと幸いです!

頑張りますので、よろしくっす!








「リンク、なにを……?」



 ミレイラは突然のことに困惑した。

 それと同時に、少年の力が想像以上に強いことに驚く。

 また、それだけではない。彼女を抱きしめるリンクは――。



「泣いて、いるのですか?」



 静かに、肩を震わせて泣いていた。

 なにに対しての涙なのか、それがミレイラには分からない。

 もしかして、またも同情の涙なのだろうか。そう考えて、ふと気持ちが落ち込んだ瞬間だった。



「ホントに……!」

「……え?」

「ミレイラは、ホントに馬鹿だよ。大馬鹿だ……!」



 リンクが、彼女にそう言ったのは。



「馬鹿、ですか……?」



 ミレイラは、彼の意図が汲み取れずにそう訊き返した。

 すると少年は悔しげな声色で、こう続ける。



「いま苦しんでるのは、ボクじゃない。間違いなく、ミレイラのはずなのに。どうしてそんなに、他人のことばかり心配してるんだ……!」――と。



 ぐっと、また腕に力がこもった。

 まるでそれは、彼女の心がどこかへ行ってしまわないようで。繋ぎとめるために、必死になっているようでもあった。

 ミレイラはその時になって、思うのだ。



 あぁ、この人は違うのだ――と。



 事情を知る者はみな、彼女を腫れもののように扱うか、同情するかの二択だった。それを知ったミレイラは、心配をかけまいと強くあらんとする。

 そうしている間に、ほとんどの者が彼女を心配しなくなった。


 そして、彼女もまたそれで良しとしていた。

 だがリンクは、それを間違いと言う。



「ホントに、馬鹿……!」

「リンク……」



 だから彼は、泣いているんだ。

 それは決して同情の涙などではなく、怒りや憤りの涙。この時になってミレイラは初めて、自分の過ちを叱ってくれる人に出会った。

 相手のことをまっすぐに見て、間違いを間違いと言える人に。


 思えば、この少年は初めからそうだったのだ。

 彼女を色眼鏡を通してではなく、ありのままの少女として見ていた。



「…………!」



 それを理解した瞬間に、ミレイラは――。



「私は、そうなの……」



 あの日、枯れ果てたと思っていた涙を流した。

 頬を伝ったしずくが、リンクの肩に落ちる。それをまた、理解した瞬間――。



「私は、辛かったの。ずっと……!」



 ずっと、溜め込んでいた感情が溢れ出した。

 そこからはもう、ただ流るままに。



「ごめん、なさい。お母さん……! わたし、助けられなかった……!!」





 残してきた後悔と共に。

 一人の少女として、今までの苦しみから。




 ミレイラは、この時ついに解放されたのかもしれなかった。



 


次回更新は、朝に1~2回くらいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「基礎しかできない錬金術師が最強になる話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ