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2.そうそう、悪目立ちしないように……。

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「あれは、いったい何だったんだ?」



 なにが起きたのか分からないまま、ボクは大急ぎで家に帰ってきた。

 一応、ケガ人が倒れている――とだけ、他の生徒に言って。



「防御魔法が、発動したのかな? でも、あれはどちらかというと……」



 反射していた、ように思える。

 でも、それはおかしい。何故なら反射魔法は防御魔法の上位互換だから。ボク程度の生徒が扱えるような、簡単な魔法ではなかった。

 それでも彼の【ファイア】を跳ね返したのは、事実。



「もしかして、これが――【超速成長】?」



 そうなってくると、心当たりはそれだけだった。

 滅多に成功しない防御魔法が反射魔法に成長した、ということなのだろうか。もしそうなら、ボクはとんでもない能力を手にしてしまったのでは……?



「いいや、調子に乗るな。きっと偶然……だと思う」



 自信なく、自分に言い聞かせる。

 ここで調子に乗って、悪目立ちはしたくはない。



「あくまで謙虚に、堅実にやっていこう」



 そう決意を固めて、ボクは拳を握りしめるのだった。







 ――翌日。

 今日も今日とて、実践授業。

 教員は授業の開始と同時にボクを指名し、全員の前に立たせた。



「まだいたのか、劣等生。いい加減、目障りなんだがな」

「………………」



 腕を組んだ彼は、鼻で笑った後にそう言う。

 すると年下のクラスメイト――とりわけ、早熟だと言われている子たちが同調して笑った。笑わないのは、大器晩成と呼ばれている生徒たち。

 空気に呑まれてはいけない。

 ボクは深呼吸を一つ、気持ちを落ち着けた。



「……まぁ、いい。では昨日できなかった炎魔法を使ってみろ」

「分かりました」



 そうしていると、教員が指示を出してくる。

 昨日できなかったこと。どうせできないと踏んでのことだった。

 だけど、ボクは昨日までのボクではない。それを最低限の力で示そうと考えた。悪目立ちはしたくないけど、このまま笑われるのは癪だったのだ。



「いきます……!」



 だから、ゆっくりと慎重に魔力を高める。

 身体の芯の部分が熱くなった。それを指先に。

 そして腕を前へと突き出し、目の前に設置されたハリボテへと放った。




「【ファイア】――!!」




 ――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!




「なっ……!?」

「え、嘘……!」

「信じられない!!」



 すると、ボクの手から出てきたのは龍のような火炎。

 一瞬にしてハリボテを呑み込んだそれは、空へと向かって昇っていく。轟音を上げて、灼熱を撒き散らしながら。最後には空中で霧散した。


 ボクは小声で、こう口にする。



「しまった。やりすぎた……?」



 これでは完全に悪目立ちだ。

 ボクは誤魔化すように苦笑いしつつ、教員の方へと目をやった。

 すると、そこには放心状態になってるその人がいて……。



「に、逃げよう……!」



 その隙に、ボクはすたこらさっさ。

 実戦訓練場を抜け出す。



 他の生徒たちのざわめきを背中に受けつつ、冷や汗が止まらなかった。







「すごい……」



 そんなリンクの後姿を見送る、一人の少年がいた。

 彼はこの時、心に決めるのだ。



「僕の師匠は、あの人に決まりだ……!」




 無邪気に瞳を輝かせて。

 少年は、リンクへと憧憬を抱くのだった。



 


次回の更新は明日の12時~13時頃。



面白かった

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