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1.苦い記憶。

いつもお読みいただきありがとうございます!

ここからは第5章! 応援いただけると幸いです!!

あとがきには、例によって次回更新予定時刻とテンプレです()








 エビルが初めてミレイラに声をかけたのは、入学して間もなくのこと。

 一つ上の学年だった彼女に会うために、まだ幼かった彼は意気揚々と学内を走っていた。そして、たどり着いた教室の前で深呼吸。

 中を覗き込むとそこには、窓の外を一人眺めるミレイラがいた。


 ――美しい。


 エビルは素直にそう思った。

 そして、いてもたってもいられずに足を踏み入れて。



『ミレイラ様、あの……!』

『………………』



 冷ややかな視線にも気づかずに、こう言うのだった。



『だ、大好きです……!』――と。



 それがエビルにとって、人生で初めての告白。

 しかし、返ってきたのは――。



『消えなさい』

『え……?』



 それを微塵に砕く、痛烈な一言だった。



『興味のない人からの干渉ほど、面倒くさいことはないの。だから――』



 無表情、無感情に。



『今すぐ消えなさい。私の目の前から』







「…………あぁ、なんて愚かな」



 ミレイラはふと、目を覚ましてそう呟いた。

 嫌な夢を見たのだ。それは数年前、自暴自棄になっていた頃の自分。周囲に対して当たり散らし、迷惑をかけ続けていた頃の自分の夢だった。

 寝汗もひどい。

 彼女はベッドから身を起こし、腰掛けた。



「本当に、私は間違えてばかりですね」



 そして、そう自責の念を口にする。

 いまでこそ多少、他人に興味を持てるようにはなった。

 それでもまだミレイラには、どこか心の隅に引っかかりがある。



「…………」



 忘れよう、過去は変えられないのだから。

 そう自身に言い聞かせるも、簡単にはいかなかった。呪縛となって手足の自由を奪う記憶の数々に、自然とため息が漏れる。

 そこでミレイラは、枕元にある水を飲もうと手を伸ばした。


 そこで、ふと一枚の紙切れの存在に気付く。



「これは……?」



 訝しみながらも、それを手に取った。

 寝る前にはなかったもの。魔力の類も感じられないので、本当にただの紙切れのようだった。使用人が片付け忘れたメモかなにか、だろうか。

 そう思いつつミレイラは、その紙に書かれた文章を読んだ。


 そして――。



「え……?」



 背筋が凍る。血の気が引くとは、このことだろうか。

 彼女は周囲を確認してから、慌てて立ち上がった。部屋を飛び出して目指すのは、現状で唯一頼れる父のもとだ。

 これは、只事ではない。


 それに何よりも、彼女は命の危険を感じていた。

 自分の身は自分で守れると、そう信じて疑わないミレイラ。だがこれは、大きく事情が異なっていた。



 ――もしかしたら私は一度、殺されていたかもしれない。



 紙切れを見た彼女は、そう感じたのだ。

 何故なら――。




『親愛なるミレイラ様へ――』



 そこに書いてあったのは、異常な内容だったから。




『今宵は寝顔を拝見して帰りますが、明日こそは是非お話いたしましょう。我が心はいつまでも、貴方様の傍にあります』







 深夜の来訪者と、その痕跡。

 それは、命の危機を感じるには十分なものだった。



 


次回更新は、19時にできたらいいなぁ、って。


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


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<(_ _)>

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「基礎しかできない錬金術師が最強になる話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[気になる点] エビルの家格(家の爵位)はどの程度なんだ? 例えエビルの家が公爵家だろうと、そもそも第一王女に告白するのは、無謀を通り越して不敬罪ものだと思うのだけど。 王族に気軽に告白するという事は…
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