5.少年の決断。
ここまで、ある意味大きな序章かも?
次回、あるキャラの視点で幕間を挟みます。
応援いただけますと執筆(ry
「この国を変える、かぁ……」
ボクは自室のベッドに身を横たえながら、ボンヤリとミレイラの言葉を思い返していた。彼女はこの国に起きていることを真剣に語り、伝えてくれている。
だから、その場で可否を決めるのは失礼に思えたのだ。
そんなわけで、優柔不断にもボクは一晩の暇をいただいたわけで。
「かといって、ボクに務まるのかな。そんな大きな役割が」
でもって、めちゃくちゃ悩んでいるわけで。
ボクは半身を起こして、おもむろに自分の手を見るのだった。
「…………」
あまり大きくない、そんな手のひら。
国の未来を語るにしては、笑えてくるほどのそれだった。
それでもミレイラは、そんな手を必要としている。
『あらゆる人に、あらゆる機会を与えられる国に』
彼女の語った言葉で最も印象深いのは、その一言だった。
いまのガリアは、一部の者たちが生まれながらの能力のみで、すべてを手にしている。貧富の差もそれによって拡大を続けており、いずれは崩壊を招くという話だ。
そのために、ミレイラはボクに白羽の矢を立てたという。
平々凡々な生まれであり、大器晩成という『ハンデ』を背負ったボクに。
「でも、それって――」
――ほかにも、あてはまる人はいるのではないか。
そう思ったが口にしはしなかった。
担ぎ上げるのにちょうど良かったから、ボクなのではないか。
そのように考えて、しばしの時間が流れた。結局、その可能性は拭えない。でもだからといって、それを証明することもまた、できなかった。
何故なら答えは、ミレイラの心の内にしかないのだから。
「そうなると、最後は結局……」
ボクはふっと息をついた。
そして、あの時の真剣な彼女の表情を思い出す。
「ボクが、ミレイラのことを信じているか――それだけ、だよね」
そう、最後に残るのはそんな曖昧なこと。
出会って間もない彼女の言うことを信じて、手を取るか否か。
ボクはそれを考えて――。
「そんなの、決まってるよ」
思わず苦笑いを浮かべるのだった。
夜空には、綺麗な星々が浮かんでいる。
一つ一つが個性をもって、力の限りに輝きを放っていた。
ボクはそれに、少しだけいまの状況重ねるのだった。
◆
翌日の明け方、学園にて。
ボクはミレイラと待ち合わせて、まだ誰もいない中庭にやってきた。
すると彼女はすでにそこに立っていて、こちらを緊張した面持ちで迎える。
「答えを、お聞かせ願えますか?」
ミレイラは静かに言った。
そんな相手に対し、ボクはあえて明るく返す。
たくさん考えたからこそ。
そして、ボクは彼女の友達であるからこそ。
「うん、よろしく! まだまだ未熟なボクだけど、それでよければ!」
手を差し出す。
すると、それを見てミレイラは心底ホッとしたように微笑んだ。
「ありがとう、ございます……!」
ボクらは握手を交わす。
忘れてはいけない、決意の朝。
その瞬間から、小さな歯車は回り始めたのだった。
次回は14~15時くらいに。という、あてにならない予想。
前倒し的な意味で。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★評価など。
創作の励みとなります。
応援よろしくお願いいたします!
<(_ _)>