3.この国を変える。
エビルくんを全否定w
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「醜い言葉、だって……?」
「えぇ、そうです。私の大切な友人に吐いた暴言の数々、許しませんよ」
ミレイラはボクとエビルの間に割って入り、鋭い声色でそう言った。
すると、さすがに彼も怯んだらしい。明らかな動揺を見せて後退した。相手の態度の変化をしっかりと確認してから、ミレイラは周囲の人々を見回してからこう声を張り上げる。
「よろしいですか、みなさん! 私はここに宣言いたしましょう!」
そして、こう口にするのだった。
「私はこの国を変えてみせます! 【早熟】や【大器晩成】といった差異に関係なく、誰もがその才を活かすことができる世界に。そして、平等に機会を得られる世界に変えてみせましょう!!」
その言葉に、周囲の学生はざわめく。
何故ならそれは、この国の仕組み――その根幹を覆す言葉だったから。
先々代の国王時代から綿々と続いてきた『早熟の者を重宝する政策』に反逆する、いわばこの国の重鎮たちへの敵対宣言だった。
しかも、それだけに留まらない。
彼女はボクの手を取って、こう言うのだった。
「その証明に、私はこのリンク・リーデアスを――」
一瞬の静寂を切り裂くように。
「生涯の友人であると共に、最重要の側近として扱うことを誓います!」――と。
◆
食堂を脱出して、ボクたち三人は人気のない中庭へと飛び出した。
授業はとっくに開始している。しかし、それどころではなかったのだ。
「ミレイラ!? いったい、なんの冗談!?」
ボクは思わず掴んでいた手をそのままに、彼女に向かって叫ぶ。
すると、なにがおかしいのか。ミレイラは気分良さそうに笑いながら、ボクの慌てた顔を見つめ返すのだった。
「あはは! 大丈夫ですよ、リンク。すべて本気ですから」
「余計にマズイって!?」
無邪気に言う王女に、ボクは思わずツッコミを入れる。
もう、何が何だか訳が分からない。ボクは彼女から手を離して頭を抱えた。
「なにをそんなに悩んでいるのですか?」
「悩んでいるというか、単純に脳の処理が追いついていないんだよ! ちょっと待って、もう少し状況を整理する時間をちょうだい!!」
「あら? そんなに意外でしたか」
「意外というか埒外だよ!?」
もう、ツッコむことしかできない。
そうしていると、隣で静かにしていたマルスがこう言った。
「あの、師匠……?」
「なに? マルス」
「えっと、おめでとうございます! やっぱり師匠は凄いです!!」
「やだこの子、とっても無邪気!!」
――ダメだ! まともなのは、ボクしかいない!!
マルスはもうすでに、ボクの将来に瞳を輝かせていた。
こちらの未来予想図が完成し切っていないのに、おかしいぞ!?
「う、うぅ。落ち着けリンク、クールになるんだ」
ボクは必死になって自分にそう言い聞かせた。
とりあえず深呼吸を一つ。その上で、ミレイラへこう訊ねた。
「そ、それで。どういうつもりなの……?」
彼女の思惑が掴めない。
とにかく、その真意が知りたかった。
こちらの問いかけにミレイラは、柔らかな笑みを浮かべて言う。
「ひとまず簡単な一言でまとめましょう。リンク、お願いがあります」
「お願い……?」
「えぇ、そうです。ぜひ、私と共に――」
手を差し伸べて、握手を求めながら。
「この国を善くするため、貴方の力を貸してほしいのです」――と。
魔法学園の中庭、その中心。
ボクは完全に、呼吸することを忘れてしまっていた。
次回更新は、朝8時頃に予約しておきますね。
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