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3.この国を変える。

エビルくんを全否定w

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「醜い言葉、だって……?」

「えぇ、そうです。私の大切な友人に吐いた暴言の数々、許しませんよ」



 ミレイラはボクとエビルの間に割って入り、鋭い声色でそう言った。

 すると、さすがに彼も怯んだらしい。明らかな動揺を見せて後退した。相手の態度の変化をしっかりと確認してから、ミレイラは周囲の人々を見回してからこう声を張り上げる。



「よろしいですか、みなさん! 私はここに宣言いたしましょう!」



 そして、こう口にするのだった。



「私はこの国を変えてみせます! 【早熟】や【大器晩成】といった差異に関係なく、誰もがその才を活かすことができる世界に。そして、平等に機会を得られる世界に変えてみせましょう!!」



 その言葉に、周囲の学生はざわめく。

 何故ならそれは、この国の仕組み――その根幹を覆す言葉だったから。

 先々代の国王時代から綿々と続いてきた『早熟の者を重宝する政策』に反逆する、いわばこの国の重鎮たちへの敵対宣言だった。


 しかも、それだけに留まらない。

 彼女はボクの手を取って、こう言うのだった。



「その証明に、私はこのリンク・リーデアスを――」



 一瞬の静寂を切り裂くように。




「生涯の友人であると共に、最重要の側近として扱うことを誓います!」――と。









 食堂を脱出して、ボクたち三人は人気のない中庭へと飛び出した。

 授業はとっくに開始している。しかし、それどころではなかったのだ。



「ミレイラ!? いったい、なんの冗談!?」



 ボクは思わず掴んでいた手をそのままに、彼女に向かって叫ぶ。

 すると、なにがおかしいのか。ミレイラは気分良さそうに笑いながら、ボクの慌てた顔を見つめ返すのだった。



「あはは! 大丈夫ですよ、リンク。すべて本気ですから」

「余計にマズイって!?」



 無邪気に言う王女に、ボクは思わずツッコミを入れる。

 もう、何が何だか訳が分からない。ボクは彼女から手を離して頭を抱えた。



「なにをそんなに悩んでいるのですか?」

「悩んでいるというか、単純に脳の処理が追いついていないんだよ! ちょっと待って、もう少し状況を整理する時間をちょうだい!!」

「あら? そんなに意外でしたか」

「意外というか埒外だよ!?」



 もう、ツッコむことしかできない。

 そうしていると、隣で静かにしていたマルスがこう言った。



「あの、師匠……?」

「なに? マルス」

「えっと、おめでとうございます! やっぱり師匠は凄いです!!」

「やだこの子、とっても無邪気!!」



 ――ダメだ! まともなのは、ボクしかいない!!


 マルスはもうすでに、ボクの将来に瞳を輝かせていた。

 こちらの未来予想図が完成し切っていないのに、おかしいぞ!?



「う、うぅ。落ち着けリンク、クールになるんだ」



 ボクは必死になって自分にそう言い聞かせた。

 とりあえず深呼吸を一つ。その上で、ミレイラへこう訊ねた。



「そ、それで。どういうつもりなの……?」



 彼女の思惑が掴めない。

 とにかく、その真意が知りたかった。

 こちらの問いかけにミレイラは、柔らかな笑みを浮かべて言う。



「ひとまず簡単な一言でまとめましょう。リンク、お願いがあります」

「お願い……?」

「えぇ、そうです。ぜひ、私と共に――」



 手を差し伸べて、握手を求めながら。



「この国を善くするため、貴方の力を貸してほしいのです」――と。






 魔法学園の中庭、その中心。

 ボクは完全に、呼吸することを忘れてしまっていた。



 


次回更新は、朝8時頃に予約しておきますね。


面白かった

続きが気になる

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「基礎しかできない錬金術師が最強になる話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] エビルよ……こういう時は、 周囲には聞こえないようにリンクを怒らせて、 先にリンクに手を出させてから、 周囲に聞こえるように「身分の低い乱暴者」扱いするんだよ
[一言] リンクが、ミレイラに振り回される 面白いですね、続きが気になりますね( ̄∇ ̄)
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