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2.食堂での悶着。

まさかのネームドに昇格である。

応援いただけると更新速度が上がります。

頑張りますので、よろしくお願いいたします!


追記:次回ざまぁ回。







「本当に、大丈夫ですか?」

「うん、気にしないで。きっと気のせいだからさ」

「師匠がそう言うなら……」



 昼休憩になり、マルスがそう声をかけてくる。

 だけどボクは少し考えてから、彼には秘密にすることにした。ミレイラが気にしていたのは、こういうこと、というのもあるのだろう。

 マルスは決して能力が高い方ではない。

 何故にボクなのかは置いておいて、これ以上誰かを巻き込むのは駄目だ。


 そんなわけで、ボクは至って平静を装いながら過ごすことにする。

 ただ、少しだけ周囲に警戒しながら、だけども。



「ところで、今日は食堂なんですね」

「あぁ、そうなんだ。母さんが珍しく寝坊したからさ」



 ボクとマルスは、学園にある食堂を目指していた。

 そこには基本的に庶民出身の学生が多く集まっており、なかなかに賑わっている。味も申し分なく、安価であるために、まさしく学生の味方という場所だった。


 だから、そこに彼女がいるとは思いもしなかったわけで。



「あら、こんにちは。リンクにマルス」

「…………なぜに?」



 ミレイラ王女が、日替わり定食をつついていた。



「どうしました?」

「逆に、どうしました?」



 その似つかわしくない姿に、ボクは思わずそう問い返す。

 すると、彼女は首を傾げてしまうのだった。







「意外でしたか?」

「えぇ、それはとても……」



 ひとまず定食を注文して同じテーブルに着く。

 そして話を聞いてみると、どうやらミレイラはかなりの庶民派のようだった。というか、食の好みがそちらより、という感じか。

 ボクは何度も目をこすりながら、苦笑いを消すことができなかった。



「ふむ、なるほど。私の世間的イメージは、そちらでしたか」



 そんな反応を察して、ミレイラは考え込む。

 だがすぐに気持ちを切り替えたのか、こう話しかけてきた。



「しかし、たまには友人と食事、というのも良いですね」――と。



 とても、柔らかな笑みを浮かべながら。

 その言葉を聞いて、ボクはある話を思い出した。



 たしか、ミレイラは人を避けている節がある、ということ。

 興味を持った相手としか口を聞くことはないのだと、アミナとマルスが言っていた。それを直接訊ねるのは気が引けたが、これを機にというのも良いかもしれない。

 そう思って、ボクは話題を切り出そうとした。



 その時だ。




「ふん、リンクの分際で生意気だな」

「え……?」




 一人の男子学生が、そう話しかけてきたのは。

 振り返るとそこにいたのは――。



「あ、お前は……!」

「よお、校舎裏でやり合った時以来だな?」



 同い年の上級生であり、ボクを執拗にイジメてきた男子だった。

 ちなみに、名前をエビル・アークレスという。



「どうしたって、言うんだ……?」



 ボクはあの日のことを思い出し、自然と身構えた。

 するとエビルは鼻で笑って、こう口にする。



「どうしたも、こうしたもねぇよ。どうして庶民で雑魚なお前が――」



 あからさまな敵意をむき出しにして。




「ミレイラ王女と、一緒に食事なんかしてやがるんだ……!」――と。




 周囲がそれに気付いてざわつき始めた。

 だが、彼はそんなことを気にする素振りもなく続ける。



「分不相応だと思わないのか? 自分ごときが王族といる、なんてよ」

「そ、それは……」



 大声で。それはもしかしたら、あえて周囲に聞こえるように。

 エビルはボクを、あるいは笑いものにしようとしていたのかもしれない。



「本当に、面の皮が厚いぜ。いくら積んだんだ? ――答えろよ」

「そんな! お金なんて、これっぽっちも……!」



 そして、彼は濡れ衣を着せようとしてきた。

 まるでボクが、金でいまの場所を手に入れたというように。そのことに、ボクはさすがに苛立った。これはボクだけではなく、マルスやミレイラへの侮辱。

 だから思わず、手が出そうになった。



「はん! 本当に卑しい奴だな!」

「いい加減に――」

「その醜い言葉を撤回しなさい、下郎」

「…………え?」



 でも、その直前。

 大きく声を上げたのは――。



「ミレイラ……?」



 他でもない、王女本人だった。



 


次の更新は、深夜のうちに一回!



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「基礎しかできない錬金術師が最強になる話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[気になる点] エビルは本当に下郎だな。 例え学園が学園内では身分は関係なく、皆立場は同じだと言っていたとしても、 第一王女に一言も挨拶もしないで、第一王女とリンク達の歓談に割り込み、リンクに罵詈雑言…
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