1.超速成長。
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あとがきに次回更新予定が書いてあります!
「大器晩成の人間のため、この力を記す……?」
本を読み進めると、そんな記述に目を奪われる。
いったい、どういうことだろうか。
「『この能力は、大器晩成の私が生涯をかけて編み出したものである。本を読み終えた者に付与され、同時に本は消滅する』……?」
意味が分からなかった。
それでも、ボクはその本を捲る手を止められない。
ペラペラと読み進めていると、意味を理解するより先に内容が頭に入ってきた。どうやらこれは、いわゆる『魔本』と呼ばれる代物らしい。
読めばその能力を手に入れることができる。
特殊な教本だ。
「『最後にこの言葉を贈る。決して諦めるな、私のためにも』――って、うわ!」
そして、最後まで目を通した瞬間。
書いてあった通り、その本は光に包まれて消失した。
残されたのは、その内容について。ボクの頭の中だけに……。
「【超速成長】――これで、修得できたのか?」
実感は湧かない。
それでも、いまのが『魔本』だとすれば身についているはず。
「まぁ、とりあえず時間も時間だし。帰ることにしよう」
そう思って、ボクは図書館を出た。
その時だ。
「うわっ!」
「だ――いってぇ! なにしやがる!」
「ご、ごめんなさい! あっ――」
「てめぇ、リンクじゃねぇか!」
すぐに、あの上級生とぶつかった。
同い年だけれども、早熟であるために期待され、ボクをイジメてくる相手。
彼は額に手を当てて、こちらを睨んでいた。どうやら今の拍子に、強く打ち付けたらしい。とっさに謝ったが、相手がボクだと知った時点で目の色を変えたのだ。
「リンクの分際で、オレ様にケガさせるんじゃねぇ! 分かってんのか!!」
声を荒らげる彼に、ボクは思わず身を固くする。
こういう時、どう謝っても彼は許してはくれなかった。
しかし今回はいつもより苛立っているらしく、指をパキパキと鳴らす。そして、
「ちょうどいい。サンドバックを探してたところだ、こっちこいよ」
「え……?」
そして無理矢理に腕を掴まれ、連れていかれたのは――。
◆
「お前もそろそろ、キチンと退学する気分にしてやらないとな?」
やってきたのは、人気のない校舎裏だった。
彼は意地悪な表情を浮かべて、こう口にする。
「実践授業外での魔法使用は禁止されているが、人目につかなければ関係ないだろ? それがどういう意味か、お前でも分かるはずだ」
「そ、そんな……!」
それを聞いて、ボクは震えた。
要するに彼はボクに対して、校則によって禁止されている魔法攻撃しようというのだ。無防備で、防御魔法もろくに使えないのに。
もしそれを喰らえば、先日のようなケガでは済まない。
「ば、馬鹿なことはやめてくれ!」
「うるせぇよ。引導を渡してやる、って言ってんだ――」
こちらの言葉を聞かず、彼は魔力を高めた。
そして――。
「むしろ、感謝しやがれ……!」
そう言って、こちらに向かって炎の魔法を使用した。
おそらくは基礎魔法の【ファイア】――しかし、早熟の彼が放った火球は、通常のそれよりも大きいように思われる。
ボクはとっさに防御魔法を使おうとした。
「頼む、成功してくれ……!」
必死に魔力を高めて、腕を前に突き出す。
すると――。
「え……!?」
「な、に――」
眩い光の壁が展開された。
そうかと思えば、相手の放った【ファイア】が方向転換。
「が、は……!?」
それを放った少年に、直撃した。
気絶する彼を見ながら、ボクは呆然と立ち尽くす。
「なにが、起きたんだ……?」
そして、しばらく首を傾げるのだった。
次回更新は、今日の23時頃!
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