3.歓談、そして友人。
第3章はもう少しで終わって、事件が起こります。
応援いただけますと執筆速度が上がって、作者が今ヤバいです_(:3 」∠)_
冗談はさておき、感想もお待ちしておりますので~!
「アミナとマルスが、いつもお世話になっているようですね。心より感謝と御礼を申し上げます」
「えっ!? いや、ボクの方こそ二人にはお世話になっているので……」
と、いうわけで。
ミレイラ様を入れて四人でお茶を飲むことになった。
彼女は席に着くと開口一番にそう言って、深々と頭を下げる。あまりに自然な所作に、一瞬だけ気を取られたが、慌ててこちらも頭を下げた。
第一印象としては、アミナの話に聞いていたほど怖い印象はない。
そんな感じだった。
「なんだか、こう言ってはアレですけど――」
だからだろう。
ボクは、思わずヘラヘラとこう言ってしまった。
「思ってたより、普通の方なんですね!」――と。
その瞬間、アミナとマルスの表情が凍った。
それを見てから、ボクも――。
「あ、いや! 悪い意味ではなく……!?」
やってしまった、と思う。
これは、どう考えても失言だろう。王族の方に対して普通、とは何事だろうか。
これはすぐに弁明しないと、打ち首も仕方なし。だから、
「えっと、ですね……? その、親しみやすいということで――」
「…………くすっ」
「ミレイラ様はとても…………へ?」
「あははははっ! リンクさん、とても面白いことを言いますねっ!」
必死になって言い訳をしようとしたのだが。
なにやら、ミレイラ様はお腹を抱えて無邪気に笑うのだった。
相当におかしかったらしい。瞳にはうっすらと涙を浮かべ、それを指で拭う。
「あ、あのー……?」
「あら、すみません。私としたことが」
こちらが唖然としていると、彼女は仕切り直すようにそう口にした。
そして、柔和な笑みを浮かべてこう続ける。
「私のことを一人の女性として扱ってくださるのですね。そんなの、今まで会った殿方の中では初めてです」――と。
……いや、こちらが無作法なだけかと。
そう口走りそうになったが、それこそ機嫌を損ねそうなので黙ることにした。
するとミレイラ様は、ふっと息をついてこう言う。
「もしよろしければ、呼び捨てにしていただけませんか? 私からも、リンクさんを呼び捨てに致しますので」
「え、よびっすて!?」
ちょっと待て、それはおかしい。
ボクは緊張をほぐすために含んだ紅茶を、思い切り吹き出しかけた。
どうにか堪えて第一王女様を見ると、そこには小首を傾げる姿。そして、本当に嬉しそうに目を細める表情があった。
それを確認してボクは、なるほど、と思う。
「……分かったよ。ミレイラ」
これはきっと、ある種の敬意なのだ。
アミナとの関係や、御前試合、それらを見届けた彼女なりの。
だったらそれを無下にする方が失礼、というところだった。
「ありがとうございます、リンク」
「はは、少しこそばゆいな」
「私もです」
なのでボクはそれを受け入れる。
するとミレイラは感謝を口にして、こちらに同意した。
「では、少しお聞きしたい話があるのですが――」
そこからは、普通の世間話。
住む世界が違うからこそ、見える世界の違いについて。
ボクとミレイラは情報交換を行った。ただただ、普通の『友人』として。
最初こそ、おっかなびっくりだったけど。
この時間はボクにとって、貴重な経験になると思えた。
次回更新こそ、13~14時。
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