御前試合を観戦する、二人の王族。
幕間です。
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といいながら、今日何回目の更新だよ……_( _´ω`)_
「ほほう。面白い少年ではないか」
国王ダンケルは、特等席から娘の試合を観戦してそう言った。
もちろん彼からしたら、娘の勝利を見届けたかったところではある。しかしながら、今回の御前試合は思わぬ収穫があった。
そのことに、嬉しさを抱く方が上回ったのだ。
「ミレイラ。お前は、今回の試合をどう思う?」
その気持ちを共有したいと思い、ダンケルは隣の席に座る長女に声をかける。
すると、それを受けたミレイラは小さく微笑んだ。
「言うまでもなく、素晴らしい戦いでした」
「あぁ、そうだな。何より、あの気難しいアミナが心を開いたのが素晴らしい。マルスとの関係はこちらも気を揉んでいたからな」
「そうですね。これで、お父様の悩みの種も一つなくなったでしょうか」
「うむ」
二人は楽しげに、そう談笑する。
自然と笑みが浮かぶのだ。
それほどまでに、リンクという少年の存在は嬉しい誤算だった。
ダンケルはちらりとミレイラを見て、こう冗談を口にする。
「お前の夫に、あの少年を選んではどうだ? まだ、意中の者もいないだろう」
それを聞いた娘は、愛想笑いを浮かべながらこう答えた。
「面白いですわね、お父様。でも、残念ですわ。だって――」
冗談ではなく。
本気で、といった口調で。
「私は自分より強い殿方を夫にしたい、そう考えていますから」――と。
滲みだすのは、圧倒的な自信だった。
少なくともまだリンクは、その域に達していない。
ミレイラはそう断言したのだ。
「そうか。お前がそう考えるなら、仕方ないな」
「ですが、あくまで現時点の話です」
「……と、言うと?」
「分かっておられるくせに」
父のややふざけた態度に、ミレイラはにっこりと笑う。
そして、こう言うのだった。
「あの少年には、可能性を感じます。もしかしたら、この国の未来を決定付けるような、そんな存在になり得るかもしれません」――と。
決してリップサービスではなく。
心の底から、そう期待しているという風に。
「やはり、お前は聡いな」
「いえいえ。私はあくまで、正当な評価を下しているだけです」
「その正当な評価がどれほど価値あるものか、理解できないわけではないだろう? それとも、己の価値は度外視か?」
「そこは、ノーコメントでお願いします。お父様」
そう言って、二人は同時にニヤリと笑った。
そして国王はおもむろに立ち上がり、こう口にする。
「それでは、此度の宴を終わりにしよう」――と。
それが、小さな事件である御前試合の終了。
リンクの知らないところで行われたやり取り。
それが、どのような未来を作り出すのかは誰にも分からない。
次回更新は、深夜に一回。
明日の朝に一回、できたらいいかな?
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