5.後悔の終わり。
第2章終了!
応援よろしくです!!
次回はちょこっと幕間入れて、第3章突入! ざまぁ編です!
「ボク、勝ったのか……?」
無我夢中で戦っていたら、アミナが降参した。
たしかに彼女の剣を破壊したし、これ以上は戦う術がないのだろう。だけど何というか、これでよかったのかと疑問を抱いた。
というか、アミナには伝えたいことがあったのだ。
「ねぇ、アミナ……?」
「なんですの。勝者が敗者に声をかけるのはマナー違反でしてよ」
「いや、そうなのかもしれないけど。これだけは伝えないといけないな、って」
「………………え?」
ボクはぺたんと座り込んだ少女と、視線を合わせる。
そして、こう言うのだった。
「もっと素直になれば、良いんじゃないかな?」――と。
するとアミナは、ポカンとした表情になった。
どうやら、想像もしなかった言葉らしい。
「えっと、難しいんだけど――」
気恥ずかしいが、ボクは思っていることを口にした。
「マルスは決して、誰のものでもないんだ。ボクのものでも、もちろんキミのものでもね? 彼は彼自身、彼のものだから。どんなに縛ろうとしても、その権利は彼以外に持ってないんだよ」
「そ、それなら……!」
こちらがそう告げると。
アミナは涙で顔をくしゃくしゃにしながら、こう反論する。
「それなら、どうしたら良いですの……!? マルスを手に入れるには、どうしたら! わたくしは、彼のことが――!!」
――こんなにも、好きなのに。
その言葉を呑み込む少女。
ボクはそれを察して、やはりと確信した。
そして、最大限の優しい笑顔で、それの答えを伝える。
「だから、素直になれば良いんだよ。もっと『自分に』ね?」
「わたくしが、わたくしに……?」
「うん」
アミナは首を傾げた。
だから、こう説明してあげる。
「アミナは、マルスが好きな気持ちに蓋をしているんだ。だからどうしても、間違えた行動を取ってしまう。それを解決するには、まず――」
ボクは手を差し出す。
そして、こう言うのだった。
「友達から始めようって、手を繋がないとね?」――と。
それを見て、少女は息を呑んだ。
その理由を察して、ボクは後ろを振り返りこう口にした。
「マルスも、それが良いよね?」
◆
「わ、わたくしはあなたとともだちには、なりません!」
幼いアミナは、少年の差し出した手を取らなかった。
なぜなら、恥ずかしかったから。
自分が抱いた、初めての恋心の整理がつかなかったから。
「でも、いつか。あなたをわたくしのものに、してみせますわ!!」
そう言って、彼女はそっぽを向いてしまった。
後悔したのはその後のこと。
それがアミナにとっての、一番の心残りだった。
◆
「マルス……」
「ねぇ、アミナ? その――」
少女はくしゃくしゃの顔をして、少年を見上げている。
この空気感に彼も耐え切れなくなったのだろうか。頬を赤らめながら、どこか頼りない声でこう言うのだった。
「もしよかったら、僕と友達になってくれないか……な?」
尻すぼみに。
しかし、どこか力のある声で。
マルスはあの時のように、アミナに手を差し伸ばした。
「…………!」
少女の喉が、瞳が震える。
あと少し。もう少しだけ勇気を出せばいい。
そうすればきっと、あの時の後悔はなくなるのだ。
「わたくし、は――」
でも、まだ恥ずかしい。
そう思ってしまった瞬間だった。
「アミナ。頑張って」
先ほどまで敵視していた少年の、優しい声が聞こえたのは。
それを耳にしたら、口が先に動いていた。
「はい……っ!」
顔から火が出そうになる。
それでも、アミナは勇気を振り絞って――。
「マルス、わたくしと……友達になってくださいっ!」
そう言って、マルスの手を取ったのだった。
観衆からは、祝福の拍手。
それに包まれて、アミナはその綺麗な顔に愛らしい花を咲かせたのだった。
たぶん、次は日付の変わる頃に。
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