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5.後悔の終わり。

第2章終了!

応援よろしくです!!

次回はちょこっと幕間入れて、第3章突入! ざまぁ編です!








「ボク、勝ったのか……?」



 無我夢中で戦っていたら、アミナが降参した。

 たしかに彼女の剣を破壊したし、これ以上は戦う術がないのだろう。だけど何というか、これでよかったのかと疑問を抱いた。

 というか、アミナには伝えたいことがあったのだ。



「ねぇ、アミナ……?」

「なんですの。勝者が敗者に声をかけるのはマナー違反でしてよ」

「いや、そうなのかもしれないけど。これだけは伝えないといけないな、って」

「………………え?」



 ボクはぺたんと座り込んだ少女と、視線を合わせる。

 そして、こう言うのだった。



「もっと素直になれば、良いんじゃないかな?」――と。



 するとアミナは、ポカンとした表情になった。

 どうやら、想像もしなかった言葉らしい。



「えっと、難しいんだけど――」



 気恥ずかしいが、ボクは思っていることを口にした。



「マルスは決して、誰のものでもないんだ。ボクのものでも、もちろんキミのものでもね? 彼は彼自身、彼のものだから。どんなに縛ろうとしても、その権利は彼以外に持ってないんだよ」

「そ、それなら……!」



 こちらがそう告げると。

 アミナは涙で顔をくしゃくしゃにしながら、こう反論する。



「それなら、どうしたら良いですの……!? マルスを手に入れるには、どうしたら! わたくしは、彼のことが――!!」



 ――こんなにも、好きなのに。


 その言葉を呑み込む少女。

 ボクはそれを察して、やはりと確信した。

 そして、最大限の優しい笑顔で、それの答えを伝える。



「だから、素直になれば良いんだよ。もっと『自分に』ね?」

「わたくしが、わたくしに……?」

「うん」



 アミナは首を傾げた。

 だから、こう説明してあげる。



「アミナは、マルスが好きな気持ちに蓋をしているんだ。だからどうしても、間違えた行動を取ってしまう。それを解決するには、まず――」



 ボクは手を差し出す。

 そして、こう言うのだった。



「友達から始めようって、手を繋がないとね?」――と。



 それを見て、少女は息を呑んだ。

 その理由を察して、ボクは後ろを振り返りこう口にした。



「マルスも、それが良いよね?」










「わ、わたくしはあなたとともだちには、なりません!」



 幼いアミナは、少年の差し出した手を取らなかった。

 なぜなら、恥ずかしかったから。



 自分が抱いた、初めての恋心の整理がつかなかったから。




「でも、いつか。あなたをわたくしのものに、してみせますわ!!」




 そう言って、彼女はそっぽを向いてしまった。

 後悔したのはその後のこと。



 それがアミナにとっての、一番の心残りだった。







「マルス……」

「ねぇ、アミナ? その――」



 少女はくしゃくしゃの顔をして、少年を見上げている。

 この空気感に彼も耐え切れなくなったのだろうか。頬を赤らめながら、どこか頼りない声でこう言うのだった。



「もしよかったら、僕と友達になってくれないか……な?」



 尻すぼみに。

 しかし、どこか力のある声で。

 マルスはあの時のように、アミナに手を差し伸ばした。



「…………!」



 少女の喉が、瞳が震える。

 あと少し。もう少しだけ勇気を出せばいい。

 そうすればきっと、あの時の後悔はなくなるのだ。



「わたくし、は――」



 でも、まだ恥ずかしい。

 そう思ってしまった瞬間だった。



「アミナ。頑張って」



 先ほどまで敵視していた少年の、優しい声が聞こえたのは。

 それを耳にしたら、口が先に動いていた。



「はい……っ!」



 顔から火が出そうになる。

 それでも、アミナは勇気を振り絞って――。



「マルス、わたくしと……友達になってくださいっ!」




 そう言って、マルスの手を取ったのだった。





 観衆からは、祝福の拍手。

 それに包まれて、アミナはその綺麗な顔に愛らしい花を咲かせたのだった。




 


たぶん、次は日付の変わる頃に。


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


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