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4.負けたくない。

2章、次でラストです。

もしよろしければ感想、応援など。

あとがきに次回更新予定時刻仮がありますので。








「わたくしは、わるくないっ……!」



 幼少期のアミナは、イジメられていた。

 超早熟の天童として扱われ、年上の子供から忌み嫌われたのだ。どうして彼女だけが特別扱いされるのか、どうしてあの子だけ――。



「わたくしが、わるい、わけじゃ……!」



 嫉妬という嫉妬が、アミナを苛めていた。

 その日も彼女は体格差で劣る喧嘩を強いられていたのだ。

 もう、諦めよう。自分が悪いのだ、と。そう思い始めた時だった。



「お前たち、やめろっ!!」

「え……?」



 マルスが、アミナを助けにやってきたのは。

 少年は彼女を取り囲む子供相手に、孤軍奮闘してみせた。

 結果は惨敗だったが、その勢いに気圧されたらしい。いじめっ子たちは、やがて蜘蛛の子を散らすようにいなくなっていった。


 最後に立っていたのは、マルス。

 少年は、アミナを見て笑うと手を刺し伸ばすのだ。



「大丈夫?」――と。







「わたくしは、負けるわけにはいきませんの!」



 神代の剣を相手にして、アミナは唇を噛んでいた。

 払っても払っても、炎の渦は止むことなく。次第にリンクの姿すら、完全には追い切れなくなってきていた。それでも対応し得るのは、天童と謳われる彼女だからこそ。――しかし、限界があった。


 振り下ろした大剣。

 リンクの炎剣――フランベルジュが、それを防いだ時だった。



「な――!?」



 アミナのグレートソードは、半ばから断ち切られたのである。

 かつて、あらゆるものを焼き切ったとされる伝承、そのもののように。

 リンクが力を込めて振り払うと、綺麗な弧を描いてアミナの大剣は弾け飛んだ。はるか後方に突き刺さったそれを見て、少女は崩れ落ちる。



「そ、そんな……」



 そして、呆然自失と。

 目の前に立つリンクを見上げた。



「――――――!」



 そこに至って、ようやく状況を呑み込んだらしい。

 目を伏せ、悔しさを滲ませて。彼女はこう口にするのだった。





「わたくしの、負けですわ……」――と。





 場内が騒然とする。

 勝者に対する拍手喝采は、驚きによって塗り潰されていた。



 


たぶん、20~21時くらい……?



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「基礎しかできない錬金術師が最強になる話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。 ツギクルバナー
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