4.負けたくない。
2章、次でラストです。
もしよろしければ感想、応援など。
あとがきに次回更新予定時刻仮がありますので。
「わたくしは、わるくないっ……!」
幼少期のアミナは、イジメられていた。
超早熟の天童として扱われ、年上の子供から忌み嫌われたのだ。どうして彼女だけが特別扱いされるのか、どうしてあの子だけ――。
「わたくしが、わるい、わけじゃ……!」
嫉妬という嫉妬が、アミナを苛めていた。
その日も彼女は体格差で劣る喧嘩を強いられていたのだ。
もう、諦めよう。自分が悪いのだ、と。そう思い始めた時だった。
「お前たち、やめろっ!!」
「え……?」
マルスが、アミナを助けにやってきたのは。
少年は彼女を取り囲む子供相手に、孤軍奮闘してみせた。
結果は惨敗だったが、その勢いに気圧されたらしい。いじめっ子たちは、やがて蜘蛛の子を散らすようにいなくなっていった。
最後に立っていたのは、マルス。
少年は、アミナを見て笑うと手を刺し伸ばすのだ。
「大丈夫?」――と。
◆
「わたくしは、負けるわけにはいきませんの!」
神代の剣を相手にして、アミナは唇を噛んでいた。
払っても払っても、炎の渦は止むことなく。次第にリンクの姿すら、完全には追い切れなくなってきていた。それでも対応し得るのは、天童と謳われる彼女だからこそ。――しかし、限界があった。
振り下ろした大剣。
リンクの炎剣――フランベルジュが、それを防いだ時だった。
「な――!?」
アミナのグレートソードは、半ばから断ち切られたのである。
かつて、あらゆるものを焼き切ったとされる伝承、そのもののように。
リンクが力を込めて振り払うと、綺麗な弧を描いてアミナの大剣は弾け飛んだ。はるか後方に突き刺さったそれを見て、少女は崩れ落ちる。
「そ、そんな……」
そして、呆然自失と。
目の前に立つリンクを見上げた。
「――――――!」
そこに至って、ようやく状況を呑み込んだらしい。
目を伏せ、悔しさを滲ませて。彼女はこう口にするのだった。
「わたくしの、負けですわ……」――と。
場内が騒然とする。
勝者に対する拍手喝采は、驚きによって塗り潰されていた。
たぶん、20~21時くらい……?