3.神話の再現。
予定時間、とは。
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――神話の中に、フランベルジュという剣がある。
刀身は炎によって形作られ、古の魔剣士たちの知恵を結集させて作ったものだ。
現在ではその製法は完全に失われており、また当時に並ぶ魔剣士も存在しないため、再現は不可能だと謳われている。
その力は絶大で、あらゆるものを焼き切るとされていた。
◆
なにやら、周囲の視線が突き刺さるんですが……?
「え、なんなの……?」
ボクはその理由が分からずに狼狽える。
観客の貴族のみなさんも、口々に何かを話し合っていた。
いったい、どうしたというのだろう。ボクはあくまで、とっさに御伽噺の中に出てきた剣を魔力で作ってみた、それだけなのに。
「リンクさん、貴方……!」
「え? アミナも、どうしたのさ」
「どうしたもこうしたも、ありません!!」
何故か怒鳴られた。
まったくをもって意味が分からないのだけれど……。
「さ、さすがマルスが師と仰ぐ人ですわ。このような隠し玉……!」
「いや、とっさに真似てみただけで――」
「こうなれば、わたくしも手加減は失礼ですね。ここからはお互いに、本気で打ち合うことにいたしましょう!!」
「えぇ!? あれで本気じゃなかったの!?」
大剣を構えるアミナに、思わず驚くボク。
しかし相手は待ってはくれないらしく、一足飛びにこちらへ。
そして先ほどよりも素早く、似つかわしくない速度で得物を振り下ろした。
「う、わ……!」
ボクは慌てて、それを炎の剣で受け止める。
ゴッ――! という音と共に、揺らめく切っ先は大剣と拮抗した。
「すごい、これが神話の再現……!」
「え、神話?」
「それでも、わたくしは負けませんから!!」
鍔迫り合いの中。
アミナとそんなやり取りをして一度、大きく距離を取った。
互いに間合いを測る。といっても、ボクはそれをやっている風に見せているだけだったけど。とにもかくにも、アミナの動きに適応していくしかない。
「それに、少しずつだけど――」
ボクは剣を構えて、こう口にした。
「彼女の動きが、見えてきたみたいだ」
◆
「はあああああああああああああああああああああああああっ!!」
アミナは力の限り、大剣を振り下ろす。
手加減などない。このように戦うのは騎士団団長を倒した時、それ以来だ。
超早熟と呼ばれて、いつの間にやらガリア最高の剣士を打倒していた。そんな彼女にとって、今この瞬間におけるリンクとの戦いは、新鮮以上の言葉がない。
それに加えて、アミナはこう思っていた。
「リンクさん、もしかして――」
彼は、この戦いの中で成長している――と。
最初は情けない動きで、正直なところがっかりした。
しかしながら、いまとなっては遠い過去のよう。リンクの動きはアミナのそれに匹敵するほど、素早く、鋭くなっていた。
その事実に、感嘆しかない。
「でも、わたくしは負けられません……!!」
それでも、彼女は気丈にそう言った。
口にすることで、自身を奮い立たせるのだ。
「負けませんわ、絶対に……!」
戦いの終わりは近い。
その場にいた者――リンクを除いて――は、みなそう思っていた。
次回こそ16~17だと思います。