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3.神話の再現。

予定時間、とは。

応援していただけると更新速度が爆発的に上がります。ガチで。


頑張ります!






 ――神話の中に、フランベルジュという剣がある。


 刀身は炎によって形作られ、古の魔剣士たちの知恵を結集させて作ったものだ。

 現在ではその製法は完全に失われており、また当時に並ぶ魔剣士も存在しないため、再現は不可能だと謳われている。

 その力は絶大で、あらゆるものを焼き切るとされていた。







 なにやら、周囲の視線が突き刺さるんですが……?



「え、なんなの……?」



 ボクはその理由が分からずに狼狽える。

 観客の貴族のみなさんも、口々に何かを話し合っていた。

 いったい、どうしたというのだろう。ボクはあくまで、とっさに御伽噺の中に出てきた剣を魔力で作ってみた、それだけなのに。



「リンクさん、貴方……!」

「え? アミナも、どうしたのさ」

「どうしたもこうしたも、ありません!!」



 何故か怒鳴られた。

 まったくをもって意味が分からないのだけれど……。



「さ、さすがマルスが師と仰ぐ人ですわ。このような隠し玉……!」

「いや、とっさに真似てみただけで――」

「こうなれば、わたくしも手加減は失礼ですね。ここからはお互いに、本気で打ち合うことにいたしましょう!!」

「えぇ!? あれで本気じゃなかったの!?」



 大剣を構えるアミナに、思わず驚くボク。

 しかし相手は待ってはくれないらしく、一足飛びにこちらへ。

 そして先ほどよりも素早く、似つかわしくない速度で得物を振り下ろした。



「う、わ……!」



 ボクは慌てて、それを炎の剣で受け止める。

 ゴッ――! という音と共に、揺らめく切っ先は大剣と拮抗した。



「すごい、これが神話の再現……!」

「え、神話?」

「それでも、わたくしは負けませんから!!」



 鍔迫り合いの中。

 アミナとそんなやり取りをして一度、大きく距離を取った。

 互いに間合いを測る。といっても、ボクはそれをやっている風に見せているだけだったけど。とにもかくにも、アミナの動きに適応していくしかない。



「それに、少しずつだけど――」



 ボクは剣を構えて、こう口にした。



「彼女の動きが、見えてきたみたいだ」









「はあああああああああああああああああああああああああっ!!」



 アミナは力の限り、大剣を振り下ろす。

 手加減などない。このように戦うのは騎士団団長を倒した時、それ以来だ。

 超早熟と呼ばれて、いつの間にやらガリア最高の剣士を打倒していた。そんな彼女にとって、今この瞬間におけるリンクとの戦いは、新鮮以上の言葉がない。


 それに加えて、アミナはこう思っていた。



「リンクさん、もしかして――」



 彼は、この戦いの中で成長している――と。



 最初は情けない動きで、正直なところがっかりした。

 しかしながら、いまとなっては遠い過去のよう。リンクの動きはアミナのそれに匹敵するほど、素早く、鋭くなっていた。

 その事実に、感嘆しかない。



「でも、わたくしは負けられません……!!」



 それでも、彼女は気丈にそう言った。

 口にすることで、自身を奮い立たせるのだ。




「負けませんわ、絶対に……!」



 戦いの終わりは近い。

 その場にいた者――リンクを除いて――は、みなそう思っていた。



 


次回こそ16~17だと思います。



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