1.御前試合、直前。
予定時間って、なんなんですかね?
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「あまり寝れなかった……」
「大丈夫ですか、師匠?」
「あー、うん。体調はそこまで悪くないから」
当日の朝。
ボクはマルスの案内で、会場である王城へと向かっていた。
一般開放はされていない、一部の上流国民と貴族のみが知る場所。平凡な家庭に育ったボクには、本当に縁遠い場所だ。
家族に話したら当然、目を丸くされた。
『アンタ、なにかやらかしたのかい?』
母さんの冷たい視線が刺さったのは内緒。
もう少し息子を信用してよ、マザー。
「それにしても、試合は剣技が基本なんだね」
「はい。とはいっても、簡易な魔法などは許可されています。身体強化、属性付与魔法など、ですかね?」
「ふむふむ」
ボクの疑問に、マルスが答えてくれた。
なるほど。相手を直接攻撃するような魔法以外は、使用可なのか。
とりあえず家にあった安物の剣を持ってきたけれど、それは大丈夫なのかな。とはいえ、家庭事情的に高価な剣は今さら買えないのだけど……。
「さて、そろそろ着きますよ」
「うん。分かっ――」
そんなことを考えていたら。
マルスがそう言うので、ボクは視線を前にやった。そして――。
「うわぁ、すご……」
思わずそんな声が漏れた。
何故なら、そこにあったのは大きな舞台。
そして中々な人数が座れる客席だった。おそらくは貴族の人々が招待されているのだろう。みな一様に煌びやかな衣服を身にまとっていた。
「これは、住む世界が違うなぁ」
「そうですか?」
「うん。マルスが普段着だから忘れかけてたけどね」
そう言葉を交わしながら、ボクはマルスの手引きで控室へ。
簡単な間仕切りがされたそこへ行くと、公爵様が先にやってきていた。
「やあ、リンクくん。今日は楽しませてもらうよ」
「ははは……。なるべく、頑張ります」
満面の笑みで肩を叩かれる。
こちらとしては、苦笑いをせざるを得なかった。
「しかし、アミナ姫が認めるとは。キミもなかなかの剣技の使い手ということか」
「いや、それほどでは……」
実際、ボクの剣技はへなちょこ。
真っすぐ振り下ろすこともできなかったし、昨日の練習でも微妙だった。
それでも、ここまできた以上は引き返せないし。腹を括るしかない。ボクは一つ深呼吸をしてから、剣の手入れをしようとした。その時、
「リンクさん。今日はよろしくお願いいたします」
「あ、アミナ姫……?」
簡易な鎧を身にまとったアミナが、姿を現した。
髪を後ろで一つに結った彼女は、鋭い視線でボクを見ながら一礼。こちらもしっかりと頭を下げて、ひとまず握手を求めた。
すると面食らったようにしながらも、応じてくれる少女。
「今日は、真剣勝負ですわよ」
「分かってるよ」
「それでは、また」
そして短く言葉を交わして。
アミナは自分の控室へと戻っていった。
「うーん。どうやら、彼女は本気のようだ」
「分かるんですか? 公爵様」
「これでも、彼女を幼い時から知っているからね」
公爵様は顎に手を当てながら、そう言った。
そして、こう告げる。
「まぁ、いまのアミナ姫なら騎士団長も瞬殺だろう。かなりの実力者だけれど、楽しみにしているからね?」――と。
…………へ?
「騎士団長も、瞬殺?」
なんか、さらに凄くなった。
ボクの背筋には冷や汗が流れていく。
そんなこんなで、御前試合は始まる。
負けてはいけない。負けたくない戦いが始まるのだった。
次こそ、12~13時に。
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