お茶会のお知らせ。
パレス領地内の有力者や近辺領地を治める貴族にスチュワート伯爵家のお茶会のお知らせが届いたのは家族会議からわずか3日後のことであった……。
王都から遠く、貴族社会において中堅どころのスチュワート伯爵家だが……3年ほど前から絹織物の質が劇的に向上し、売上も質と共にどんどん上がる。さらに国外にも販路を伸ばしたことにより、今や王国はパレスの絹の国と呼ばれている。
ある程度すれば類似品が出るものだが、徹底した情報管理なのか熟練の技術なのかパレスの絹の足元にすら及ぶ製品が出てくることはなかった。
つまりスチュワート伯爵家の財政はウハウハである。この王国が買えるのではないかとまで噂されるほどである。あくまでも噂に過ぎないが。
そんなスチュワート伯爵家からのお茶会の知らせは瞬く間に広まり、長男ゲオルグだけでなく三兄弟全員の婚約者探しを目的にしております。と母親自らが明記したことも相まって参加希望者が膨れ上がった。
どうぞお友達もお誘い合わせの上……なんて書いてあるものだから王国中の貴族の子供達がパレス領を目指すことになるのであった。
母メルサはほくほく顔で毎日届く参加希望の手紙を選別している。
「こんなにいるのだからきっと決まるわ!うちの子達の結婚!」
このとき母は知らなかった。
その手紙の中にはこの国の王子と姫もいたことを。
三兄弟は知らなかった。
お茶会が一回どころでは済まないことを。
父レオナルドは思っていた。
子供達より前にまずは父の弟アーバンの嫁探してほしいと。
お茶会と言う名の集団お見合いになりそうです