表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田中家、転生する。  作者: 猪口
辺境の地 パレス
26/197

圧巻。

取り急ぎ、行われたお茶会はあいにくの曇天。

雨が降りそうで降らない空模様は、王族を迎えるお茶会の緊張状態を空に写したかの様であった。


ちょっと普通より大きな猫達はエマの小屋に避難している。もし、パレスの絹の秘密を探ろうと言う不届き者がいた場合の番犬ならぬ番猫の役目も担っている。


あわよくば、王族に姻戚関係を結べるのではと意気込んでいる貴族が母メルサの嫌がらせで集められたメンバーであるこのお茶会は、前回と全く違う様相になっていた。


天気が不安定のため、ガーデンパーティーではなく屋敷の中でのお茶会。集まる令息、令嬢の殆どは伯爵より上の貴族。装いも前回は略式のドレス、礼服だったが今回は社交界ばりの完全武装をしていた。


そして……開始時間を過ぎても王子と姫は現れなかった。



「……」


「……」


「……」


「……」


まさか、王族を差し置いてお茶会を始める訳にも行かず。

まさか、王族を差し置いて楽しく談笑するわけにも行かず。

気まずい、無言の状態が続いている。


エマは瞳の色と同じ薄い緑色の、他の令嬢と比べれば至ってシンプルなドレスを着ている。今の流行りは所謂オフショルダー、肩を大胆に出したデザインが主流でエマ以外の令嬢は露出がやや高めなドレスであった。

年齢的に胸もない上に手足の細いエマはそれをカバーするように隠せる所はなるべく隠してある。ケーキのためにコルセットも緩めにしてもらっている。

流行りより、似合うもの。流行りより楽なもの。絶対に無理はしたくないのであった。

ゲオルグとウィリアムは所々にスチュワート家の紫をあしらったデザインの黒の礼服を着ている。


紫はスチュワート家の色なので男子は必ず紫を身につけることになっている。


無言の中、遠慮がちにちらちらと招待客の令息達がエマを見る。

貴族も伯爵以上ともなると、確りと教育を受けている。

どの令嬢も自信に溢れ、流行りを押さえ、王族を待つ姿はほぼ戦闘態勢に入り、ピリピリしている。

そんな中での儚げなエマの様子にときめかずには居られない令息達が多発していた。


ただただ王子と姫が遅れているせいで目の前にあるケーキが食べられず、しょんぼり目を伏せているだけであったとしても、お腹が鳴らないように、キュっと力を入れて凌いでいるだけだとしても、緊張で震えている!守ってあげたい!と変換されるようだった。


何故か、お茶会の度にエマの株が上がる不思議な現象はこれからも続いていく事になるのであった。



無言を貫くこと一時間弱。漸く第二王子と姫、そして母親である王の側室が到着したとの知らせが入る。


一同席を立ち、王族を迎えるべく扉に向かい臣下の礼をとる。


そこへ迎えに出ていた、父レオナルドに甘い声をかけながら側妃ローズ・アリシア・ロイヤルが入ってきた。


「ごめんなさいね、中々ドレスが決まらなくて……」


「何を仰います。畏れ多いことでございます。簡単に王族は謝罪してはなりません」


「そうだったわね、まだまだしきたりに慣れなくて、ごめんなさい……あ、また謝ってしまったわ。うふふ」



臣下の礼をとっていた一同が(お前のドレス選びかーい)と心の中で突っ込みを入れたのは仕方のないことだった。

王族は謝罪してはならない。は裏を返せば、王族は謝罪するような隙を作ってはならないである。

服が決まらなくて……って初デートの女子か!

慣れなくて……って側室になって15年以上経ってんぞ?


声に出せば不敬罪で即、牢屋行きかも知れないが心の中は自由である。


ローズは臣下の礼をとっている令嬢、令息に向き楽にしなさいと礼を解く声をかける。

そこで初めて顔を上げる。

目の前には美しい黒髪の王子と姫が立っていた。

少し不機嫌そうな表情の王子はそれでも王族の威厳に溢れ、整った顔立ちも相まって冷たい印象を受ける。

王子の後ろに隠れる様に袖を掴んでいる姫は黒髪を綺麗に結い上げ、母親に合わせた赤色のドレスを着ている。


顔を上げた一同が一同、全員驚愕の表情を頑張って隠している。


王族の血筋は黒髪。周知の事実である。

しかし今日この時まで、王族を見た事のある者は数えるほどで、初めての黒髪に魅了されていた。

この世界の人間にとって、この特別な髪色は殆どの者が生涯かけて見ることのない代物で、常に王族と接する宰相でさえ見る度に緊張すると言われている。

黒髪であること、それだけで誰もが人ならざる者として畏怖の念を感じるのであった。


その表情は三兄弟も同じであった。


しかし、視線が微妙にずれていた。

生粋の日本人、超絶田舎生まれの田中三兄弟にとって黒髪に何ら思い入れもない。

寧ろ、ホッとするレベルである。

皆が皆、王子と姫の髪に注ぐ視線の中、三兄弟の視線は王子と姫を通り越して側室のローズ・アリシア・ロイヤルに向けられていた。ローズ妃の髪はオレンジ、瞳はヘーゼル、さして珍しい色でもない。ただ……。

単刀直入に言おう。




爆乳である。



漫画でしか見たことのない爆乳がそこにあった。

しかも、今の流行りはオフショルダー。


爆乳が爆発している。


日本人だって巨乳はいる。爆乳だって見たことは無いがいるはずだ。しかし、大抵の巨乳の日本人は隠す傾向にある。

胸を小さく見せるブラも流行る。

こんなに、大っぴらに爆乳を曝している人を三兄弟は見たことがなかった。

奇しくも、この世界の人が黒髪を見る確率より低い生の爆乳に目が釘付けである。



巨乳好き、貧乳好きを超えた圧巻のおっぱいであった。









王子と姫より爆乳のがSSR。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=oncont_access.php?citi_cont_id=412279493&s
― 新着の感想 ―
[良い点] 爆乳が爆発しているにフイター。♪ [一言] あ、自分隙を生じぬ二段構えの美乳派です!
[一言] 王様も魅了する爆乳ww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ