episode5
馬鹿なチャラ男のせいで連帯責任として居残りになってしまった。
ナゴかユウに伝えようと思ったのに二人とも忙しいのかラインの既読がつかない。
……まぁ仕方ないか。
父さんにはまず連絡すらしたくない。
しようがしまいが殴られるのはいつものことだし……。
…ん?
流生「ねね、叶芽ちゃん……」
叶芽「……何?……?!」
何…してんのこいつ。
先生「……おいー?松崎、何土下座してんだ?」
流生「せんせ、気にしないで!」
先生「いや流石に無理かなぁ」
流生「……ほんと、ごめんね叶芽ちゃん……」
叶芽「え……別にいいよ……」
本当は全然よくないけど…面倒くさい。
流生「でも……!叶芽ちゃん…思い詰めたような顔してた……」
叶芽「!」
……前から思っていたけれど
なんでこいつこんなに馬鹿そうなのに鋭いのよ。
叶芽「……とりあえず、さ…土下座やめてくれる?」
流生「え……あ!ごめん…」
なんでここまでするわけ…?
本当意味わかんないこいつ……。
モブ「本当あいつ意外と一途で必死だよなw」「それなwww」「それに気付いてない松脇さんうけるw」
先生「……んあー、さてと。そろそろ疲れたからみんな帰っていーぞー。」
モブ「✌︎('ω')✌︎」
叶芽「……じゃ、じゃあね……。」
流生「!!!うん!」
……はぁ。
なんかこわい。
まさか 好き っていうの本気だったりしないよね……。
あたし人に愛されたことないからわかんないや。
ま、どうでもいいけれど。
家に着いちゃった……。
電気ついてるからやっぱり父さん帰ってるし…。
[ガチャ]
叶芽「ただい…ま……」
直樹「……あ?」
……。
叶芽「遅くなって…ごめんなさい…。」
直樹「なんで連絡がねぇんだ?あ?ゴルァ!」
[パァン]
叶芽「いっ……たぁ……」
こいつ……本気でぶちやがった。
直樹「こんな時間まで何してたんだよ?オラとっとと答えろや!娘が不良だなんて噂がたったらどう責任取るんだゴルァ!」
……まだ20時なんですけど。
馬鹿なの?それにしても痛い……顔はやめてほしかったな。
……あれ……?
直樹「オイ聞いてんのかこのクズが!答えろっつってんだよ!頭も悪りぃくせに耳まで悪りぃのか?!あぁ?!……あ?」
は……?!
こいつ…なんで……!
流生「…何…してんすか?」
松崎……!
直樹「…お前誰だ」
流生「通りすがりのチャラ男です」
直樹「どうやったら人ん家の中を通りすがるんだよ?」
流生「そんなのどうだっていいでしょう?あんたこそ誰ですか?」
直樹「俺はそいつの父親だよ、だからなんだってんだよ」
流生「へぇ〜父親。……」
[ゴッ]
……は?!
叶芽「ちょ、松崎…何してんの?!」
直樹「ってぇ……何すんだテメェ!!!」
流生「オッサン、あんた黙っててくれる?…いや、こっちが出ていけばいいのか。行くよ、叶芽ちゃん。」
叶芽「えっ?ちょ、ちょっと……!」
直樹「オイィ!クソガキ!」
流生「あんたさぁ」
直樹「あぁ?!」
流生「近所の噂とか気にするならもう少し声小さくしないとバレちゃうかもよ?虐待が。」
直樹「っ!……クソが」
[バタン]
意味…わかんない…何こいつ……?
なんで家に……まさかつけてきた?
何、それ……それこそ犯罪じゃん…。
……馬鹿じゃん……お節介だし……。
叶芽「……迷惑…なんだけど…このストーカー……」
流生「…うん、ホントごめんね。逃げた後はどうしてくれたっていいよ。お節介だったよね…ごめん…」
叶芽「……本当よ、馬鹿…迷惑……………で、でも…」
本当の本当に馬鹿だし大迷惑だけれど。
初めて…生まれて初めて。
あの人から逃げた。
自分の力じゃないけど。…そう、こいつのおかげで……逃げられた。
叶芽「ありが…と……う……」
あーー…。
泣くのなんて…いつぶりだろ。
心から人に感謝したのも……。
流生「えっ……?や、その、オレ犯罪者だよ?!勝手についてって家入ったんだよ?!」
叶芽「でも……助けてくれた……」
流生「な、泣かないでよ……」
叶芽「なんで…助けてくれたの……?」
流生「そ、それ、は……」
あぁ…涙が…止まらない……。
流生「……とりあえず、涙が止まるまで待つよ。どれだけでも待つから。話はそれから…ね。」
もはや声が出せない。
あたしはボロボロ涙を流しながら頷いた。
気のせいかもしれないけれど…
少しだけ心拍数が上がった気がした。