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『第二を起こすのは』※会話文作品

作者: USB(記録媒体)

恐縮です。

昔に書いた会話文のみの小説です。本当にさっくり読める作品ですので、暇つぶしにどうぞ。

中々キャラだけは気に入っていますが、ここからの発展の仕方が思いつかないので、供養も兼ねまして。


※この作品は同タイトルでピクシブさんに投稿させて頂いております。


「事実は小説よりも奇なりと言うが、成る程、奇なるものもあったものだ。こうやって……たかが名大の名教授たる天才の私が! 殺人事件に出会うなどと!」

「カメラさん引いてください。うん、そうそう。永留教授は顔を映されるとナルシシズムを全開にしだすから。そう。うん。僕そうなった教授見たく無いんですよね。気持ち悪いんですよね」

「カメラさん近付いて近付いて」

「離れて離れて。とりあえず教授。僕博士号取りたくて貴方の下に居るだけなので、プライベートまで貴方に汚染……汚されると、ちょっと」

「桜井君、君は言葉を慎む事を知らないのかね! まあいいだろう。私は寛大な心で君の言葉を受け取ってやろう。感謝し給え」

「わーありがとうございますー」

「感動の余りに無表情とは! 流石は桜井君だ」

「……」

「何だいカメラ君。何か言いたいなら言い給え」

「僕が翻訳しましょう。何、永留早く落ちろ……いやー奇遇ですね! 僕も思っていたところです」

「……」

「桜井君の暴挙を許せカメラ君。彼まだ若いから」

「……いや」

「あ、喋れるんですね」

「……うしろ」

「後ろですか? ……おお」

「おまいさん方……、報道カメラを一人さらって何してんでぇ」

「ああ! 加藤刑事! 奇遇だなァ! じゃあ入るね」

「何でそうなっちまうかなァ。永留ェ……あんた本当毎回毎回事件の身近にいるが……あんたがやってるんじゃあないのかい?」

「はっはっは! 殺人なんてそんな詰まらん事をやるぐらいならば、私は女を侍らせるね!」

「桜井も……毎回こんな頭の爆発した奴とよく一緒に居れるな」

「解ってくれますか。こんな胸糞悪いキャラクターの男、早く死んでくれないかなって思います」

「桜井君は照れ屋なのだよ」

「きゃーばれちゃったー」

「寛大な心で許す!」

「あんたらいつもそれだな……はぁ……まああんたらには助けられてる事が多いからな……仕方がねぇ……入れてやるよ」

「邪魔するね」

「荒らすなよ?」

「大丈夫だ、私は頭が良いからね」

「……」

「おまっ! カメラは出てけカメラは!」

「……いや、桜井さんが入っていいと」

「カメラ君には居てもらわないと、彼なかなかキャラもいいし」

「キャラクターで許される事じゃねぇんだよ! 出てけ!」

「横暴な加藤刑事……、申し訳ありませんが、うちの教授が軽やかなステップで現場に向かってしまいましたよ」

「なん……、だと……おい永留ェ!」

「加藤刑事大変だ!」

「おや教授が久方ぶりに慌ててますね」

「人が死んでるように見える!」

「人が死んでるから俺が居んだよ」

「やれやれ何言っているんだ。二人も死んでいるじゃないか!」

「何……? 害者は一人だ」

「如何にも金持ちですみたいな男の隣に膝を付いている青服のアレ」

「……そいつァ検死の与野末さんだ」

「なんと! 警察関係者も死んだか!」

「生きてるよ」

「嘘だろう! 脈が無いぞ! 何しても無表情で、試しに呼吸を見たが、ほら紙が揺るがない!」

「与野末さんは奥さんに出ていかれて、子供にも会えず、世の終わりだと言わんばかりにここ五年間荒んでいるだけだ。ちゃあんと生きてる」

「小生は生きているぞ」

「そうか! なんだ! じゃあ君の出番は終わりだ」

「之も定めか……、ならば」

「いや待て永留も与野末さんも! 死因を知らないと何も始まらないだろう」

「そうだぞ与野末君」

「それを求めるか……、ならば仕方がない……。害者は資産家の田中太郎」

「何故でしょうね。資産家な癖に一般市民のような平凡な男に見えてきましたよ」

「シッ桜井君。全国の田中さんと太郎さんに謝り給え」

「話してよいか」

「よい!」

「睡眠薬を大量に服用したらしく、それで死んだらしい」

「睡眠薬ゥ? 毒物じゃねぇのかい」

「小生の見解に誤りは無い。彼は大量の睡眠薬を飲み死んだ」

「眠れない病気というやつか! 気の毒だな!」

「思ってねぇだろい永留ェ……。俺が睨むにこいつァアレだ! 怨恨だと思うんだよな」

「でたーでましたー加藤刑事典型的なパターンを御望みなようだー」

「さぁあくらぁああいぃいい! 永留を一刻も早く落とせ! おまいさんが教授になった方が些か楽だ!」

「僕もそう思いますがね。けどもやはり加藤刑事。資産家イコール怨みを持っているイコール怨恨イコール殺人というのは些か納得出来ませんね」

「どうしてだよ」

「実は僕たち地道に調査をしてあったんですけどね」

「まさかの事後」

「そうさ! 加藤刑事の代わりにね! 私が説明しようではないか!」

「小生は帰ってよいか?」

「よい!」

「よくない。警察関係者としていろ!」

「仕方がない……これも定めか」

「……」

「カメラさんがいたたまれない目をして与野末さんを見ていますね。大丈夫です気持ちはわかります」

「さぁて説明していいかな諸君! 奥さん曰く、最近はぶりがよく、儲かっていたらしいんだよね。まあ彼の周辺には自殺者が多かったのだけれど」

「ほれみろ。やっぱり怨恨だ」

「いいや違うね!」

「なんでだよ」

「後は何故彼が眠れなかったかなのだけれど、何難しい話じゃ無いよ」

「俺の疑問は無視か」

「彼はね、資産家で強欲でありながら、とことん臆病だったんだ」

「おい」

「うるっさいね! 今懇切丁寧に説明しているんじゃあないか! 彼は潔癖症で中々に貧弱な精神を持っていたようなんだよ」「愛人さんからの情報ですが」

「愛人にまで話を聞いていたのか」

「つい出来心ですよ。教授が行きたいっていうので。で、愛人曰く、彼は金を得るようになってから、どんどん他人に怨まれているような気がして怖かったと。まあ甘えた声で駄々っ子してたようですよ」

「にゃんにゃん言っていたぞ」

「聞いちゃいねぇよ。で?」

「つれないねぇ! まあいいだろう全てカメラ君が撮ってくれていた」

「おまいさん……そこまでついてったのかい」

「……いった」

「今見せるにしては尺が足りないからね。プロジェクト何とかみたいに上手く編集する事すら出来ない。まあ手短に言うとしよう」

「おまいさんの役割ってなんなんだ」

「……」

「涙を御拭きください」

「……」

「つまりはこうだ。臆病で物事に敏感な人間は、勝てば勝つほど金が入り潤うが、勝てば勝つほど怨みをかっているんじゃないか、殺されるほど憎まれているんじゃないかと不安になるのだよ! 世俗の人間は、資産家は傲慢で強欲だから、と決め付けるが、彼は大法螺吹きで表向きはそうしているが、裏では相当ビクビクしていたのさ。夜も眠れない程にね」

「だからって大量に飲んでちゃ世話ねぇだろ。やっぱり」

「嗚呼怪物並の精神力を持つ君には解らないだろうがね。一回不眠症になりゃ解るよ! 僕もある!」

「嘘だ!」

「嘘さッ!」

「いつか殺す……」

「ま、とりあえず。主治医の話を聞いたんだ。睡眠薬を大量に買い込んだらしい。勿論普通は許しはしないのだがね。まあ何が医者を動かしたか皆目見当もつかないさ」

「思うに金でよいのではないか?」

「シッ! 与野末君!」

「すまぬ」

「さて、奥さんの話では、近頃別居をしていたのだが、夫が日に日に弱くなっていったというんだ。聞いてみたらいつも変な音がする、いつも同じ場所で躓く、と。どうだろう。常に聞いている音が耳に残った事は無いかな? あれ、割と眠りに入りそうな時になって気味悪く無いか? 後は時計の規則的な音を気にして聴き続けていると気持ち悪いよね?

 いつも似た場所で転んだら変に不安にならないか? 明日も明後日も毎日毎日同じ場所で躓く。普通の人でも恐ろしいだろう? それが! あの臆病な資産家田中太郎君に起こったのならば!」「一たまりもありませんよね」

「眠れないのさ。何せ我が家でずっと起きるのだから。何回も引っ越したそうだが、それでも起きることが変わらない。睡眠薬を飲んでも耐性が出来てしまっては意味がない! 耐性が出来たら次第に量も増える……」

「……」

「……」

「……」

「どうだい! 加藤刑事! これでも怨恨か!」

「チッおまいさんを信じる訳じゃあねぇが一理ある……。だが人間関係は洗い直すぜ。とりあえず仏さんの部屋周辺からだ。隣は空き家みてぇだがな……諦めねぇぞ」

「諦めが悪いな! まあ加藤刑事らしい! 沢山探してきてくれよ。私天才永留教授は満足したし情報も出したからこのマンションを探険しているよ」

「へーへー帰れ帰れ!」「また会える事を期待する。永留殿」

「おうさ! 与野末君は脈と呼吸を取り戻せよ! さ! カメラ君! もうおしまいだ! 悪いこと言わないからさっさと帰れ!」

「この人について行くと後悔しますよ」

「……はあ」

「じゃあな諸君! 事件は円満解決だあ!」

「荒らすだけ荒らして帰りまーす」

……」










「今回のは割と無理があったんじゃあないですか?」

「まあ、そう言わないでおくれ。私だって即興で茶番を演じられる程図太くないんだよ」

「僕は教授の……、あのキャラクター無理があると思いますよ?」

「ははは、君は気に食わないようだが、私はお気に入りなんだよ。楽しくてね」

「まあいいですけど」

「今回のはしかし、楽しかったからね。図太い傲慢な男を約一ヶ月追い詰めただけでまさか嗚呼なってしまうとはね」

「裁けない罪を犯したあれがいけない。だから、こうやって加減をしなくて済む」

「……マンションならば隣の部屋を借りて、毎晩毎晩音をたてる。一定間隔でリズミカルな音。メトロノームの先端に木の破片を付けて、……隣の部屋に面した壁を叩きつづける。愛人さんの持つ部屋の鍵を拝借して、合鍵を作り、部屋の同じ場所に細い注射針を立てる。毎日毎日懇切丁寧にセッティングしては、素直に引っ掛かってくれる。後は怨みをもった人々の手紙があれば完璧だ……勝手に惑い勝手に沈み、勝手に死ぬ」「永留教授」

「おやおや桜井君、気付いてないとでも思ったのかい? こんな茶番に付き合ってくれたんだ……種明かしぐらいいいだろう?」

「そうですね。あれだけ注意したのに」

「……!」

「ついて来てしまったんだねカメラ君。まあ私も鬼じゃないからね。注意したんだよ?」

「……あの、その……ッ!」

「さあカメラの電源を切り給え。君も私の論文の材料にでもなりたいのか?」

「教授」

「……」

「いいかい? 君達記録者は、見るだけで良いが。我々はいろいろ動かなくてはならないのさ。まあ次に進めば解る、君達読む知る見る人間が居るから……」

「……!」


























「また一人死ぬ事になってしまうのさ」








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