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第二話 二人を繋いだ。

ハルちゃんと知り合ってから早二ヶ月が経とうとしている。


殆ど、いや本当に毎日沢山のチャットをした。

「JOIN」で二人だけのグループを作って本のことから世間話まで、様々な会話が出来た。

私個人が思うに、中々いい仲だと思う。


とはいっても、私もハルちゃんもプロフィールの画像は何処かの風景、いや私のは以前旅行で訪れた晴れた飛騨山脈なんだけど、それを使っているため顔は分からない。

それでも毎日朝、昼休み、放課後に夜。授業や図書室の係、そして本を読んでいる時以外は殆ど会話していたと思う。

基本的に私から会話を送るのだけど、ハルちゃんは直ぐに返事をしてくれる。

私の予想だと、同じ高校生かそれとも中学生か。

まあ余計な詮索はネットではご法度だと思っているので、そんな話題が出たことは無い。

勿論、私が学生であることも秘密にしていた。


そう、()()()()


『ユズルさんは今日何してたの?』


そんないつもの会話に挟まれた問いに、私は無防備にも学生である証拠を見せてしまった。


『学園祭の準備があって、オススメの本を纏めてたよ』


送信してからそのことに気付き、私は頬に冷や汗が伝うのを感じた。

これまで大層な言い方で本の評価をしておきながら、中身が女子高生だなんて情報が拡散されたら。

大パッシング間違いなしじゃないだろうか。

しかし数秒後返ってきた言葉は私の予想を裏切った。


『ユズルさんも学生だったんだ!私も一応高校生なんだよね』


なんと!私の本トークについてこられる唯一の友人も高校生だったのだ!

一応、って何だろう。


『あの、差し支えなければ教えてほしいんだけど。一応って?』


『私去年の七月に色々あって、今学校に行ってないんです』


その言葉を見た瞬間また私は冷や汗が流れるのを感じた。

今すぐ謝らなければ。


『ごめんなさい。変な詮索をしてしまって』


『ううん、気にしないでください。私が弱いのが悪いんです』


弱い、って何だろう。いや、これ以上は駄目だ。今や私はハルちゃん無しでは生きていけないのだから!

私は即座に話題を本へと戻した。これがいい選択なのかは分からない。


そうして私は彼女を、彼女は私を。


少しだけ、詳しくなった。

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