警報
アレイは扉の中に入り渡された同象玉を見る。魔力を込めれば自分そっくりの分身が現れて試験スタート。
「なんだかなあ……」
アレイはボロボロになって合格したと告げそのまま倒れ込んだ愛を思い出しながら気の進まないまま魔力を込める。
光の粒がだんだん人の形となり、それが収まると自らにそっくりの人間ーーー灰色の髪にゆったりとしたローブに少しだぼっとしたズボン、見るからに怠そうな表情を浮かべる人間は間違いなく自分だとアレイは認識した。
「俺が二人いるってのも妙な光景だな、まあ取り敢えず試験を開始する」
分身はそう言うと、瞬時に術式を構築し賢術を唱えた。
「術理・天墜」
光属性祈級中位、天上にまで聳え立つ光の粒と柱による魔術、
「一発目から大技かよ、ったくめんどくせーな。」
アレイは咄嗟に空間転移により回避した、分身の使用した賢術はそのまま天高く範囲内を浄化せんと光の柱を立ち上げ、特殊空間を突き破った。
「は?」
アレイは理解ができずに声を上げる、そして同象玉の性質上特殊空間でしかその魔術を維持できない為に分身の身体の周囲に光の粒が浮き上がる。
「今のは攻撃魔術じゃねーぜ?なにより、こんな事態で試験なんかやってらんねーからな」
「こんな事態?」
アレイがそう言うと、分身は言った。
「時間がねぇからはしょって言うけどよ、この街は今狙われてんだ。それは魔物であったり、魔族であったりな。だからお前さんにはそれの問題解決をして欲しいんだよ。」
分身はそう言うと、完全に光の粒となり消えていった。そしてアレイは背後に扉が出現したのを確認すると、あっけなく終わった試験に拍子抜かれながら扉に入りもといた建物に戻る。
ーーー
「師匠!」
アレイが扉から出ると先程まで横になっていた筈の愛が駆けつけてくる。ところどころまだ怪我をしているが魔力枯渇状態は回復したらしくまあまあ元気になっていた。
「おう、もう起き上がって大丈夫なのか?」
「全然大丈夫っすよ!ところで師匠もう試験終ったんですか?」
愛は不思議そうにアレイに聞く、アレイは一言終ったと言い続けて試験であったことを話した。
「えー!?そんなことあったんすか……魔物に魔族かぁ…」
愛もなにやら神妙な顔付きになるが、アレイはオリビアに続き
分身にまで街の事を言われ気になってきた。頭の中で考えながらアレイは受付にて合格を言い渡されるのと同時に学園のエンブレムの入ったネックレスをもらい、二人は表に出る。
「取り敢えず宿屋行くか、その後にオリビアの所に行ってーーー」
アレイがそこまで愛と話していると、街の中央にある鐘が鳴り響く。その音が発令されると同時に通りを歩いていた街人は焦燥の表情を皆浮かべながら急いで中央に走り出す、それと同時に鎧をきた男達や、冒険者達が街人達が逃げる方向とは逆に走り出す。
平和な町並みから一転し恐怖に包まれた街に対し、二人は理由を探るべく冒険者協会に向かう。




