神片闘技
「さて、始めるとしよう。」
そう言いオリビアはアレイに油断なく斬りかかる。アレイはそれを物理障壁を展開し防御しようとするが
「おいおい、それは悪手じゃ。」
オリビアは少しがっかりしたように刀を振りかぶる。オリビアが障壁に刀を振りかぶると障壁は一瞬で切り裂かれその刃がアレイに迫るが
「空間転移」
アレイは即座に転移魔術を発動させ回避する。
「ヴェルクラスの人間だと障壁が意味をなさないな。にしても人族最強は冗談みたいな強さだな」
アレイは一瞬の攻防の末に障壁を切り裂かれ、殺されそうになった事にヴェルと戦った時のことを思い出すそして回避されたオリビアはと言うと
「そうじゃった、お主はホントの意味での無詠唱を使用できるんじゃったな。全く、物理速度に間に合わせられる魔術師など今の時代に何人のこっているのじゃろうか。Sランクの冒険者でも珍しいというのに」
そう言いオリビアはため息をつきながらも、どこか嬉しそうに笑う
「ヴェルは戦闘能力だけで見ればSランクはあるっていってたぞ?」
「じゃろうな、それどころかSSランクの人間にも条件が整えば勝つことも難しくないじゃろう。ただのう」
オリビアはそれだけ言うと、一瞬で姿を消した。アレイはいつぞやで受けたヴェルの高速移動を思い出し瞬時に周囲に広域探知を使用する、すると背後に移動し高速で接近するオリビアを捉え振り向き様に賢術を使用する
「ほう、これを捉えるか」
オリビアはアレイが反応するとは思わなかったのか少し驚いたようにつぶやくそして、
「貫く一条の光!」
アレイの掌に術式が一瞬で構築され、その掌から光のレーザーが射出される。オリビアは高速で迫りくる光線に腕が霞む程の速さで刀を光線に当て、
「神式破壊」
小声でオリビアが呟くとアレイの放った光線は消え去った。
「今の攻撃ならワシら三人以外の冒険者を仕留める事がでるじゃろうな。まあ先ほどの条件での話じゃがな」
アレイにとっては止めと言わずともそれなりに手傷を与えられると思った一撃だったが、オリビアからしてみれば他の攻撃と同じように、なんら問題なく防げる攻撃だったらしい。
刀を一度払い、オリビアは戦闘前と変わらない佇まいでアレイに問いかける
「もう、手詰まりか?」
傲慢に、尊大に、問いかけてくるオリビアにアレイは確かにヴェルと同じような雰囲気を感じ取り、アレイはなるべく使うまいと決めていた神片闘技の能力を使用する
「む?」
突如アレイを中心に吹き荒れる魔力嵐にオリビアは興味深そうに目を細める。
「なるほど、それがお主の神片闘技か、、、ということは神片能力にも目覚めているな。よい」
オリビアはアレイの様子を見て頷き、再び刀を構え先ほどまでよりも真剣な表情で言う
「神片闘技はどんな能力か、使用されるまで解らんからのぅ。少し真面目にやろうかの」
そういいオリビアはアレイの一挙一同を見逃さん鋭い視線でアレイを見る
アレイはそれを見ながら、自らが覚醒した際に目覚めた神片闘技を使用する
神々しい光と共に三対六枚の翼に四つの球体がアレイの周囲をゆっくりと周回する。背中の翼は術式構築補助に術式威力強化、全属性魔力親和性上昇の効果がある。
そして周囲に浮かぶ球体は自動術式構築に術式威力強化が全てに備わっており完全に術師としての能力になっていた。
アレイは自らの神片闘技を確かめるように魔力を翼に流す、通常時よりも遥かに魔力集束や術式構築が楽になる為、神片能力に目覚め、神片闘技を扱えるようになってからなるべく使用しなかったが、やはり普段の数倍は全ての手順が早くなっていた。
魔力を翼に流し、球体に注ぎ込む。そして鍵言となる言葉を口にする
「集束加熱砲」
鍵言と共に最後の術式を構築すると、球体は均等に五つの球体になり五角形の形を作ると中心に魔力を集める。それと同時に威力強化の術式を自動で追加構築される。この全ての手順にかかった時間はほんの刹那の時だった
「ほう!ここまで濃密で練り込まれた術式は久しぶりにみるのう!、お主名は何という?」
感嘆極まったと言わんばかりにオリビアはアレイに名前を聞く、そしてアレイは嫌そうに答えた
「アレイ・ホーストン」
「アレイか!、いい名じゃ。よい、わしは今すこぶる機嫌がいい。それを早くワシに放て!」
オリビアは両手で刀をしっかりと持ち、アレイを促す。それをどこか嫌そうな顔を浮かべながらアレイは賢術を使用した。
通常の集束加熱砲は高温の炎を圧縮し指向性を持たせピンポイントで対象を貫き焼く術式だが、アレイの放ったものは神片闘技により強化され、もはや別物の術式になっていた。
人を飲み込む程の直径の円の広さを持つ超高温の炎熱砲は、オリビアを焼き付かさんと迫るが、オリビアは刀を腰に構え集束加熱砲が自らの刀の間合いに入った瞬間、刀を高速で振り斬る
「神式破壊」
魔術を切り裂く力を帯びた刀は、凶悪な炎に対しも文句なしに発動し集束加熱砲を斬り裂いた、が
アレイは集束加熱砲を発動した後、このパターンには嫌な過去しか無いため次なる術式を用意していた。ヴェルとの模擬戦の経験を生かし、刀を振りかぶっている体勢で止まっているオリビアに向け賢術を発動した。
「走れ光線」
使用する賢術は、光属性初球中位。注ぎ込まれた魔力は瞬時に術式を構築し5つの矢となりオリビアに襲い掛かる。威力としては一本一本が上級中位の威力が有るほど強化された賢術だが。
「くははは!!!、やはり神片闘技は面白いのう!人に過ぎる力を、こうも容易く身に宿させる!、あながち神の力の欠片と言う学者どもの言葉も間違っておらんかもな!。」
オリビアは身に迫る初球中位の術式が、威力として上級中位かそれ以上の威力に化けている事を見て笑いながら言う。そして
オリビアに光の矢が当たる瞬間何かに当たる音と共に光の矢は消滅した
「さしずめ、砲台じゃな。術師としてこれ以上ない才じゃ。お主程の術師があの時に生まれておったらのぅ」
最後はどこか悲しそうにオリビアは呟く、その眼には様々な感情が秘められており、およそ少女が浮かべる表情では無かった。
「お主、治癒系統の術式は使用できるのか?」
オリビアは最後の確認と言わんばかりに、アレイに問いかける
「使える」
「そうか……ならば戦いはもう良い。お主の仲間を癒してやれ。」
そう言いオリビアは特殊な空間を解除する。アレイは初めに倒されたプレアとロアの元に行き賢術を唱える
「女神の窮愛」
穏やかな光がプレアとロアを包み傷を癒す。そして
「結局、問題ってなんなんだよ」
「ふむ、戦闘に夢中ですっかり忘れておった。そうじゃのう」
オリビアはアレイの問いに素直に忘れていたことを言う。
「お主もどうせ勇者と一緒に入学するのじゃろう?。試験を受け、合格した後に正面入り口より落ち合おう」
「ん。てか試験終ったとかわかるのか?」
アレイはもっともな疑問を浮かべるが、オリビアは至極当然の様に言った。
「うむ。ワシも学生じゃからの。それに試験はちと、騒がしいからな終れば解る」
「そーか。わかった。んじゃまた後でな」




