二人目の最強
ゆっくりと刀をほとんど引きずる様にアレイ達に歩きながら近付く少女は挑発するように言った。
「ほれ、どうしたのだ?魔術でもなんでも攻撃を仕掛けんか」
少女は微笑みを浮かべながら言う、そこにいつの間にか近付いていたのか、ロアとプレアが斬りかかる。
「む?」
少女は身に迫る白刃に今気付いたと言わんばかりの声を挙げてから、ごく自然に手に持つ刀で二人の攻撃を同時にいなす。
「ふむ、中々に鋭い攻撃じゃの。じゃがワシにはその程度じゃ届かんな」
少女はそれだけ言うと剣を即座にしまい、体勢を崩しているプレアに片手を添えて、一言呟く。
「闘技・突圧」
少女の掌にほんの刹那の時間、魔力が動くとプレアは勢い良くふっとばされた。
「ふむ。咄嗟に後ろに下がり衝撃を緩和したか。元ルべリオの七天使者の隊長は流石じゃの。戦闘技能も、まあまあ高い様じゃな」
そういい、少女は受け身を取ったプレアに向け言った。アレイの見立てでは今の一撃でプレアは暫く戦闘には参加できないほどの攻撃をくらったと見る。現に直ぐ様立ち上がる事ができていないし、なによりも苦痛の表情を浮かべていた。
「爆炎」
少女が余所見をしている間にロアはほぼゼロ距離で爆炎を使用する。一瞬の内にロアと少女は爆発と共に炎に包まれた
アレイはその隙に神片闘技を発動させ、賢術を使用しようとするが、魔力を集束する間に炎が急に散り炎の中から無傷の少女が現れる
「剣士の風体で術式による攻撃の後に斬りかかる、まあ悪くは無いんじゃがちと、使い回された戦略じゃな。」
足元に倒れるロアを見ながら言う、アレイは一瞬の内に二人が下された事に内心焦るが。冷静に少女に尋ねる
「なんたっていきなり攻撃してくんだ?内の人間を殺すわけではなく気絶ですましてる。」
アレイの問い掛けに少女は一旦歩みを止め、答える
「ふむ、学園の生徒を攻撃した事と言えばお主は納得するか?」
少女は一瞬考える様に思考した後、問いに答える
「じゃが、一番の理由はこの時期、この情勢の時に転入する生徒がいると言うことが問題なんじゃよ。本来Aランク級の冒険者の来訪は喜ぶ所なんじゃが、この街の抱える問題的に放任する訳にはいかんのだ」
「どう言うことだよ、ここの防壁は並大抵の攻撃は無効化できるだろ。それに街の中にしろ魔術に特化した人間がいるだろうしな」
「お主の言う通り普通ならば確かに街の中は安全じゃ。あの頑強な城壁がある内はな。ただのう、多過ぎる魔力は毒にも薬にもなるんじゃよ。」
少女はアレイの問いに相づちを打ちながら話すが、最後に含みのある言い方をしてから歩き始める
アレイはそこで動き出した少女に対し賢術を発動させる。
「魔祓いの一矢」
莫大な魔力を瞬時に圧縮し指向性を持たせ射出した、以前にヴェルフェゴットとの模擬戦闘の中で放ったものより数倍威力のあがった一条の光線は吸い込まれる様に少女に近付くが、
「そうじゃな、そう言えばワシはまだ素性を明かして無かったのぅ。ワシはな」
ふと凶悪な威力を秘めた賢術などまるで無いかの様に言い出す少女にアレイは魔力の集束を始める
そして、アレイの放った賢術は少女に当たる寸前に消えていく、なにごとも無かったかの様に少女は魔術が消えたのを確認すると自らの素性を明かした
「ワシはこの呼び名はあまり好きではないが。一応人族最強の一人として数えられていて、名はオリビアと言う。宜しく頼む」
「それと、今の魔術は構築速度や術式構築、威力共に申し分ない攻撃だった。状況によれば竜にすら攻撃を通せるだろう。だがな」
少女はそこまで言い一旦言葉を区切り、続けて喋り出す
「ワシには、たかだか竜に攻撃が通る程度の威力の魔術では届かんぞ」
そう言い少女の姿が一瞬消えたのち、アレイの目の前に突如現れると同時に刀を降り下ろす。恐ろしい程の速度で身に迫る刀にアレイは一か八か回避行動を取らず自身の最速で賢術を使用する
「術理・灼熱の息吹」
本来物理速度に対し、魔術が間に合うと言うことはほとんど無い、理由として効果を現すまでのでプロセスが魔術の場合圧倒的に手順が多いからだが、アレイの賢術はその常識を覆しオリビアの剣撃に割り込んだ
灼熱の球体が恐ろしい速度で迫る刀の下に出現し、オリビアは瞬時に攻撃を辞め距離を取る。そこへ追撃する様に爆炎がオリビアに迫るがオリビアを避ける様に爆炎は通り過ぎていった。
アレイはその周囲に神眼を使いどういう理屈で回避してるかを解析しようとすると、うっすらと練り込まれた高密度の魔力の糸がオリビアの周囲に張り巡らされていた。
「糸か?」
アレイが思わず口に出すと、オリビアはそれが聞こえたのか少し機嫌が良さそうに話し出した。
「お主、やるのぅ。煌級の魔術をワシの攻撃に捩じ込み、魔術無効の理由の解析、それなら煌級魔術は試しか、人族も捨てたものではないの」
オリビアは少し上機嫌に言い出す。
「気が変わった、お主程の腕ならこの街の問題解決にも手助けになるじゃろうな。悪いが、何処までできるか付き合ってもらうぞ」
「てか問題ってなんなんだよ。それに俺は勇者の護衛が有るからこの街から離れられないぞ」
「それなら大丈夫じゃ、学園にはワシがおる。この街の問題については、戦いながら教えるとしよう」
そう言いオリビアは再び刀を横に持った、その姿は先程と変わらないが一種の気迫の様なモノを相対した相手にぶつける様になっていた。




