実力の差
ロイグが一番初めに狙ったのは天族だった。一瞬で近寄りいつの間にか両手に持っていた剣を振り降ろす、天族はそれを防ぐが防御した瞬間蹴り飛ばされる。
「ああそうだ一つ教えてやるよ。俺等邪族は人族の姿をしてるときよりもこの姿の方がはるかに攻撃性能が高い」
そう言い吹き飛ばした天族に向け魔術を発動する
「術式・暗炎咆哮」
アレイの見立てでは闇と炎の合成魔術でその魔術は天族を直撃し滅ぼした。
「まじかよ……」
アレイは一瞬の内に滅ぼされた天族を見ながら呟く。
「俺等神の使いは天族も含め、蹂躙には慣れているが戦闘となると慣れていないからな。そこをつけば直ぐに殺せる」
ロイグは当たり前の様に言い切り、剣を構えアレイに斬りかかる
「自分でそれを言うのは弱点を晒す事と同意ですよ?邪族さん」
プレアはとっさに斬りかかってきたロイグの攻撃を難なく防ぎ剣を弾き飛ばした後に斬りかかる。
「術理・宿りし炎霊の力」
アレイは属性付与をプレアの剣におこない、プレアの剣は2属性になる
「あー、なるほどな。そうやって旦那を殺したのか。確かにそれで術式が後ろから来たら大変だわ。」
「あとさっきのは弱点じゃない。お前レベルなら戦闘にならん」
そう言いロイグは一瞬でプレアの剣を弾き、蹴り飛ばした。
「術式・核心破壊」
ロイグが使用した術式は対象の周囲に透明な球体を出現させ大爆発させるモノだった。そしてそれはプレアの周囲に現れ爆発を起こす。
「これで、あと一人だな。」
ロイグはアレイに向け言う。
「っ!?」
だが、突如プレアの居た方向から超高速で大剣が飛んできてロイグの片腕を切り飛ばす、ロイグは直ぐ様術式により止血するとプレアの居た方向を見る。
「おめー生きてたのか……」
忌々しげにプレアの方を見ると、全身ぼろぼろになりながらも立ち上がりこちらを見てるプレアが居た
「魔術で私は殺せませんよ?、ただ防御に失敗したのでこれ以上は厳しいですね。治療し戦線復帰する機会を伺いましょう。アレイさん?片腕はもらったので、残りお願いしますね」
プレアはそう言い、少し笑ってから聖王の張っている障壁に向け歩き出す、だが
「いかせるかっ!」
「術式・無刀鋭刃」
ロイグは障壁に辿り着く前に止めをさそうとするが、それを当たり前の様にアレイはプレアの周囲に障壁を展開し防ぐ。
「ばかな!?遠式だと!?」
ロイグはアレイが魔術を自分の周囲以外に使用した事に驚愕する。だがアレイは当たり前の事をしたかのように言った
「なに驚いてんだよ?普通だろ?」
遠式とは術式行使における一つの手法で自分の周囲意外に魔術を発動する技術で、障壁の様な攻撃を防御する魔術は自分の周囲以外に使用するのは難しいと言われている。ただ自らの魔力を使用し展開する分には比較的簡単だが、対象の周囲の魔力を用いて魔術を構築する遠式は難易度が別格になる。
「んじゃ、まあ内の者もやられたから俺も本気でやる」
そしてアレイは武器を魔力で造り出せるスキルを造りそれに付随する武術スキルも造っていく。
「ん?お前術師だろ?武器なんて造ってどうすんーーー」
アレイはロイグが言い終わる前に魔力で造られた剣で斬りかかる
剣術は、武器の扱い方や身体に捌き方など剣を振ることに対し補正の入るスキル。身体強化術式・先見・魔闘技・能力操作。4つのスキルを併用しロイグに剣撃を繰り出す
「てめぇ!?術師じゃねーのかよ!」
「どうだろうな?俺はそんなくくりで自分を見たことはない」
アレイはしてやったりの表情を浮かべながら言う。そしてロイグが剣撃に対しなれてきた所で武器を作り替える。鎌術は鎌を振るう事に補正の入るスキル、剣から鎌に切り換える際に中距離に移動しながらロイグに縦横無尽に変則的に斬りつけていく。そして鎌の動きにロイグがなれてきた頃にまた切り換える
「ちょこちょこ節操のねえやろうだな!」
武器をころころ替えるアレイに対しロイグは苛立ちを含んだ声で言うが
「こまけーこと気にすんなよ?」
やはりそれを不敵な表情で言い返す。全ての攻撃に対し属性を付与し攻撃してるため邪族は回避か弾く事しかできない。それを知りながらアレイは一瞬の隙を手繰り寄せる為に怒濤の勢いで攻撃を続ける
斧術は、斧を振るう事に補正の入るスキルで剣術や鎌術と同じように補正が入る。レベルの低さを他のスキルで誤魔化しながらアレイは斧で攻撃を続ける
「くそ!」
一撃一撃が重たい攻撃にロイグは舌打ちを打つ、剣にひびがはいった所でロイグはアレイの攻撃をわざと受けてまで距離をとる
「くそ!予想外だぜ……しかたねぇ……」
距離を取ったロイグは自らの魔力と周囲に漂う魔力を使い魔術を発動しようとするが、遠距離での戦闘は、アレイにとっての十八番でロイグが魔術を行使するよりも早く賢術を使用する。
「術理・神滅の矢」
無属性祈級上位、超高密度まで圧縮した魔力を対象の方向に向けある程度の指向性を持たせ爆発させる術。術式構築事態は同じ位の術式よりも簡単だが全ての祈級と比べても一番破壊力が高い。
アレイの手元より放たれた賢術は、射線上の全てを抉りながらロイグを滅ぼそうとするが。
「くそ!悪手だったか!」
ロイグは距離を取った事を失敗に思いながらも全力で回避するため直ぐ様空に飛び上がる、
「そこにいって逃げられんのか?」
アレイは空に飛んだロイグに言うと、更に賢術を使用する。
「馬鹿な!お前の魔力量はどうなってんだ!?」
ロイグはアレイが先ほどのレベルの魔術をまた使用しようとしているのを見ると驚愕の表情を浮かべる。
「俺の魔力量な、しらね。使った端から回復するし、無くても其処らの魔力を使えば良いしな。まあなんだ。相手が悪かったな」
「術理・炎姫の断絶」
空に飛んでいるロイグの周囲に六つの小さな波紋が出現し、それが一瞬で巨大化し六つの波紋に重なる位置にいるロイグを焼き切ろうとする。
鋭く伸びた炎の円はロイグに襲いかかる。
「あーくそ。まさかここまでやるとはな」
所々焼き切られロイグは全身ぼろぼろになりながら言う、どうやら先ほどの攻撃でも仕留められなかった様だ。
「タフなやろーだな。」
アレイは祈級の攻撃でも倒しきれない様子に呆れを覚える。強欲の森でも攻撃した瞬時に回復する魔物もいたがそれ以上のタフさがあるとアレイは思った。
「にしてもお前らなんの目的で勇者召喚に干渉したんだ?」
アレイは魔力を回復するためにも話を振る、ロイグの方も治癒をしなければならないのか話しに答えた。
「んなもん、俺等の信仰する神様の復活に決まってるだろ。俺等の中の人間が今回現れる勇者の中に神様の復活に必要な能力をもってるって予言があってな。端的に言うと勇者を拐いにきた。」
「邪神の召喚に必要な能力?なんだよお前らの神封印されてんの?」
「うっせ!今のアーカイブじゃ創神オリミナが主神として降臨しているがその昔は俺等の神、破神マルキス様が主神だったんだよ!そんで二柱の神が争ってオリミナが勝利して負けた破神マルキス様が封印されたんだ!俺等はその封印を解こうとだな」
ロイグは理由を矢継ぎ早に言うが
「え?結局なんだよお前らの神が負けたのがわりーんじゃないの?」
アレイが話を聞き、そこまで言うと障壁を展開している聖王が言った。
「旅の者よ!騙されるでない!そやつら邪族はオリミナ様の使いである天族を殺したのじゃ!しょせん邪神の手先なのだから話を聞く価値は無い!」
聖王は声高々に叫んだ。アレイはその様子に怪訝な表情を浮かべる正直アレイに取ってみれば邪神も主神も関係なく、目的達成が不可能になった時点で取り敢えず勇者達を守るために戦っているに過ぎないのだ。アレイがそう考えていると。ヴェルから通信が入る。
(やあ、アレイ。やっとこっちは戦いが終わったよー
もー疲れた休む前に状況きこうと思うんだけどどんな感じ?)
アレイはヴェルからの通信に起こった事を全て話す。
(そうか……間に合わなかったか……まーしょうがないね。勇者が四人で邪族と戦闘中か……うーん。)
(勇者も直ぐ戦える感じじゃないけどな、てか邪族が変異してすげータフになってんだけどどう倒せば良いんだ?)
(突然怪異した邪族と戦ってるの!?……ほんとまあよくやるよ。その姿のやつらはレベルで言えば10000は越えてなければ大変なんだけどね……あーそうかそいつらの倒しかたはね)
ヴェルは邪族の倒し方をアレイに伝える。そして
(戦の宴が終わったら僕も一度そっちに顔だすよ。はぁー……邪族に天族。それに魔族の活性化、更には勇者の育成かぁ。。。)
ヴェルは世界で起きている事に憂いを帯びた声音で呟く、それをアレイは聞いてない振りをし、邪族に話し掛ける。
「ちなみにその能力何て言うんだ?」
アレイはダメ元でロイグに聞いてみる
「ん?神眼ってユニークスキルだな。」
「しらね。てか何に使うんだよ?」
「そりゃ封印の種別と術式を解析するため……って!おい!」
ロイグは余りにも軽い聞き方にうっかり答えてしまう。そして勇者の方を見て言った。
「今回は、思わぬ邪魔が入ったから一旦引くけど必ずお前らを拐いに来るからな。覚悟しとけよ、んで。」
どうやらロイグはこのまま撤退するらしい。受けた傷の治療だろうか?空間転移を発動しながら最後にアレイに言う
「てめぇは旦那を殺した分と、今回傷つけられた分、必ず仕返ししにくっからな!てか勇者拐うよりお前に先に仕返ししてやる!」
「お前そんな偉いの?」
アレイはロイグにそう言った。
「ロナの旦那が殺されたからな!俺がこれから種族を纏めんだよ!後は今回勇者が居るから手を抜いたけど次は手加減なしでぶっころすからな!」
ロイグがそう言い転移する直前にアレイはにやにやしながら言う
「できるもんならな、負け犬はさっさと帰れ」
手をひらひらし、追いやる仕草をするとロイグはなにか言いたさそうな雰囲気だったが転移が発動しその姿が消える
そして邪族が立ち去った後、アレイは勇者達の方を見て無事な事を確認すると連戦による疲労で地面に倒れこんだ。




