突然怪異
扉を明け中に入ると暗くて狭い道が続いていた、
「ん?儀式の間ってさっきの部屋のすぐ先じゃないんだな」
アレイは魔術により小さな光源を出し足元に気を付けながら歩く
建物内とは思えないほど足場がしっかりしていなくどちらかといえば洞窟を歩いているかの様な印象を受けていた
「儀式の間は地下の霊脈に近い所にあるんですよ。なのでこの道はそこに行くまでの道になりますね。」
アレイは頷きながら辺りを見渡す、と言っても岩のでこぼこした道としか解らないが
「そーいや、なんで入り口の前にプレアしかいなかったんだ?」
「それは七天使者の一人が倒されたからですよ。私達聖王直下の人間はメンバーと連絡の取れるように通信術式を刻んだアクセサリをつけてますからね。それで解ります私達の中のだれか一人が負けるほどの賊ならば一般兵が何人いようが基本的に倒されて終わりですからね」
なので、私が唯一の入り口の前で待ち伏せしてました。プレアはそう続けた。
「なるほどな、確かにそれなら納得だ。」
「ところで、儀式を止めるのは解ったのですがどう言った方法で止めるのですか?」
プレアは気になっていた事を聞く、儀式の間に描かれている術式は複雑怪奇になっておりとても普通の方法で止められるとは思えない
「術式に介入して書き換える。それがダメだったら力技で止めるさ。」
だから発動してからだと、正直止める手段が無いんだよな。アレイもそう続ける。最悪は術式事破壊すれば良いのだがそれは最終手段だと考えていた。
「なるほど、ですが膨大な情報が刻まれてる術式の中の一部のみを書き換えて不具合が起きたらどうするのですか?」
プレアの言う事も最もで、変な所を書き換えてしまったらなにが起こるか解らないのだ、それはいかに術式に精通しているアレイでも同じだとプレアは考えるが
「何言ってんだよ、書き換えるのは術式の、人間に当たる心臓の部分に決まってるだろ。魔式破壊と同じ要領でやるんだよ。」
ああ、なるほど。確かに魔術式と言うのは確かに作り初めに当たるところが必ず存在する。そこを書き換えれば確かに不可能ではないとプレアは考えた。
「そんな感じだな、てゆーか俺に破壊できん術式はたぶんない」
アレイはそう言い切るのをプレアは微笑ましそうにみながら相づちを打つ。
「そうなのですね、凄いですー」
プレアは棒読みの称賛を送ると、アレイに制止を告げる。どうやら気付けば儀式の間にたどり着いていたらしい。やはりまた扉があり、扉越しの中から通常ではありえない量の魔力が漏れ出ているのアレイは感じた。
「すげー量だな、国を挙げると此処まで魔力を集められるのか。」
アレイは体感できるほどの魔力に少し驚く
「おくしましたか?」
「それはない。」
アレイはそう言い切り術翅を使用する。背中に術翅を生み出し準備を終らせる。そしてプレアの方を見ると、プレアもどうやら剣を構えている所を見ると準備を終らせているのだろう。
アレイは扉に掛かっている侵入防止の魔術を破壊する
「術壊」
音もなく、魔術を破壊するとアレイは扉に手を当て開いた。この時にアレイは心の中でスキルによるモノではなく、己自信の直感としてめんどくさくなることを感じていた
洞窟の中から一転し、扉を開け中を見ると大聖堂の様なだだっ広い空間に二人の人の形をした何かが切りあっていた。そして召喚術式の上に四人の若い男女に一人の法衣を着た年老いた男が障壁を展開し、若い男女を守りながら切りあっている二人を見ていた
「これどういう状況だ?」
アレイは若い男女の方を見る。怯えている所を見ると今回召喚されてしまった勇者だろうか?その中に二人の男女は認識できる現状を越えたのか少なくとも他の二人の男女より落ち着いてはいるが、
「これは……手遅れですね」
プレアは術式の上にいる若い男女を見ると、そう呟く。
「でも何でだ?そこまで魔力の動きは無かったけどな」
アレイは勇者を見ながら言う。
「そうですね。儀式を行えば莫大な魔力が動き、それを感知できそうですが」
「取り敢えずあそこで障壁張ってる聖王様に聞いてみましょう」
そう言いアレイとプレアは戦っている二人のとばっちりをくらわないように注意しながら移動し聖王の元に辿り着く。聖王は近付いてくるプレアを見ると良いところに来たと言わんばかりに声をかける
「おお!プレアか!勇者は無事に召喚できたのだが、ロナの腹心であったロイグが急に変貌して襲いかかってきたのだ、そして一人天族が入り込んで来て、今戦っておる。」
アレイは戦闘を行っている二人を見る、戦闘の余波によりたまにこちらまで衝撃波や爆風が飛んでくるがなんなく防ぐ。
「先ほどの戦闘より地味ですね」
プレアも思ったのか、邪族にしてもやはり個体差があるのか戦っているのを見る限りは大した事は無い、そう考えるアレイだったが。
「こんな戦いは中々ない。勇者達よきちんと見ておくのだ」
聖王は後ろの勇者にそう声をかける。だが四人の内二人の勇者は眼を背けていた。アレイはそれが気になるが今は話しかけず戦況をうかがう。聖王がなにか言っていたがこの程度の戦いなんぞ腐るほどある。そんな事を思いながら加勢する瞬間を探す。戦いをみる分には、天族が優勢だが邪族は単一属性攻撃無効が有るため天族は攻めあぐねていた。天族も単一属性攻撃無効はあるが、邪族は多少の攻撃を全て防げるため少し強引に攻め二重属性攻撃を織り混ぜながら攻撃するため天族は致命傷をくらう攻撃を見極め回避しながら攻撃する。
同じ条件ではあるが天族の方が少し戦闘慣れをしていない様で効率的な攻めかたをしているが、これではいつ優劣が塗り替えられるか解らないためにアレイは即座に参戦する事を決めた。戦闘に参加する為まずアレイは魔術を唱える為に魔力を収束し、そして
「術理・宿る神の小片」
戦いを初める為にプレアに補助術式を掛けた。掛けた術式は身体能力を大幅に上昇させる術式だった、そして術式が掛かるのと同時にプレアは剣を構え邪族ーーーロイグに斬りかかる。
「っ!?」
ロイグはいきなり斬りかかって来たプレアの剣を何とか防ぐが、空いた隙に天族がロイグを蹴り飛ばしを吹き飛ばす。そしてアレイがそこに賢術を放った。
「術理・天地蒼雷」
雷属性祈級上位の賢術がロイグに襲いかかる。
単一属性攻撃無効を越える、祈級の術式が直撃したロイグは全身を焼け焦がれた状態で立っていた。
「くそ、やっぱ数の力にはかなわねぇな。しかたねぇ……」
ロイグは舌打ちと共に言うと、眼を瞑り言霊を紡ぐ
「突然怪異」
ロイグが言霊を紡ぐと、人の形態から獣の様な風体に身体を作り替えてき最終的に巨大な狼の様になった。おぞましく威圧するようにアレイ達を見る。そして
「この姿は好きじゃねぇんだけどなあ……」
ロイグだったものは何処か悲しげに言うとその眼はアレイ達を見て、だんだんと怒りの雰囲気をかもしだし、
「まあロナの旦那も殺された事だしな、敵打ちしねーと。所で旦那を殺した人間達よ、旦那は最後に人間のまま死んでいったのか?」
「ああ、お前と違って人間のまま死んでいった。」
アレイは迷いなく答える。
「そうか……だから儀式の途中に妨害が入らなかったんだな。旦那はこの姿での術式行使が苦手だったからなぁ…」
ロイグは納得した様に言うと、一旦眼を瞑り。暫くたってから眼を開ける。
「さて、人間共と勇者達、それに神の使いよ。俺が纏めて相手してやるよ!」
咆哮と共に巨大な狼は動き出した。敵討ちと全ては自らの信仰する神の命令のままに。




