プレア・アルセティウム
クラードの攻撃を回避したのは単純な手法だった。ただアレイは攻撃がくる瞬間に空間転移を使いクラードの後ろに転移して攻撃しただけだった。
意識の堕ちたクラードを一瞥し、ロアの方を見る。どうやら加護を受けた状態の剣士とも互角以上に切りあっており心配はなさそうに見える。アレイが一瞬加勢しようか悩んでる内にロアがこちらに向け声をだす
「主よ!先に行け!我も直ぐに追いかける!」
ロアはそれだけ言うと、目の前の剣士を倒すために集中する。アレイはそれを見て元々調べてあった城に入る抜け道の入口に向かう。
「なっ!まて!」
「いかせん!」
金髪の男が城の方に向かおうとするアレイに魔術を使用しようもするがロアが妨害しアレイは無事に戦域から離れる。
戦闘区域から離れ、アレイは自らの魔力や気配を悟られぬ様に闇の抱擁を唱えてから城に向かう。城に向かいながらアレイは自らのステータスを確認していた。
ーーー
アレイ・ホーストン
LV2500
神片能力
創造者の権能
ユニークスキル
術理
直感
先見
識眼
アクティブスキル
賢術 LV120
ーーー
現在のステータスはこうなっているが、やはり近接時の戦闘において遅れを取ることが有るためアレイは新たにスキルを造る。
槍術、魔闘技、能力操作。作ったスキルは二つのアクティブスキルと一つのユニークスキルだった。能力操作の効果としては能力の使い方を教えてくれると言うユニークスキルだった。
取り敢えずスキルを作り終えると、アレイは城の近くまで辿り着く。城門はやはり警備が厳重な為にシェイルに教えてもらった抜け道を使い城の中に入っていく。
城の中は、基本的に兵士が巡回しながら魔術による探知を行い侵入者などを探す様になっているらしいが、アレイは覚醒前からお世話になっている闇の抱擁を使い気配と魔力反応を消す。生物が其処に存在すると言う情報を全て隠蔽できるが物理や魔術により衝撃を受けた際に即座に解除される魔術でもある。
そのためアレイは見回りの兵士などが近付いてきた場合接触しない様に隠れたりしながら城内を進んでく。
暫くばれずに進んで行くと扉の前より勇者、召喚と言った声が聞こえてきてアレイは扉の中に耳を傾ける。
「....七天使者....が..まけ....勇者..急げ....直ぐに....」
「はい。」
「やつら....ここ....守護..頼む」
「全ては女神アルティム様と聖王様の為に」
扉の中から複数の人間の話し声が聞こえ、勇者召喚を急ぎで行うと言った内容だった。アレイは喋っている内容を確認した後に扉を開け中に入る。
扉を開けるとだだっ広い空間に質素な調度品。それでいて高級さを漂わせる様な細工が置いてあり、部屋の反対側にまた扉があると言うことは先ほど話していた残りの人間は其処に言ったのだろう。今は一人の司祭服を着た人間が一人おり。此方を見ていた。
アレイはすかさずステータスを確認する。
ーーー
プレア・アルセティウム
LV 2550
神片能力
皇女の采配
アクティブスキル
剣術LV1500
賢術LV50
パッシブスキル
魔力超速回復LV900
無詠唱LV890
ーーー
剣を、と言うより大剣を前に突き刺し凛とした表情で此方を見るプレアは名乗りをあげた。
「初めまして。国賊さん。と言ってもあなた方がなぜ、勇者召喚を阻止しようとするのか理由が解らないため一概に悪とは言えませんがルベリオ上層部にすれば今回の召喚の儀は絶対に成功させなければいけない内容です。なので」
プレアはそこで言葉を切ると床に刺した大剣を引き抜きアレイに向け構えながら次の言葉を紡ぐ。
「詳しい内容はあなたが私の攻撃を防いでいる間にききましょう。あなたが私の攻撃を捌いている間はどんな問いにも答える、逆にあなたが私の攻撃を捌けなくなった時には、ここにて死んでいただきます」
そう言いプレアは大剣を軽々と一度横に薙ぎ、アレイに告げる
「まいります。」
大剣を無行の位に構えたと思えば、プレアは即座に移動を開始し距離を詰めアレイに斬りかかる。アレイはプレアが動き出すのを先見により確認すると障壁を全方位に展開し術翅を使う。術式設定としては風属性中級上位の風結斬にした。この魔術の特性としては対象の周囲に鎌鼬を起こし無数の風の刃にて攻撃すると言う魔術だが、プレアは術が発動し攻撃される直前に障壁を展開しその全てを防ぐ
「はあ!?まじかよ!」
アレイは移動し剣で攻撃をする片手間に自らの術翅の攻撃が防がれるのに驚く、プレアはその様子を少し笑いながらアレイに告げる
「まさか、この程度の密度の術で私の動きを止められるとでも?私の動き出しに合わせ障壁を幾重にも展開したあと即座に私が貴方に辿り着く前に魔術による迎撃をできるのは評価しますがいかんせん術式構築は早くても、攻撃魔術の選択はまだまだですね。」
そう言い目の前まで来て大剣を振り下ろす。
一度きりの攻撃で三枚の障壁が壊れるの確認し、アレイはそのまま横薙ぎしようとするプレアに向かい賢術を使用する
「術理・闇槍」
プレアの周囲に闇の槍を出現させ串刺しにしようとするが、プレアは大剣を無理に振るいわざと体制を崩し回避する。それから返す刀で薙ぎ払うがアレイはそれを空間転移によりプレアの後ろに距離を開け転移した。
「……中々やりますね。戦闘中に関わらず空間転移で回避ですか。どうやら術式構築速度は人間だと考えない方が良いですね。流石にうちのクラードを倒しただけの事は有ります。」
プレアはアレイの方に振り向かず、事実を告げていく。
「んな事より一つ答えてもらうぜー。まず勇者召喚の儀はこの奥で行われるって認識で良いのか?お前さん...いやプレア程の剣士がこの場所を護ってるからどうかって話だけどな」
アレイは途中で名前を言い直し、プレアに聞く。
「男の方に名前を呼び捨てされるのは中々新鮮ですね。皆私を呼ぶときは敬称を付けますからね...まあそれよりその問いの答えは肯定ですね。その扉の奥で今まさに準備が行われてるでしょう。
そして数刻後には異世界より勇者がこの地に呼び出されます」
プレアは話している途中に、アレイの方に向き直りやはり大剣を構え今度はゆっくり近付いてくる。
「いつもなら大抵の賊は一撃で倒せるのですが、貴方はどうやら一筋縄ではいかないようですね。困ったものです。」
プレアは近付きながら困った様な表情を浮かべる
「そりゃあ気の毒だな、その連勝記録も今日で初めての黒星になるからな」
アレイは近付いてくるプレアに対し槍を出現させ警戒する
「なるほど、魔法も使い武芸も扱いますか。近接時の対応が術師のそれではないとは思っていましたが。中々骨が折れそうです。まあですが、槍を使おうと、術を使おうと私は負けません。なぜなら私は」
プレアがそう言うと、プレアの身体の周りに加護の光が宿る、アレイの見たなかで一番強い輝きを放ちその姿は一種の神々しさを放っていた。
「七天使者隊長、プレア・アルセティウム。負けられません。この闘いはこの世界の人族の命運を決める」
加護の光が徐々に増していき、しまいにはプレアの背中に二対の翼が出現する。そして光の増加が止まったかと思えばプレアは大剣を両手に持ち言った。
「国賊さん……いえ、名前を聞きましょう。貴方の名前は?」
プレアは一度立ち止まり名を尋ねる。
アレイは神々しいプレアを目の前に、一瞬呆けるが名を尋ねられた時に槍の先端に魔力をため、術翅を自らの術式発動の媒体に設定し、魔闘技を使用し、答える。
「初めてこの国に来て名前を聞かれたな。まあ俺の名前は名前はアレイ。アレイ・ホーストンだ。」
アレイは戦闘中にも関わらず落ち着いた雰囲気で言う。
「アレイ・ホーストン……ですか。なるほど。良い名前です。できればこんな状況では無く普通に街でお会いしたかったですね。」
一瞬、ただ一瞬だけプレアは俯くと直ぐに顔を上げて言う
「それでは、第二幕を始めましょうか」
「いや、終幕だな、この撃ち合い終わらせる」
そう言い二人は同時に動きだしアレイは槍を、プレアは大剣を振り切り結び始めた。




