情報収集
明くる日、アレイ達はテントをたたみ野営をしていた広場にいた
ヴェルはどうやら皆が寝静まった後に移動をしたらしく居なくなっていた。
アレイは魔力により、転移魔術の術式を地面に刻み込み皆を術式の中に入れる。
「シェイル、ルベリオの近くの森かどこか人目につかない場所をイメージしてくれ。シェイルのイメージを元に転移する。」
「解った」
シェイルはそう言い目を瞑りイメージをする。
「よし、じゃあ転移するぞ。」
アレイはシェイルがイメージしたことを確認すると自らも術式の中に入り術を発動する
「術理・空間転移」
目映い光と共に術式が光だし、次の瞬間に転移した。
聖王国ルベリオは女神アルティムを只一つの神とし信仰している宗教国家で、真偽は定かじゃないが信仰の度合いにより神より加護を授かる事ができるらしい。また他の国と比べ光属性を使う魔術師が多いことや宗教の影響により細剣や儀式剣などを扱う者が多くいたりと国じたいが神を崇めている風潮をもっていた。
その中でも双子の神の窮愛児ーーー神子と巫女は神より直接神託を受ける事ができると言われ今回の異世界勇者召喚も神より巫女が神託を受け、それを実行しようとしているらしい。
転移を行いルベリオにたどり着いた後、アレイ達は二手に別れ情報を集めていた。チームとしてはアレイとロア、シェイルとブレックで別れており街の酒場や教会に行き話を聞いていたが、ここ最近になり街中が勇者召喚を歓迎する様子になっておりアレイ達は明確な日を知るためにシェイルが言っていた勇者召喚を行う王城に忍び込み勇者召喚が三日後に行われる事を知り対策を練るために脱出しようとしたが、なぜか途中忍び込んだ事が発覚し現在アレイとロアは王城の聖騎士に追われていた。
「いたぞ!こっちだ!」
王城より聖王国の入り口まで続く大通りから路地に入り聖騎士の目を欺こうとしたが、地の理はやはり向こうに有るらしく直ぐ様追い付かれた。そのまま反対側に逃げようとしたが回り込んでいたのか反対側からも聖騎士が現れ、アレイとロアは聖騎士に挟まれた。
袋小路となったアレイは舌打ちをし、布で隠している顔を歪ませ同じく顔を隠しているロアと背中を合わせ現状をどうするかを考える。聖騎士のレベルは大体1200-1500ぐらいで普通に戦えば負ける相手では無いが、賢術で撃退してしまった場合魔力の残り香により魔力特有の波長が検出されてしまうため、アレイは賢術を使えず指輪に魔力を込め槍を出現させた。
「こいつ魔術師か!おい!無属性の情報系統魔術を使える術師を呼んでこい!それまでこいつらを足止めするぞ!」
隊長らしき聖騎士が隣の聖騎士に声を掛け、王城に向かわせる。そして一人の聖騎士が向かったことを確認すると聖騎士達は一斉に腰に指している儀式剣を抜き放ち剣を構える。
(主よ、どうするのだ?いつも通りでいいのか?)
ロアは正面にいる聖騎士を見ながら念話によりアレイに聞く
(そうだな。今回は時間制限もあるから早めに倒すぞ)
アレイも同じ様に正面の聖騎士を見ながら念話で答える。
(わかった。主よ無理はしないでくれ。)
(解ってる。危なくなったら直ぐに賢術を使うさ)
そこまで話した所で、隊長は声を上げた
「っ!こいつら念話で会話をしている!直ぐに止めろ!できれば殺さず捕らえろ!出来なそうなら殺せ!」
そう言い隊長は武器を構え一斉に襲い掛かる様に合図をだす。だが狭い路地に逃げ込んだかいもあり戦闘を行うには1人づつしかできないような路地の為、聖騎士達は1人づつロアとアレイに襲い掛かってきた。
後ろでロアが刀で聖騎士の剣撃を防ぐ甲高い音を聞きながら、アレイも自らに襲い掛かる聖騎士の剣を槍により防ぐ。そして自らに身体強化の術を掛け、力任せに聖騎士の剣を振り切り体勢を崩した聖騎士の更に両手で槍を持ち力一杯突き刺した。魔力により作られた槍だが、魔力を注ぎ込む際に刃を潰す様にしたため放たれた槍は突き刺さらず衝撃のみを聖騎士に伝え、気絶させる。
崩れる様に倒れた聖騎士を確認すると、アレイは直ぐに体勢を整え次の聖騎士に攻撃を仕掛け、倒していく。
「くそ!なにをやっている!こうなれば俺がやる!」
そう言い隊長は部下を下がらせ、自らが武器を構えた
「お前らの目的はなんだ!?こそこそと情報を集めているらしいが勇者召喚はこの世界を救う手段なんだ!邪魔をするな!」
隊長はアレイに叫びながら斬りかかるが、アレイは強化された肉体能力をフルに使い隊長の剣撃をやりで防いでいく。他の聖騎士と違い一撃一撃が重たくアレイが攻めあぐねていると、
(主よ、こちらは終わった。変わろう。)
ロアが反対側の聖騎士を倒したらしく、交代を言ってきた
(待ってた!こいつ他のやつと違って攻撃が鋭いし重たいから気を付けろ!)
(解った!)
アレイは隊長の特徴を伝え、大きく振りかぶった隊長の剣撃を防ぐの同時に自らに重力魔術を掛け身体を軽くし、後ろにわざと吹っ飛ばされる。それをロアは屈む事で回避し、しゃがんだ助走をふるに使いあっけに取られている隊長に斬りかかる。
アレイは適当に飛んだ所で体重を戻し着地すると、目の前で行われる戦闘を観察する。自分と違いロアは全ての攻撃を受け流していた。どうやら体勢を崩す瞬間を狙っているらしいがやはり聖騎士の隊長を努めているだけあり中々隙を見せず剣撃を続けていた
「くそ!賊の分際で中々やるな!こうなれば仕方ない!」
そう言い隊長は小声で一言呟く、すると身体全体がうっすら光だし動きが一気に鋭くなり怒濤の勢いでロアに攻撃を仕掛けていく
「ぐっ」
ロアは激化する攻撃に対しなんとか迎撃していくが、一瞬剣が弾かれた後にうでを斬られる。それを見たアレイは直ぐ様魔力を練り賢術を発動した。
「術理・真紅の炎刀
火属性上級上位、真紅の炎刀ーーー対象の周囲に圧縮された高温刀状の焔を出現させ突き刺す魔術ーーーは隊長の足や腕に突き刺さりその動きを止める
「ぐあっ!.....だが、これ..で後...から....来る術師...」
隊長は途切れながらに言葉を紡ぐが、意識が途切れたのか隊長は気絶した
焦げ臭いにおいが漂う中、アレイはロアの腕を治療してから
聖騎士の隊長の傷を治療しその場を離れアジトに向かった。




