旅準備
明くる日、二人は眼を覚ますと早速街に出掛けていた。どうやら宿屋の店員に聞いた所、武器防具雑貨は商業区と呼ばれるエリアに売っているらしく店員に道を教えてもらい商業区に移動する。
「にしても王都って広いのな、しかも区間事に別れてて街が整備されてるし…」
「確かに広いの、主よあそこに肉がおいてあるぞ」
アレイはロアに言われその方向を見ると、どうやら屋台で肉を焼き販売してるらしい。
「……ロア、あれは置いてあるんじゃなくて、売り物。」
アレイがそう言うとロアは眼を見開き言った。
「そうか、売り物か。人族は中々奇妙な事をする……」
どうやらロアの眼には食べ物を、誰でも取れる状態で置いとく事は異常になるらしい。アレイは心の中でこの野生児めっと呟くと
あれ?こいつまんまじゃんと自己完結していた。
アレイとロアがそんな漫才、主にロアがボケ担当ーーーしながら街を歩いているとどうやらお目当ての商業エリアにたどり着いたらしい。軽く見渡せば樽に剣や槍を突っ込みどれでも一本銀貨一枚!と書かれた値札や、今防具を買えば補習用キット着き!などと、どの店も他の店と差別化を図っており、見ているだけでも面白い風景を作っていた。
そんなチラシや特売なんかを見ながらどの店にしようかと歩いていると、さびれた小屋にただ商い中と書かれた武器屋をみつけるとアレイは立ち止まり店を見る。
「なーロア。ここ入る。」
辺りを物珍しそうに見てるロアに声をかけ、アレイは扉を開け中に入る。中に入ると剣や槍から始まり更に鎌や鞭といった特殊武器もあった。アレイは店の奥にいる親父に声をかける
「おっちゃん、杖置いてない?」
アレイが声をかけると、親父は少し待てと良い店内に引っ込む。そして暫くすると三種類の杖と指輪をもって来た。
「まずどの大きさの杖が良いかと、使用できる属性。後は個人的なこだわりがあったら教えてくれ。基本的に魔術発動の補助としての杖はこの四種類なんだが……」
親父はそういって、机の上に大きさの違う杖を置いていく、そして説明を始める。
「本来杖は魔術師のレベルによって決めてくんだが、坊主は術師としてはレベルが高いだろうからな。使いやすいものを選んだ方がいいぞ」
「おっちゃんそんなのわかんの?」
アレイは店主に笑いながら聞くと、親父は鼻で笑ってから答える
「こちとら何十年も武器屋をやってるからな、当然色んな魔術師も見てきた。そんなかでも坊主は魔力放出が一定を保ってるし身に備わる魔力量も多い。実際の戦闘技術までは読み切れんが、まあ能力は高いだろうな、平均よりはだが。」
アレイはそう言われると、満更でも無い気持ちになり、店主に属性や戦い方を告げる。
「俺の戦い方は基本的に遠距離攻撃だけど、最近は近距離もするからとにかく動きに邪魔にならず、かつ近距離戦闘でも使える杖が良いな。んで属性は全て。」
アレイがそう答えると、店主は並べていた杖をかたし、少し待ってろと言い奥に引っ込む。
「なあ主よ」
引っ込んだ店主をみながらロアはアレイに声をかける。
「ん?」
アレイは気分良くそう答えると、ロアは言った。
「この店の剣を見てきたんだが、銅貨、銀貨、金貨、王金板と書かれた武器順に内包する魔力や刃の鋭さが変わるのはなんでだ?」
ロアは武器によって、切れ味や武器の質が上がる事に疑問をもつがアレイはそれに値段の問題と答えると、ロアはなるほど。我が不思議だった事の一つが解ったと言いまた武器を見に行った。
そんな会話の後に店主が一つの指輪を持ってきた。
「おっちゃんそれは?」
アレイは店主の持ってきた指輪について聞くと、店主はそれの説明を始める。
「これは杖の一般的な効果、魔力操作補助と属性強化がついた武器だな。後は魔術師といっても近距離戦闘を行う機会に備えてこの指輪は魔力を通すと、魔力で造られた槍を生み出す。」
そう言い店主はアレイに指輪を渡し、アレイはそれを身につけ魔力を通す。するとアレイの身体にちょうど良い大きさの槍が産まれ手におさまる。重さはなく、軽く振ってみても違和感なく使えた。
アレイが性能に驚いていると、店主は説明をたした。
「そのタイプの杖はな、通常の杖と比べて魔力操作補助と属性強化のレベルは下がるが指輪に魔術式を刻んで簡易の武器を生み出す事ができるんだよ、通す魔力量や本人の魔力操作のレベルによって強度や鋭さが変わるが、お前さんの場合だと普通の槍と同等のレベルで使えるから、これが良いと思うぞ」
アレイは説明を聞き、改めて槍を振るうとやはり重さもなく自らの魔力を使用しているからか違和感なく使えた。そして店主に値段を聞く。
「おっちゃんこれいくら?」
「金貨二枚だな。」
「買う」
そしてアレイは金を払うと、店主は話しかける。
「もし、防具を買うんだったらここから三軒隣が良いぞ、魔術師様の防具を取り扱ってる。連れのあんちゃんは必要ないだろうからな。」
「わかった、行ってみる。ありがとう」
アレイはそう言いロアと店をでて、教えてもらった店に入る。
「いらっしゃい。」
扉を開けると、店主が声をかけてきた。
「魔術師さんか、だったらこれがおすすめだよ」
店主は入ってきたアレイを見るやすぐに立ち上がり、魔術師様の防具を置いている場所に案内する。アレイはなぜ解ったのか店主に聞いてみると
「武器を背負ってないし、なにより身体つきが戦士のものじゃないんで……」
少し控えめに店主が言うと、アレイは武器屋の親父の紹介が有ってると思い店主に動きの疎外しない防具を頼む。
「これなんかはどうだい?」
店主が見せてきたのはオーソドックスな長袖長ズボンと、身体全体を隠すマントの様なものだった。
「服の効果としては、鬼蜘蛛の糸を編み込んでいるから丈夫だねマントの方は沼魚って言う魔物の繊維を使ってるから防水性と丈夫さがある。特にこれといった属性防御や状態耐性はついてないけど、防具としては一級品だよ。」
アレイは実際に試着し着心地を確かめると、問題なく使えた為に
これに決めた。なにより買い物に疲れたと言うのもあった。
「これいくら?」
アレイが店主に聞くと金貨二枚と答え、すぐにわたした。
そしてそのまま店をでると、目の前の噴水にロアと腰掛ける。
「あー……疲れたー」
アレイは腰掛けると同時に溜息を吐きながら呟いた、
「そうなのか?主よ、我は色々珍しい物を視れて楽しかったぞ!」
アレイとは正反対でロアは楽しそうにいった。それをみてアレイは更に疲れを覚えたが、やがて立ち上がろうとする。
(やあ?アレイ、ロア、聞こえる?)
立ち上がろうとしたアレイの耳元に突如ヴェルの声が聞こえた
「ん?これどーすんだ?」
アレイは念話に対する返事の仕方がわからず、ヴェルに声をだして聞いた。
(魔力をイヤリングに集中して、頭の中で話せば大丈夫。)
アレイはそう言われ、イヤリングに魔力を集め頭で話しかける。
(これで良いのか?)
(大丈夫、あってるよ。)
アレイは頭で話しかけ会話が成り立つ事に激しく違和感を持つが
なんとか、声には出さず会話を続ける。
(んで?どーした?)
(いや準備はできたかなってさ、確認。後はルべリオまでの道のりの案内。僕はこれから念話がもしかしたら届かない場所に向かうからその前にって思ってさ。)
(念話が届かない場所?)
(そうそう。魔力の渦場って言ってさ。魔素って教えたよね。用は空間に漂う魔力がやたら濃い場所の事を魔力の渦場って言うんだけどそこは魔刻道具が使いづらくなるんだよ。)
(ふーん。)
(そ、だからね。ルべリオまでは雑貨屋で大まかな地図が売ってるからそれを見て行ってね。後は道中気を付けて。)
ヴェルはそれだけ言うと念話を切ったらしく、声が聞こえなくなった。アレイとロアが雑貨屋に行き必要な地図を買う頃には既に
辺りは暗くなっており、旅立ちは明日にすることにした。




