認証書と決闘
宿屋に入ると、中にはいかにもな冒険者が居て、宴会を初め賑やかな場となっていた。
「この宿屋はね、一階が酒場で二階が寝る場所なんだよ。よく冒険者が依頼終りにくる場所でもあるからさ、覚えとくと良いかもね。」
ヴェルはそう言うと空いてる机と椅子を確保し店員を呼びつけエールとつまみを頼んだ。
アレイはところ狭しといる冒険者達を観察していると、男も女も必ず武器を持っている事に気付く。
「なーヴェル。なんで皆武器持ってるんだ?」
アレイが純粋に魔術師が居ないのかと思い尋ねると、知らない男達が大声で話し掛けてきた。
「おい!なんだよ新入りか!?武器持たねーで魔物と戦えっかよ!!」
真っ赤な顔で言ってきた男にアレイは怪訝な表情を浮かべながら男を見ると、男は気を悪くしたのか更に言ってきた
「あんだよ!おめー新入りの癖にこのCランク冒険者のザット様に逆らうのか!?」
「ちげーよ、てか逆らうってならそっちだろ!俺のがランク高いしな!」
アレイは負けじと言い返しながらヴェルの方を見ると、ロアが飛びかかろうとしているのを片手で止め、にやにやしながらこちらを見ていた。どうやら完全に止める気は無いらしい。
そして男は更に火がついたのか、捲し立てるように言い出した
「はあ!?おめーみたいなちんちくりんなガキが俺よりランクがたけーわけねぇだろ!Cランクより上は化け物どもの集まりだぞ!
」
「うるせーんだよ!だれがちんちくりんだよ!おめーなんかでけーだけじゃねぇか!役割なんかどうせ壁役だろ!」
アレイとザットが言い争っていると、回りもしだいに気付きだしたのかこちらを見ている。そして一人が煽る様に言い出した
「おい!ザットなんだよ!ケンカか!?」
「このチビ新入りが俺よりランクたけーって言うからよ少し先輩に対する礼儀ってもんを教えてやろーと思ってな!」
「なるほどな!やっちまえ!!」
酒の力なのか男たちは次々に囃し立て増長させると、ザットはついにアレイに対して言い出した
「おいチビ!外に出ろ!おめーに冒険者ってのを教えてやる!」
「ちびちびうるせーんだよ!解ったやってやるよ!」
そう言い立ち上がり出口に歩き出すザットの後ろを追いかける様にアレイが立ち上がると、服を引っ張られる感覚があり後ろを振り向くと満面の笑みを浮かべたヴェルが話し掛けてきた。
「ザット・バルフレア。王都シャトールにて冒険者登録をし、地道にランクを上げ、この間Cランクに上がった冒険者だね。Cランクに上がった事により最近ちょーしにのってるからこらしめてやりなさい」
「おいなんだよそれ!」
「いやいや、本来僕が出ても良かったんだけど、せっかくだから一般的な冒険者の実力を知ることも良いかなって思ってさ」
相変わらずニコニコしながら言うと、ザットが入ってきて催促してきた。
「早くしろ!びびったのかよ!?」
「うるせーな!今行くから待ってろ!」
アレイはすかさず怒鳴り返すと、ちらっとロアを見るとロアはヴェルの腕を掴み、拘束していた。
「すまぬ、主。あいつが絡んできたから直ぐに鎮圧しようとしたんだがこやつに拘束されて動けんかった。」
そう言いながらヴェルを見るが、ヴェルはロアを無視してアレイを促す。
「さあ行っておいでよ、いい加減ザットも我慢できなくなるから」
「大丈夫だぞ、ロア。そいつ化け物だからしょうがない!」
「ちょ!ひどくない!?」
ヴェルがなにやら言っていたが、アレイはそれを無視して外に出た。
アレイが外に出ると、先程まで呑んでいた冒険者も合わせ、他にも人だかりができていた。どうやら人だかりが円上に広がっているのを見るとザットは大勢の前で恥をかかせるつもりらしい。アレイはそのまま人だかりの中に入っていき、円の内側に入るとザットに話し掛けた。
「きてやったぞ!でかぶつ!」
アレイが出会い頭に暴言を吐くと、ザットは顔を赤くして腰に下げている斧を抜いた。
「てめぇ何度も何度も言いやがって!徹底的にやってやるからな!!」
そう言うとザットは斧を振り上げアレイに走り出すが、
まじかよ。こんなもんか。
アレイは心の中で接近してくるザットのスピードの遅さにびっくりするが、勤めて冷静に魔術を発動する。
「魔弾」
「てめぇ!魔術師か!?」
ザットはアレイが魔術を唱えるとびっくりした表情を浮かべ、一瞬足を止める。その隙にアレイは宙に10個ほど魔術を待機させザットに話しかける。
「んなこともわかんねーで絡んできたのかよ!、どうすんだよやめんのか?」
アレイは一応尋ねるが、ザットは再び斧を握りしめ走り出した。
「んなわけねぇだろ!!それに魔術師対策はできてんだよ!!」
アレイは言いながら走り出して来るザットに向け三つの魔弾を射出する。ザットはそれを斧で切り裂いていくが、最後の一つに斧を当てた瞬間魔弾が爆発し、ザット後ろに飛ぶが、受け身をとり直ぐに立ち上がった。
「っくそ!上手くいかなかったか!」
ザットは悔しさを出しながら言うが、アレイはそれを見てすかさず残りの七つを射出しザットに全て直撃する。
アレイは魔術がぶつかったのを見て、ザットが気絶した事を確認し、そう告げると周囲の人だかりはしだいに捌けていった。




