第六話 VSゴールデンホース
「………はぁ」
あれから何十分経っただろうか…1時間くらい経ってる気分だ。
攻撃を避けることは難しくない。大きく避けないと風圧で削れちゃうが、そこはがんばって避けている。
だが防御、お前はダメだ。ハイスラッシュを何度か叩き込んでいるが、あまり痛手を負った様子はない。…そりゃ初心者のショートソードだからね、早く新しい武器が欲しい。
「………厳しいかな」
今の所相手は突進と蹴りしかしてこないけど、ボスがそれで終わるはずがない。何か切り札を隠し持って…
「ヒヒィィィィィン!!!」
「………!!」
突然馬が足を振り上げ…地面を強く踏みつける。
勘で何となく察した私は後ろに大きく飛ぶ。恐らくあれは魔法と震脚の合わせ技!
「ヒヒィィン!?」
「………危ないって」
やはりと言うべきか、地面が大きく揺れ、さっきまでいた場所に巨大な土塊が突き出ていた。
まともに避けようとしても揺れた地面で動けず、貫かれていただろう…まぁ気づけば問題ない攻撃だ。
金馬は驚いたのか硬直なのか、動きが止まっている。
「………隙あり」
そこへハイスラッシュを…足に叩き込む!
「………足を止めてしまえばこっちのもの」
馬はあの健脚による速度とキックが驚異…なら、そこを止めてしまえば!
「ヒヒィィン…!?」
目論見は成功したようだ、馬が足を崩して倒れた。今まで集中的に脚を狙ってきたのだ、限界のはず。
あの金馬の攻撃方法は全部足が鍵…つまり今は何もできない!
「………容赦はしない、叩く」
「ヒヒィィィン……」
悲壮な鳴き声を上げるが容赦はしない。復活するまでひたすら斬りまくる。
そうして残ったMPで全力でハイスラッシュをかましたり、無くなった後はMPポーション全部使い、斬りまくった…
「………ぜぇぜぇ」
勝った。勝ってしまった。相当な時間と労力を費やしたが。
…まぁこいつは始まりの草原のボスである。さすがにボスをソロはこの先無理になってくるだろう。ボス戦だけでもパーティーを組むことも考えておかなきゃ…はぁ。
「………ど、どろっぷ」
息も絶え絶えだけど、とりあえずドロップ確認。
・ドロップ
金馬のたてがみ×6
金馬の蹄×4
…なるほど、たてがみと蹄かぁ。何だか防具に使えそうなアイテムだ。
ソロなのにドロップが少なめなのは…最初のボスなのと、単に自分の運の無さだろう。
新しい技が増えている。ソニックブレイド…普通に考えれば、おそらく斬撃を飛ばす類の物だろう。
「………疲れた、帰る」
さすがにこんな戦闘の後に次の街に行こうとは思えない。武器もボロボロで回復アイテムも無しだ。
疲労困憊といった様子で元の街へ帰って行った…