第四話 夜の戦闘(意味深じゃない)
ちょっと飛び飛びになるかもしれません。そこは技量不足なので目を瞑ってください(震え声)
まずは、この街…「始まりの街」の周囲の地理を説明しよう。
この街は実はさほど大きくない。そして先に進むルートは一つだ。
いわゆるチュートリアルを兼ねた街であろう。先ほどアナウンスで「訓練場にて戦闘のチュートリアルを受けられます」とあったので、既に受けてきた。手探りで覚えてくのも良いけど、初めてのVRMMOだからね。
で、この街からのルート「はじまりの草原」は、弱いエネミーやノンアクティブモンスター…こちらからから攻撃しないと襲い掛かってこないエネミーがたくさんいる草原だ。兎とかいたね。
そして、この始まりの草原を抜けた先が「グランセル王国」…恐らくこの世界の中核を担う国だろう。ここからが本当の冒険の始まりとなる。
長々と説明して、つまり何が言いたいのかと言うと…今いる場所「はじまりの草原」の敵は弱いのだ。
「………せい」
「キュイィィィ!?」
今も後ろから奇襲してきた黒いイタチを叩き斬ったところだ。バレバレだってば。
ちなみに現在は夜である…何とこの世界、時間や天気まで存在する。
うん、こういうのは夜の方が敵が強いのが定石だ。さっきからコウモリやイタチが奇襲して来る…が、それだけだ。むしろ耐久ならこっちの方が低い。
「………そりゃ」
「キュリリリリ!?」
今コウモリを叩き斬った。空飛んでる奴らも奇襲しにこっちに近づいてくる上に耐久が低いので楽ったらありゃしない。アクティブスキルもあまり使わないのでMP消費もなく、経験値もおいしいのでウハウハだ。
さきほどまで周りにも別パーティーがいくらかいたのだが、皆奇襲に惑わされて逃げてしまった。…注意深くいかないからそうなる。レベルの低い索敵じゃ引っかかりにくいみたいだし。
…そういえばさっきから一撃もくらっていない。攻撃力が高い上に奇襲効果で威力が上がるとすれば…適切なレベルだろうか。
「グルルルル…」
「………む」
周りからいくつかのうめき声が聞こえた…いやまぁ聞く前から居るのはわかっていたけど、これは…オオカミだろうか?注意深く観察してみる。…すると
ブラックウルフ L3 闇
…あれ、敵の情報が軽く入ってきた。どうやら気づいたら「エネミー識別」のスキルを入手していたらしい。これはありがたい。
で、ここのマップの中では強い上に相手は複数、これは苦戦が予想される。
…よし、こういう時にスキルの出番だ。
「………おいで」
「………ガウッ!!」
周りのオオカミが一斉に襲い掛かってきた。死角からも来る。やっぱり強敵だ。
「………【回し蹴り】」
「ガウッ!?」
回し蹴り…これは、来る敵を蹴りまくってたら手に入れたスキルだ。ダメージこそ低いものの、周囲を攻撃できる。体型によるリーチの短さも、タイミング合わせれば問題ない。
「………からの、【ハイスラッシュ】」
「ギャウンッ!?」
ハイスラッシュも読んで字のごとく、だ。ただの強い一撃、だからこそ強力。発動条件がひたすら緩い便利な技だ。
「ガルルッ!!」
「………甘い」
その間に後ろから襲ってくるが、最小限の動きで躱す。
…本当はスピードに任せた戦闘でびゅんびゅん行きたいのだが、レベルの低さも相まってそうそう出来ない。リアルの私も体力が絶望的なので、こういったあまり動かない戦闘になっちゃうのだ。大丈夫、レベルが上がればAGIに振りまくって夢のスピードバトルするから!
「………もっかい【ハイスラッシュ】」
「ギャウンッ」
さっきからスキルを使わなかったので、MPが余っている…なので、遠慮なく使わせてもらう。
ちなみにスキルは、別に口に出さなくても発動可能だ。でもまぁこれは気分、こっちの方がゲームっぽい。周りもスキル名を口に出す人が多かった。
ちなみに魔法は口に出さないといけない、詠唱も兼ねているらしい。いずれ長い詠唱やら詠唱破棄やら無言詠唱やら出そうだ、胸熱。
…とか考えている内に、殲滅完了した。いくらかかすったが、何とかなった…うわ、結構HP減ってる。やはり攻撃力は高いようだ。
周りに敵がいない事を確認して、ドロップを眺める。
・ドロップ
闇鼬の皮×18
闇鼬の尻尾×3
蝙蝠の羽×20
魔狼の皮×3
魔狼の牙×5
何だか名前かっこいいなー…とくに魔狼辺りが。自分で防具を作る気はないので、売っちゃおうかな…
ともかく大分経験値も貯まった。ここもきっと効率的な人なら狩場にするだろう。
十分楽しんだし、一旦帰っていらない素材を売ってからログアウト、ご飯にしよう。
そう思い、奇襲して来るエネミーを斬り倒しながら帰って行った。ほくほく。
無双し過ぎた感がある。これじゃいずれ最強になりそうで怖い…