第三十六話 砂漠レイド戦戦闘前
間が空いたお詫びに連投、次はいつになるかな…(遠い目
今回もクラス紹介はお休み。
王都の西にある「無限砂漠」。そのとある場所に、大きな亀の地上絵がある。
それが何を示しているかは未だ解明されていない。一説では「四神」(青竜、白虎、朱雀、玄武のこと)を表しているとも言われていたが、巨大な亀である玄武が示すのは北。一方この砂漠は西なので、この説が正しければ白虎のはず。よって間違っているという意見が多数だ。
その亀の地上絵の付近に、とある集団がいた。
「漆黒の騎士王」ことクロトの集めた、称号者達のみで構成されたレイドパーティーである。
ある人は、鳴る腕を抑えながら、待ちきれずに素振りをしている。だが神官だ。
ある人は、強敵との戦いに期待を膨らませ過ぎて、何だかすごいオリジナル笑顔を浮かべている。
ある人は、何故かソーラン節を踊っている。
ある人は、何故か荒ぶる鷹のポーズで静止している。
これは、そんな変態集団を相手に戦う事になる、哀れなサンドワームの物語である。
「目標発見、あと3分後に到着すると思われる」
集合場所に集まって二十分、偵察をしていたと思われるニンジャっぽい人が告げる。
その瞬間、いままで思い思いに過ごしていたプレイヤー達が一斉に静止し、リーダーのクロトに注目した。
戦いの始まりを告げる激励は、リーダーである彼がふさわしいと皆思ったのであろう。
「・・・というわけだ。うおっほん」
注目されたクロトは前に出て集団に向き直り、咳払いをして語り始める。
「諸君、私は戦闘が好きだ」
「諸君、私は戦闘が好きだ」
「諸君、私は戦闘が大好きだ」
「パーティー戦が好きだ」
「ソロ戦が好きだ」
「ギルド戦が好きだ」
「PVPが好きだ」
「レイド戦が好きだ」
「イベント戦が好きだ」
「防衛戦が好きだ」
「攻城戦が好きだ」
「平原で街道で森林で山地で砂漠で雪山で火山で海原で沼地で荒地で闘技場で」
「このゲームで行われるありとあらゆる戦闘行為が大好きだ」
「魔法使いの集団が色とりどりの魔法で敵mobを焼き払う時など心が躍る」
「矛先を並べた槍戦士達が、ゴブリン集団を蹂躙する時など胸がすく気持ちだった」
「力自慢のオーク達が、物理攻撃の通用しない壁騎士達を必死に攻撃する様など感動すら覚える」
「レベルが上がり慢心したプレイヤーが、新エリアで蹂躙される様などはもうたまらない」
「不遇と言われ敬遠されてきたクラスのプレイヤーが、周囲の評価を覆して活躍する様なども最高だ」
「強化された敵mobに倒されプライドをズタズタに引き裂かれるのが好きだ」
「必死に強化してきた武器防具が、バランス調整によって格下げされていく様はとてもとても悲しいものだ」
「ゴブリンの物量に押しつぶされるのが好きだ」
「キラービーに追い回され虫のように地べたを這いまわされるのは屈辱の極みだ」
「諸君、私はアニメのような戦闘を望んでいる」
「諸君、私の声明に集まってくれた称号者諸君」
「君達は何を望んでいる?」
「更なる戦闘を望むか?」
「情け容赦のない、泥沼のような戦闘を望むか?」
「全力全壊で死力を尽くし、サーバーすらも殺す嵐のような戦闘を望むか?」
『最近相手が弱いんだよなぁ…』
『爆発させたらすぐ吹き飛びますね』
『何より速さが足りない』
「よろしいならばレイドボスだ」
「今や称号すら手に入れた我々にはただのボスではもはや足りない」
「大レイドボスを!天下無双の大レイドボスを!!」
「我々は僅か22人、レイドボス最大人数すら満たせぬ4パーティーに過ぎない」
結局最大人数集まらなかったんですか。
「だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している」
「ならば我々は諸君と私で総力100万と1人の集団となる」
「我々を忘却の彼方に追いやり眠りこけている運営を叩き起こそう」
「髪の毛を掴んで引きずり出し目を開けさせ思い出させよう」
「運営に恐怖の味を思い出させてやる」
「運営に我々へ称号を与えた時の底知れぬ恐怖感を思い出させてやる!」
『『『砂煙だ!サンドワームが近づく砂煙だ!!』』』
「ネットゲーム界には奴らの計算では思いもよらない事があると思い出させてやる」
「22人の称号者の戦闘集団で」
「掲示板を燃やし尽くしてやる」
「私は諸君らを約束通り連れてきたぞ?」
「あの期待の戦場へ」
「あの待ち望んだレイド戦へ!」
「全エンチャントスキル、発動開始!称号者レイドパーティー『通りすがりの戦闘集団』始動!」
「出発!全リミット、遠慮、理性を解除!」
「『黒銘騎士団』団長及び書類上のレイドリーダー・クロトより、全称号者へ通達!」
「目標『サンドワーム』 無限砂漠・玄武の地上絵付近!」
「第二次レイドボス討伐作戦、状況を開始せよ」
「さあ諸君・・・」
「地 獄 を 作 る ぞ」
『『『『ウオオオォォォォォォォォォ!!!!!』』』』
運営さんごめんなさい、私も暴れます。
ネットゲームでたまに出没する、運営ですら想定外の行動を起こすプレイヤー。
人は彼らを敬意を込めて「変態」と呼ぶ。




