第三十五話 再び集う称号者達
お久しぶりです、目指せ脱スランプ!
クラス紹介はお休み。
砂、砂、砂…見渡す限りの砂。
天気は鬱陶しい程の晴天、時々砂嵐。
そう、ここは砂漠。そして私は暑いのが苦手だ。つまり何が言いたいのかというと…
「………帰りたい」
「ちょっと、まだ町を出て1分も経ってないわよ?」
「………上手に焼かれる」
「さっきクーラードリンク飲んだじゃない!」
レイドボス討伐なんて引き受けなければよかった。待ち合わせ場所に行く前からダウンしている私なのであった。
私がさっきから暑い暑いと苦しんでいるが、これはゲームなのでさすがに温度は抑えられている。
だが何の備えも無しに砂漠に入れば当然ペナルティを受ける。そこで登場するのが、暑さを抑えるアイテム「冷却水」だ。
これは暑さによるペナルティを一定時間無効化する。町を出る前に大量にまとめ買いしてきた。無くなって苦しむことはあっても、余って損をすることは無いだろう。
ちなみに某ハンティングゲームの影響か、主に「クーラードリンク」と呼ばれている。確かに「冷却水」って名前はダサいけれども…
「…そうだ、先にレイドボスについて分かってる事を教えておこうかしら」
そう切り出したのは、一緒に集合場所向かっているみゅるいるさん。この子も今回のレイドパーティーに呼ばれたとのこと。
「相手の名前は「サンドワーム」…まぁ想像通りの見た目だと思ってくれればいいわ」
みゅるいるさんの話をまとめる。
サンドワーム、通称「巨大ミミズ」。
砂の中を自在に動き回る、レイドボスの名にふさわしい巨大な体格を持ったミミズ。
特徴はずばり、「速い」「硬い」「痛い」。
今の所搦め手のような行動は見つかっていない(砂に潜っても巨体のためどこかが必ず外に出ている)が、とにかく一つ一つの規模が大きい。最初に挑んだパーティーは有利に進めてはいたものの、削られきった結果敗北…とのことらしい。
「…というわけ。というか元々称号者レイドパーティーをやってみたかったっていうのが本音らしいわね」
「………知ってた」
兄妹だからなのか、兄の思考は読める事が多い。今回のは特に分かりやすかった。
「まったく、あいつは…あら、見えてきたわ」
みゅるいるさんの指さした方に注意を向ける。そこには十数名の集団が…集団が…
「……………」
「…何が言いたいかは分かるわ」
「………あそこ、行きたくない」
「…私もよ」
そこには、遠目でも明らかに分かるほどの変人集団があった。
「レディ~スア~ンドジェントルメ~ン!!」
砂漠の砂以外何も無い中心地。そこにいる集団は、明らかに変人だらけ。
「前置きは良いからさっさと始めろクロトぉ!」
「っと、血気盛んなことで…よし、軽く説明すっぞ!」
何やらすごく世紀末なモヒカンさんが叫ぶと、兄は話し始める。
「ここに集まってもらったのは言うまでもない、レイドボス討伐が目的だ。特徴は軽く教えただろうが…ここで軽くぶっちゃけよう」
…いやな予感がする。
「作戦は、ずばり…「好きにやれ」だ!!」
ここで流れるのは歓喜とも悲鳴とも取れる歓声。
レイドボスというのは、どのゲームでも通常のボスより連携の求められるボスだ。逆に言えば、連携さえ取れれば何とかなるとも言える。そんなボス相手に「好きにやれ」…
でも、気持ちは分かる。なぜなら…
「少しは考えたんだぜ?でもぶっちゃけ…お前らをまとめきれる気がしねぇ!」
…という事だ。確かに見渡す限り一筋縄ではいかないような人だらけだ。見知った顔も一部あるが、近づくことさえ躊躇われるほどなので相当だろう。
「有志の調査により、あと20分でターゲットがここを通る事が分かっている!いいか、自分が出来る事を全力でやれ!そして楽しめ!そんでもって勝つぞ、良いな!!」
「「「イエッサー!!」」」
こんな所だけ息がぴったりなのは、彼らが皆ノリが良く楽しい人達だからだろう。
「……………」
でも、何だかんだで高揚している自分もいた。私もやはりゲーマーである。
「………うん、頑張る」
気を引き締め、気合を入れた。本気で頑張ろう、そして全力で楽しもう。
オンラインゲームの謎の法則「変人ほど強い」




