第二十六話 集う称号者達
いつもの急☆展☆開!
「…………」
現在、王国の広場の露店を見ながら散歩中だ。
いつも戦闘ばかりじゃ気が滅入る。せっかくのVRなので、こうやって散歩するのも趣がある。
「………~♪~♪」
にしても平和だ。鼻歌を歌っちゃうくらい(無表情)。こう、ドカーンと何か起きたりしないものか…いや、ここはゲームだしそんな事は起きないか、HAHAHA…
ビィィィィィ!!!ビィィィィィィ!!!
「………えっ」
突然大きなサイレンが鳴る。周りのプレイヤーもざわついてるので、全員に聞こえているようだ。
そしてアナウンスが流れる。
【キークエスト「魔の陰謀」がクリアされました。これより、大規模戦イベント「グランセル王国防衛戦」の情報が開示されます。】
「……………」
今、ピンと来た。これやったの絶対アクト達だ、勘がそう言っている。
【現実世界での3日後の21時より2時間、魔物の大群がグランセル王国に押し寄せてきます。撃退してください。】
…ついに来た。VRMMO物の小説でもよく見る大規模戦だ。
「きたぁぁぁぁぁ!!!」
「よっしゃぁぁぁ!!!」
「ついに…ついに始まるぞ…!!」
周りのプレイヤーもすごい熱狂している。私も表面は無表情だが、心の中では同じく熱狂している。
何せ大規模戦だ。すごく楽しみである。
さて、早めに準備を始めて…
「………?」
…足元が光っている。魔方陣?あ、やばい転送される。
キィィィィン…
「………ですよねー」
【「称号者」を転送しました】
「………う、ん…ここは」
気が付くと祭壇のような場所の近くに立っていた。他にも5人…私合わせて6人が、近くに立っている。
「うぅ…ここどこぉ…?」
「ぬぅ…ワシは一体…」
「一体何が起きてるんです…?」
…む、見知った顔がある。
「………お兄ちゃん」
「な、我が妹!?お前も転送されてきたのか!?」
一人は我が馬鹿兄のクロトだ。そしてもう一人が…
「…あら、あなたはいつぞやのハクアちゃんじゃない」
「………お久しぶりです、ミドナさん」
いつぞや私をナンパから助てくれて、ギルドの勧誘までしてきた人だ。皆覚えているだろうか…?
「むー…ここは一体どこなんですの?ってあぁ!クロトぉ!!」
「あ、何だお前も来てたのか凶暴天使」
「誰が凶暴ですってぇ!!…ハッ!?」
何か兄は天使みたいに可愛い子とじゃれ合い始めたので、放っておく。えっと…
「…とりあえず、自己紹介しませんか?」
魔法使いの青年の言葉により、自己紹介をすることとなった。
「あー、既に知ってる人がほとんどと思うが…俺はクロト。「黒銘騎士団」のギルドマスターで、クラスはもちろん騎士。武器は盾と剣のオーソドックスなものだ、黒いがな。あと「漆黒の騎士王」の称号を持っている」
「あら、称号も言うのね」
「あぁ、お前アナウンス聞いてなかったのか?「称号者の転送」って言ってたろ…つまりここにいる奴ら全員称号持ちで、それに関係して転送されたって事だ」
さすが我が兄、頭の回りは中々だ…いや、この程度で褒めるのはどうかと思うが。
まぁ兄が来たので、次は妹の私が行こう。
「………ハクア。そこのクロトの妹。ギルドは無し。クラスはただの剣士。武器はこれと、これ」
紹介するために、長剣を見せた後に、イベントリから双巨剣を装備する。
「ん?うわっ!?なんだその威圧感たっぷりな大剣!?」
「…これ、持ち上がるのかしら?」
「ほほう、ワシでもまともに扱えそうもないわい、ふぉふぉふぉ…」
実力者に中々驚いてくれたので満足だ、うん。
「………称号は「白き天災」」
「あー、なるほどな…」
「…………」ギロリ
「ピュルルルー~♪」
何か納得されたので兄を睨んだが、そっぽを向かれて口笛まで吹かれた。むかつく。
「………お兄ちゃん、後でPVP」
「それだけはご勘弁をぉ!?」
「クロトがPVPで恐怖してる…!?」
天使さんが戦慄しているが、放置。
「あー、次は私ね、ミドナよ。女性限定少数鋭ギルド「戦乙女」のギルドマスターをしているわ。クラスは攻撃型の騎士。武器はこれね」
そう言って大きな槍を取り出す。うわぁ、かっこいい…
というかあの人ギルドマスターだったんだ…
「ほう、かの有名ギルドの…道理で見たこと有る顔だと思いましたよ」
典型的な魔法使いの格好をしたメガネ青年が、メガネをクイッと持ち上げて反応する。クロトの時は知り合い同士のようだったので、反応しなかったのだろう。
「ふふ、ありがとう。称号は「戦場の女神」という御大層な物を貰ってるわ」
ギルド名の戦乙女に良く似合った名前だ。いずれ馬に乗って戦場を駆けそうな気がする。
今度はメガネ魔法使いさんが前に出た。
「次は僕が行きましょう。僕はピタゴラス。ギルドは入っておりません。クラスは炎魔術師で、爆破を得意としてます。称号は「爆砕の魔術師」、そのまんまですね」
確かにそのまんまだが、相当怖い名前だ。
「ククク、やっぱえげつねぇ称号名だなぁ」
「…うるさいぞ、クロト」
「いいじゃねぇかピーター」
兄とはどうやらマブダチのようだ。ピタゴラスと呼ぶのが面倒なのでピーターと呼んでいるのだろう…末永く友人してあげてほしいものだ。
「ふふ、次は私ね!」
今度はさっき兄とじゃれていた元気な女の子が出てきた。
「私はみゅるいる!ギルドは入っていなくて、クラスは聖戦士、武器はこれ!!」
そう言って、大きなハンマーを取り出した…聖戦士は確か、ヒーラーと戦闘の両方が出来るクラスだった気がする。
「称号は「血返りの天使」だよ、よろしくね☆」
うん、やっぱ称号名が怖い。たぶんあのハンマーでドカドカ殴りながら嗤うのだろう。
「ったく、お前の名前呼びにくいんだよ、ミュー」
「人の名前勝手に略しておいて、何言っとるんじゃゴラァ!!」
「ああもうここでハンマー振るな!あぶねぇんだよ!」
また兄とじゃれつき始めた。周りはやれやれといった様子で眺めている…これがいつもの光景らしい。
「ゴホン、最後はワシじゃな」
そう言って出てきたのは、身長2mはある大柄のドワーフだった。
…ドワーフって、普通背が低いんじゃなかったっけ。
「ワシはゴウライ。生産ギルド「創造会」のギルドマスターなぞやっておる。戦闘は本職じゃないが、武器は一応これじゃ」
そう言って斧を取り出す。彼の大柄な体と比べれば普通に見えるが、普通じゃ扱えないレベルで大きい。
「称号は…確か「轟雷逆鱗」など貰っておる。よろしくのう、ふぉふぉふぉ」
なるほど、名前がゴウライだから轟雷か。恐らく怒ると怖いのだろう。
「年長者としてよろしく頼むわね」
「ふぉふぉふぉ、若者は良いのう」
ミドナさんの様子を見るに、彼は本当に年長者なのだろう。落ち着いた空気が妙にはまっている。
「…さて、そろそろ出てきてもいいんじゃねぇか?女神様よぉ」
自己紹介が終わったところで、兄が突然祭壇に向かってそんな事言いだした。
…女神?
『…気づいていましたか』
頭に直接響くような綺麗な声が聞こえ、祭壇の上に光が降りた。
「…………」
「な、何なのあれ…クロト!どういうこと?」
「まぁみてなって」
兄は女神と言っていた。つまり、その女神が…
『私があなた達をここに呼び出したのです、「称号者」達よ』
祭壇の上に、神々しい女性が立っていた。見ればなんとなくわかる、あれが女神だ。
ついに始まる大規模戦、だが主人公は何だか別の道から参加する事になりそうで…?
次回、説明回!お見逃しなく!…え?説明は嫌だ?(´・ω・`)そんなー




