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遺骨

作者: 霜月あやと

祖父の葬式に集まったのは数十人だけ。身内だけの葬式。


生きている頃、祖父は家庭を顧みず、毎日遊んでばかりいるような人間だった。


そして、毎回問題ばかり作っていた。その度我が家は毎回尻拭いをしてきた。


年をとり、祖父は病魔に身体を蝕られ、病院のベッドで寝たきりの状態だった。


いつ死ぬのかわからない状態だった。それでも祖父は三年も生きた。


そして、一昨日の夜死んだ。


父が親戚中に電話を掛けた。


親戚が集まってきて、祖父の葬式について話し合いになった。


その時の親戚の言葉を私は一生忘れないだろう。


皆、口を揃えて言うのだ。


「金がない」と。


結局葬式の費用は全てうちが負担した。総額100万ほどだろう。


親戚の誰もが金を出さなかった。祖父の弟でさえ、見て見ぬふりしていた。


祖父は財産何一つなかった。


だから全部うちが金を作って用意した。


我が家の家計も祖父の死のせいで苦しくなった。


親戚どもはいかにも悲し気な表情をし、悲しいと口々に言う。


気持ち悪くて反吐が出そうだ。


私は親戚どものくだらない話を一時間も聞いてやった。


そして、火葬所で変わり果てた姿の祖父が出てきた。


骨だけになった祖父を見て父は涙を堪えていた。


祖父の遺骨を皆で拾い、壷に入れた。


私が祖父の遺骨を持つ事になった。白い布に包まれた箱を私が持つ。


そして、祖父の遺骨を誰が引き取るのかと言う話になった。


墓に入れるまで誰の家に置くのかと言う話だ。


親戚どもは知らん振り。


結局父が引き取った。もともと、父は絶対引き取るつもりでいた。


帰りの車の中、母と父が喧嘩した。


祖父の葬式の費用、祖父の遺骨、親戚どもの態度。


祖父の遺骨を何所に置くのだろうか。仏壇など我が家にない。


また我が家が買うのだろうか。


私は祖父の遺骨をこの場で叩き割ってやりたい衝動に駆られた。


何のためにこの人は産まれてきたのだろうか。


生きている時ですら問題ばかり作り、死んだ後もこうも問題を作っておくなんて…。




私が殺した意味がないじゃないか。

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