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葉菜の異世界  作者: せおりめ
本編
10/26

10

「園生ちゃんに……暁?」


 柾樹は不審に思っているのか、軽く目を細めている。


「恨まないでくださいね私は全然関係ありません全部葉菜が悪いんです」


 園生は諦めたような顔つきで息継ぎなしに言い放って、さっさと席に座った。


「田畑さんがどうしても一緒に食べたいんだって」


 背を真っ直ぐに伸ばして立っている日向さんは状況に怯んでいる様子がない。


「じゃ、そういうわけだから食べようか」


 ちょうど窓際の机が空いていた。葉菜は何食わぬ顔で園生の隣に納まり、まだ立っている他二名に手振りで着席を促した。必然的に長机の向こう側にいた柾樹がそのまま園生の向かいに腰を下ろし、回り込んでいった日向さんが葉菜の向かい、柾樹の横に座る。


 場所は学食、今は昼休み、空腹を癒す憩いの時間である。

 何列にも並べられた長机には二百人が座れるようで、もう半分以上が既に埋まっている。活気のある賑やかな空間にはさらにわいわいと生徒たちが詰めかけており、そう間を置かず満杯になりそうだ。南側は採光と解放感を第一に考えられているのかガラス窓に占められている。新鮮な空気を取り入れ、さらには美味しそうな匂いを振りまくために、その多くが開け放たれていた。

 入口のショーケースにはレストランのように食品サンプルが飾られていて、日替わり定食だけは本物が台の上に置かれてあった。鼻だけでなく目でも食欲をそそってくれる。機会があれば食べてみたい。他はどうか知らないけど、この学校の食堂は中々いい部類に入るのではないだろうか。不味いという噂も聞かない。


 座っているとちらほらと視線が注がれているのを感じる。とはいえやはり人数が分散されているためか、以前より大分気楽だ。しかも本当に注目されるべき人物は、自分ではなく向かいの日向さんであると分かっているので、葉菜は堂々とした気分でいられた。前の時はどうにも気まずく縮こまっていたものだった。

 園生は普段、手芸部の人たちとこの食堂で食べているらしい。離れた席にその人たちを見つけたようで、サンドイッチの袋を開けながら手を振っている。彼女はここで注文する時もあれば、今のように通学途中で買ってくる場合もあるそうだ。日向さんは持参のお弁当らしく、包んでいるハンカチの結び目を解いている。


「ほい葉菜」

「ん、ありがと」


 柾樹が葉菜の分の弁当箱と箸を渡してくれる。葉菜の弁当箱のサイズは普通だと思うけど、柾樹のは一回りほど大きい。当番の週にいちいち貸し借りをするのは面倒なので、葉菜も柾樹もそれぞれ自分と相手の弁当箱、それから箸を一組ずつ持っている。飲みものは水筒に入れてきたり買ったりと、その時々で臨機応変に。今回は食堂入り口の自販機で買った。

 それとなく日向さんの方を窺うものの、特に怒っている様子もなく、こちらを剣呑に睨むようなこともなかった。

 彼氏――付き合っているかどうかは知らないけど――が幼馴染みとはいえ他の女に自分の作った弁当を渡している様を目の当たりにして、腹が立ったりしないのだろうか。例えカムフラージュ用のパフォーマンスと承知しているとはいえ、眼前でその光景を繰り広げられたらやはり自分が正当な彼女だと主張したくなるものではないだろうか。

 でも、日向さんはそんな素振りを少しも見せようとはしなかった。


「へぇ、これが柾樹先輩特製弁当、おいしそう――ってうわ」


 園生が葉菜の弁当を一瞥して目を瞠る。


「いなり寿司! 柾樹先輩めちゃ器用」


 他にもエビと野菜のマリネに茹でニンジンのカレー風味、塩焼きそばは時間がなかったから冷凍にしたと言われて、なんだか葉菜はほっとした。相変わらず品数が多くて手がこんでいる。各メニューの詰め込み方も完璧で、見栄えが良い。

 そして今回のハート型はミニハンバーグだった。しかもケチャップで、一回り小さいハートがデコレーションされている。

 葉菜は苦々しい思いで箸を突き立てると、にやにやと無言でからかってくる園生につき出した。


「食べてみる?」

「止めとく。愛情たっぷり込もってそうだし。先輩に、葉菜のいないところで金払えって言われそう」

「さすがは園生ちゃん、よく分かってる」

「中一の時からの付き合いですからねー、嫌でも理解させられますって」


 調子のいいやり取りをする二人は放っておいて、さっさと口に放り込んだ。勝手に頬が緩む。うん、美味しい。こういうことに関しては素直に認められる。


「あれ、先輩のはハート型じゃないんだ」


 発見した、という風に園生が向かいの弁当箱を覗き込む。ハンバーグは普通に楕円形だった。


「そりゃ、これもあくまで葉菜への気持ちを表現する手段ってことで。俺のをハートにしても意味ない。つか気色悪ぃ」

「かー、やってらんねー」


 園生が半ば本気で苛ついたように葉菜を見た。その目が、この場にいるという事実に不平不満を訴えている。ごめんよ親友、許して。

 それだけでは気が済まなかったのか、園生はもう一人にも水を向けた。


「日向さんもそう思うよね」

「そうね、ほんとただのバカみたいに見える」


 容赦ない感想を漏らしてから日向さんは柾樹の弁当に目をやった。


「でも確かに美味しそう。柾樹君の方も貰っちゃダメなの?」

「これは葉菜と自分のために作ったやつ。残念ながらダメですー。暁のかあちゃんも料理上手な人だろ。そっちの弁当もめちゃくちゃ美味そうじゃねえの」

「だったらどれか交換しようよ」

「ダメー」


 ――やっぱ仲いいんだな、この二人。やり取りを見ていると、間に自然な空気が流れているのを感じ取れる。何気ない素振りにぎこちなさや、嘘くささがないといおうか。

 特筆すべき点は日向さんの態度である。当たり前ではあるのだけど葉菜に対するものとは大違いだった。実はそっくりさんの姉妹でもいて入れ替わっているのではないかと目を疑ってしまう。柾樹に向ける仕草の一つ一つが甘くて嬉しそうで、表情にも恋がふんだんに表れている。

 こういったシーンを周囲に知らしめるのが目的だったとはいえ、やはり気分がいいものではない。手の込んだ自傷行為をしているような気がしてくる。

 弁当箱を手で覆ったり、なんとかその隙間から箸をねじ込もうとしたり。むつまじくじゃれ合う二人を極力意識から追い出して、葉菜は食べることに集中した。

 園生がつんつんと腕をつついてきた。心持ち肩を傾けてきたので、葉菜も倣って距離を近づける。


「今、ムカツクとか、ベタベタするなら二人っきりの時にやれよ暑苦しいとか思ってる?」


 いつもの習慣ですぐさま否定の言葉を返そうとしたものの、声は思ったように出てこなかった。園生と視線を合わせると、誤魔化さずに本音を晒してみなさいと目で語っている。考えてみれば、柾樹が目の前にいる葉菜を差し置いて他の女子と親密なやり取りをする場面は、初めて見る。

 葉菜は一度口を閉じてから、複雑さが滲む素振りで頷いた。


「……まあね――いたっ」


 応えた途端、園生に強く腕を叩かれる。


「何すんの」

「それが、あんたら二人を見る時の周りの感想。分かったんならこれからはちょっと抑えな?」


 やけに手荒いじゃないですか、園生さん。

 じんじんと痛む腕を押さえながら恨みの籠もった視線を送ってやると、親切なアドバイスをくれた親友はタマゴサンドにかぶりつきだした。もぐもぐごっくんと飲み込んだ後、「まあ、どっちかって言うと抑えるべきは柾樹先輩の方かな?」と思い出したように呟いた。続いて、ね? と同意まで取ろうとする。

 葉菜は無視して再び弁当に取りかかることにした。

 園生には、全部説明したのに。

 分かっているくせに、まだ言うのか。




 その時の自分が何を考えていたのか、葉菜にもよく分からない。他人の思考は塀の向こう側のように見えないものだけど、自分の心というやつも案外把握しづらいものだ。

 体育の時間、三人でのパス練習は滞りなく進められた。最初何か言いたげな顔をした日向さんは結局問いかけてくることもなく、葉菜もかけ声をかける時以外は特に口を開かなかった。

 笛を合図にパス練習は終わった。「入れてくれてありがとう」と大してありがたくもなさそうに言い置いて、日向さんが集合場所へ向かう。その背中を、葉菜は咄嗟に引き止めてしまった。


「あのさ」


 日向さんは無視することなくふり返った。って当たり前か。明らかに自分に向けられた呼びかけと分かる距離なのにそのまま去っていくなんて、どんだけヤな奴なんだよ。いやでもということは、柾樹が言っていた通り日向さんは遠慮無くものを言うだけで根はいい子、というのは本当のことなのかもしれない。葉菜に敵意をぶつけてきたのも、ある意味正々堂々の一騎打ち、卑怯な行為はよしとしない性格、と思えないこともないような。

 …………ちょっと、私なに親切ぶって日向さんのフォローめいたこと考えてんの。別に呼んだら振り向くって、これ人間として当たり前の反応じゃないの。


 ――と、体育館の床中に円やら直線を描く色テープに目をやりながら、葉菜は瞬間に様々な思考を巡らせていた。実は、日向さんを呼び止めた理由に明確な意図はなかった。そうなものだから、軽い物思いの裏で、この状況をどうすればいいのだろうと頭脳が必死に働いていた。

 日向さんが葉菜の発言をじっと待っている。時間にして五秒もなかっただろう。とはいえ葉菜にはその何十倍にも感じられた。

 二人の間にある沈黙に絶えきれなくなって、葉菜はとうとう顔を上げて日向さんを見た。


「お昼、一緒に食べない?」


 私、何言ってんだろう。自分の台詞を聞いた途端そう思った。

 案の定日向さんも「はあ?」と、理解不能の意味を惜しげもなく示した声を出す。

 自分でもわけが分からない心理状態はともかく、一度言葉に出してしまった以上は後に引けない。


「だからお昼休みのこと。一緒に食べようって誘ってんの」

「……田畑さんと、柾樹君の三人で?」

「柾樹君?」


 隣から、独り言のように小さい疑問の声が届く。ボールを返しにいって戻ってきた園生だった。なんて良すぎるタイミング。せっかくだから巻き込まれて親友。三人だけなんて気詰まりなことこの上ない。

 葉菜は日向さんに視線を留めたまま、親指で隣の人物を指した。


「ううん、園生も入れて四人で」

「おいこらちょい待ち」とすぐさま園生が身を乗り出す。

「ふーん」


 ところが素早く渦中から脱出しようとする犠牲者を、不敵な反応が制した。

 日向さんは唇を吊り上げ、余裕綽々に笑っていた。


「さっきから田畑さんが何したいのか意味不明なんだけど――いいよ、四人で。柾樹君とランチできるんなら願ったり叶ったり。早く行こ。もうみんな集合してるよ」


 ――ああ、何やってんだか。

 どっと疲れて一気に十歳は老け込んだような気がした葉菜は、よぼよぼと集合場所へ向かった。定位置に並ぶと、背中を軽く引っ張られる。すぐさま後ろから脅すような低い声が聞こえてきた。


「後で全部説明してもらう」


 ――ああ、こっちも残ってた。わざわざ振り向かなくても、園生が穏やかとはいえないオーラを纏っているのが分かる。

 先生によると、これからチームを四つ作ってトーナメント形式で試合をするらしい。葉菜は振り分けの説明を聞きながら、園生にどうやって事情を打ち明けるのか、順番を頭に組み立てていた。



「へぇ、そりゃ災難だったね」


 コートの中を、色違いのゼッケンを付けた女子たちが縦横無尽に走り回っている。応援の声、歓声、複数の駆ける足音、そして一際強くドリブルの音が響いている。

 園生と組めて喜んだのも束の間、第一試合で葉菜たちのチームは健闘の甲斐なく負けてしまった。園生も葉菜も、運動神経は悪くない。ボール競技も好きだった。他の三チームにはバスケ部員がいるのに、こちら側は素人集団のみというのが無念の敗退の原因だったのかもしれない。

 とはいえ勝敗の理由を未練がましく外に見つけようとしたところで、負けは負け。みっともなく抗議のヤジを飛ばすようなことはせずに、出番がなくなったチームは壁を背におとなしく応援に回った。

 時間が空いて丁度いいということもあって、葉菜はここ最近の諸々、それから気付いてしまった自分の気持ちを園生に白状していた。

 今は三位決定戦(要するに第二試合)も終わり、優勝戦が開催されている。

 園生が体育座りのままで、指同士を組んで両腕を突きだす。


「さっきは驚いちゃったわー」


 話を聞くのに疲れたというように、うーんと伸びをした。


「いきなりの柾樹君呼ばわり、それに日向さんってあんな人だったのか」


 声のトーンから判断するに、『あんな人』の言葉に込められたニュアンスは、悪感情ではなさそうだった。


「ま、その人が好き、って立場からしたら、あんたたち見てたら葉菜に喧嘩売りたくなるのも分かるんだけどね。付き合ってるわけでもない上に、構われて迷惑だ、みたいなポーズ取ってんじゃねーよ、って」

「え、まさか園生も」


 葉菜のことをそんな風に思っていたのだろうか。


「あー勘違いすんな」


 一番の仲良しが零した思わぬ意見にちょっとやそっとじゃ癒しきれないショックを受けた葉菜だったけど、園生は手振りですぐに否定してくれた。


「違う違う、一般論。こっちは実態知ってるから、葉菜には同情してるぐらいだって。毎度毎度振り回されてて大変だねーって思うわ」

「よかったー! 園生に見捨てられたらどうしようかと」


 安堵とノリも手伝って、葉菜は園生に抱きつくふりをした。


「よしよし、惚れるんじゃないよ」


 園生が背中を軽く叩いてくれたあと、葉菜は元の体勢に戻った。

 ワーッ、と強い歓声が上がる。コートを見ると、日向さんがドリブルシュートを決めたところだった。対戦はしていないけど、試合の様子を見ていると彼女にはよくボールが集まっていた。


「でもさ」


 同じ方向を見ながら、園生が言う。


「良かったんじゃない? 日向さんのおかげで、葉菜だってやっと柾樹先輩のことが好きなんだって認められたんだからさ。あとは素直に告げてやって付き合うだけ。長かった幼馴染みだけって関係も、名実共にこれでお終い。やったね」

「いや……やったねって」


 話をちゃんと聴いてくれていたのだろうか。心配になって、葉菜は隣にいる園生の顔を覗き込んだ。


「だから、柾樹が好きなのは日向さんなんだって。私ははぐらかされたんだってば」

「あ? 私フラれたのーってやつ? まだ言ってんの、ネタじゃなかったのそれ。あんま押しすぎてもしつこいだけだよ」


 真面目にしらけている様子の園生に、葉菜は再びのショックを受けた。親友よ、勇気を出して白状したあれこれを、気軽に否定してくれるではないか。


「え、もしかして本気だったとか」


 葉菜の反応を目にした園生の顔が、訝しげなものに変わる。


「彼の些細な言動に悩む恋に囚われた私、みたいな設定でツッコミ待ってたんじゃなかったの?」


 どう言えば伝わるのか。脳内にある言葉を猛烈な勢いで検索し、次々と口から出かかってはいたものの、結局葉菜が吐き出したのはもどかしい心を落ち着けるための深い息だった。


「ネタって……それどこのお笑い養成所? 本気も本気、超本気だってば」


 まあ、確かに柾樹を想って家の自室で泣いていたことに関しては今思い出しても恥ずかしく、自分でも浸っていたとは思うのだけど――いやいや、浸ることこそ恋愛の醍醐味だともいえる。葉菜は開き直ることにした。とはいえ、その件については例え園生にだって暴露する気はない。

 園生は「えー? 柾樹先輩が葉菜以外に目をくれるー? 信じらんないんだけど」と不満そうに唇に手を当てている。居合わせなかった園生には、理解できないのかもしれない。あの時感じた敗北感は、あの場にいないと味わえない。


「もしかして」


 園生が言う。


「日向さんをお昼に誘ったのって、二人を公認の仲にしてあげようなんて馬鹿げたこと考えたんじゃ……」

「んー、まあ、そうって言えばそうなんだけど……でも多分、別に親切な意味でってことでもない……ような」


 葉菜だってはっきり考えて誘ったわけではない。ただ、あの異世界の扉を閉じた時から、心の底に霞のような考えが漂っていた。それが徐々に固まり、形になって、浮かび上がってきたのかもしれない。

 詳しく説明しようとしたところを、甲高い笛の音に遮ぎられた。どうやら、日向さんのチームが勝ったようだった。テンションが高くなっているのか、珍しく同じチームの仲間とハイタッチなどしている。

 授業はこれで終わりだ。隣の園生が立ち上がり、葉菜も続いた。


 着がえた後、園生には思い出したように文句を言われた。無関係の人間を巻き込むな、と薄情なことを散々述べられた。今日の部活が終わったら、ミシン用の針と糸を買わせていただくという交換条件で、これからしばらくお昼を一緒に食べてもらえるよう約束を取り付けた。

 それから三時間目の休み時間に携帯を借りた。園生は柾樹のメールアドレスを知っている。ボタン操作がたどたどしいながらも、まずは葉菜からのメールだということを明記して、昼の待ち合わせ場所を学食にする旨を送信した。人数が増えることは書き添えなかった。これで休み時間の大半を使ってしまったけど、幸い了解の返事はすぐにきた。

 昼休み、園生に不自由をかけるのもそれほど長い期間のことではないだろう。携帯を返しながら、そう葉菜は思った。



 葉菜は弁当からふと視線を外し、前の二人を見た。

 向かいの席では、柾樹と日向さんが顔を寄せ合って何かを話している。声の大きさがそれほどでもない上に、周りの喧噪に紛れて内容は聞き取れない。帰りの予定の相談でもしているのかもしれない。


 周りの目を気にせず、付き合ってくれればいい。所構わずくっついて、仲の良いところを見せつけてくれたらいい。

 そうすれば、葉菜だってやっと――

 見知らぬ女子連中から突撃訪問を受けなくてすむ。強制的に顔を売らされることも、似合わないと陰口をたたかれることもなくなる。日向さんだったらきっと、柾樹と一緒にいてもあり得ないなんて言われない。仮に酷い言葉をぶつけられても真っ向から対峙できるだろう。

 諦められる。考えなくてすむ。やっと柾樹から解放される。

 ――私は、お人好しな方じゃないんだよ。もうカムフラージュなんて、してやらない。

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